は(歯)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 鳥類を除くほとんどの脊椎動物の口腔内に生ずる、骨のように堅い器官。消化器の一部として、食物の保持、破砕などに重要な役割をもつ。また、動物では武器としても使われ、ヒトでは言語の発声にも関与する。動物の種類により歯質、発達の程度、形態、発生部位などが異なり、その動物の種類や年齢の判定に役立つ。ヒトの場合、象牙質を基礎に、歯冠部はエナメル質、歯根部はセメント質に覆われた石灰化組織で、上下の顎骨(がっこつ)に生ずる。象牙質の内部は中空で、歯髄で満たされている。また、広義には、ウニの口器、カタツムリの歯舌、円口類の角質歯などを含めてもいうが、これらと区別する意味で真歯とも呼ぶ。歯牙(しが)。 ※古事記(712)下「王子の御骨を埋みし所は、専ら吾能く知れり。亦其の御歯(は)以ちて知る可し」
※枕(10C終)四五「はもなき女の梅くひて酸がりたる」
② 器具、機械などの縁に細かく並んだ刻み目。鋸(のこぎり)や歯車などのぎざぎざになっている部分、櫛(くし)の髪を梳(す)く部分など。 ※平家(13C前)八「染殿の后より、御使櫛のはのごとくはしりかさなって」
③ 車輪の縁。 〔日葡辞書(1603‐04)〕
④ 下駄・足駄の下につけた板の称。 〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※宇治拾遺(1221頃)一四「はきたるあしだのはをふみ折りつ」
広辞苑 名詞 ①鳥類を除く脊椎動物の口腔内にあって、食物の摂取・ 咀嚼 (そしゃく)、攻撃・防御にあずかる器官。哺乳類で特に発達し、人間では言語の発声にも関与する。主部は象牙質から成り、表面露出部はエナメル質、歯ぐきの中にある部分はセメント質でおおわれる。人間では小児期のもの(乳歯)は永久歯と生えかわる(一換性)。哺乳類以外のものでは多換性で、構造も働きもかなり異なる。 古事記下「此の天皇…御―の長さ 一寸 (ひとき)、広さ 二分 (ふたきだ)
②歯の形をしているもの。 宇治拾遺物語14「はきたる足駄の―をふみ折りつ」。
「鋸の―」
大言海 名詞 (ヒラ)ノ約、端ノ義〕
(一){動物ノ上下ノ(アゴ)、卽チ、口腔內ニ生ズル骨ノ如キモノ。𧰼牙質ト琺瑯質ト白堊質トノ三層ヨリ成リ、物ヲ嚙ミ碎ク用ヲナシ、人ニアリテハ、兼ネテ、言語ヲ明白ナラシムル用ヲモナス。人ナルハ、上、下、各、十六枚アリ、卽チ、上下、左右、各、前齒(門齒)二枚、牙(犬齒)一枚、奧齒(小臼齒二、大臼齒二三)五枚ナリ。其中、 乳齒 (チノミバ)ノ脫ケタル後ニ生ズルヲ、永久齒ト云フ。尙、各條ニ註ス。
倭名抄、三花口類「齒、波」
枕草子、三、第廿八段、にげなき物「はモナキ女ノ、梅クヒテ、スガリタル」
齒をかむトハ、齒ヲカミシメテ、殘念ナル意ヲ示ス。 常山紀談、十三、關原合戰「秀詮(小早川秀秋)裏切シテ討テカカラレシカバ、大谷(刑部)、齒をかみ、秀詮ノ不義、骨髓ニ徹セリ」
(二)スベテ、器具等ニ、細カキ刻ミノ竝ビ出デタルモノ。 「櫛ノ齒」鋸ノ齒」
(三)車ノ輪ノ緣。又、ソノ緣ニアル多クノ凸起。 「齒車」
(四)下駄、足駄ノ下ナル板ノ脚。屐齒 天治字鏡、三 十六 「屐、有齒也」
宇治拾遺、十四、第三條「踏ミ強リテ立テリケレバ、イミジウ強ク引クト思フ程ニ、履キタルアシダノはヲ蹈ミ折リツ」

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最終更新:2023年07月30日 17:14