ため(溜)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 動詞「ためる(溜)」の連用形の名詞化 )
① ためること。また、ためておくところ。
(イ) 特に、ゴルフ、野球などで瞬発力をためておくこと。
「溜めのないバッター」「バックスイングに溜めを作る」
(ロ) 特に、糞尿をためておくところ。こえだめ。 雑俳・柳多留‐八(1773)「どぶろくの生酔ためへころげ込み」
(ハ) 溜井、溜池など。 俳諧・焦尾琴(1701)風「かすがいに古枝もすてず大桜〈楓子〉 溜めを樋守のひらく春雨〈其角〉」
② 江戸時代、江戸で病気の囚人または一五歳未満の囚人を収容した牢屋。品川と浅草の二か所にあり、非人頭の管理に委ねられ、手代、上番人、小屋頭、鍵番などの役職が置かれた。溜医師が病囚の治療に当たったが、それ以外の取り扱いでは、小伝馬町牢屋とほとんど異ならなかった。非人溜。たまり。 徳川禁令考‐後集・第四・巻三三・享保七年(1722)五月「溜預け之事 牢舎申付候ものを最初より溜え遣間敷候」
③ 他家から贈答品を持って来た使いの者に与える金銭や物品。ためせん。ためがみ。おため。 浮世草子・世間手代気質(1730)三「包銭十文づつ溜(タメ)にいただいて帰り」
④ 狸の糞。 〔日葡辞書(1603‐04)〕
広辞苑 名詞 ①ためること。ためておく所。特に、糞尿をためておく所。 溜め
②江戸品川・浅草両所にあった 溜預 (ためあずけ)の囚人を入れた牢。
大言海 名詞 (一)溜ムルコト。又、集メ置ク所。 「水溜」芥溜」
(二)江戶時代ニ於ケル牢屋ノ一。病囚、及、幼囚ヲ收容セシ所。モト非人、無宿ノ囚徒ヲ置キシ所ト云フ。淺草千束村(淺草寺境內ノ北ノ畑ノ中)ト、品川驛トニアリキ。罪人ノ病者ヲ入レオキテ加養セシメ、全治スレバ再ビ入牢セシム。又、犯罪者十五歲未滿ナレバ、其生成スルマデ、ココニオキ、十五歲ニ至ルヲ待チテ、本刑ニ處シタリ。淺草ノ方ハ、吉原郭外ノ東南ナル非人小屋ノ非人頭車善七、コレヲ監シ、品川ノ方ハ、非人頭松右衞門、コレヲ管轄セリ。故ニ、コレヲ非人溜トモ稱セリ。當時ハ、普通人ヲ非人ノ列ニ落スト云フ制アリテ、然リシナリ。共ニ小傳馬町ノ牢ニ屬セリト。 德川禁令考後聚、一、附錄「淺草溜起立之事、云云」
同、同「品川溜起立之事、云云」
御定書百箇條「牢舍申シ付ケ候者、最初ヨリ溜め江遣シ閒敷ク候、乍倂入牢之上、重病之者ハ、御仕置キ伺ヒ置キ候者ニテモ、溜め江遣シ可申事」
(三)くそだめ(糞溜)ノ略。

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最終更新:2025年02月16日 17:39