たり(助詞)

大言海
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 助詞 〘接助〙 ( 活用語の連用形に付き、撥音「ん」またガ行のイ音便に続く時は「だり」となる )
① ( 「…たり…たり」の形で ) 動作や状態を並列して述べる。
平家物語(13C前)一一「掃いたりのごうたり、塵ひろひ、手づから掃除せられけり」
② 一つの事柄を例として示し、同様のことを暗示する。 史記抄(1477)六「令史と云は県令の下に物かきしたりなんどするものぞ」
③ ( 「…たり…」の形で ) 多くの類例の中から典型となる事柄を一つ取り挙げ、その事態の内容的傾向を示す。また、その類似の事例の存在を暗示する。 落語・素人茶番(1896)〈四代目橘家円喬〉「元踊りを遣ったり芝居を為るので」
[語誌]( 1 )完了の助動詞「たり」の連用形または終止形の中止的用法から変化したもの。
( 2 )①は、動詞の連用形中止法が持つ、事態を同等に接続する機能からの類推と、「平家物語」など中世の語り物に多い終止形の中止的用法とが作用して生じたもの。この用法は、極めて近似的な意味の語を列挙(通常二つを並立)することで、類似した事態の継続・反復を強調するものであったが、二つの事態の並立という機能として認識されるようになることで、接続助詞として固まっていった。これが、並立される二つの事態が近似的なものだけでなく、互いに何らかの関連性を持つという程度の事態にも広がり、さらには対義的な語の並立にも用いられるようになって、その使用範囲が広まった。
( 3 )③の用法が派生した要因は、形態的には、一九世紀頃から、前・後件の動詞が「を」格を含む形をとりはじめ、構文が長くなっていくことで並立性が希薄になる場合が生じたこと、意味的には、一五世紀頃より朧化(ろうか)用法の「なんど(「など」の前身)」等としばしば共起したことによって、その朧化機能が、隣接する「たり」に転位していったことなどが考えられる。
広辞苑 助詞 (文語完了の助動詞タリから)
①動詞の連用形に付いて「…たり…たり」の形で、動作の並行・継起することを表す。前が 撥音 (はつおん)のときは「だり」となる。
仮名文章娘節用「力になつ―なられ―するのは」。
「飛んだりはねたり」
②同樣のことが他にあるのを暗示しつつ、例示する。 「泣い―しては駄目」
③命令・勧誘の意を表す。 「さあ、どい―、どい―」

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最終更新:2025年02月22日 16:49