大言海 | ||||
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辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
日本国語大辞典 | 助詞 |
( 「と言う(といふ)」が「てふ」などを経て変化したもの。「ん」の後では「て」となる。→て ) [ 1 ] 〘 格助 〙 文や語句・単語の引用を示す。 ① あとに言語活動を表わす動詞が続く。「と」に置き換えることが可能。 |
「天気予報で雨が降るって言ってたよ」「手術って聞いてびっくりしたわ」 金色夜叉(1897‐98)〈尾崎紅葉〉後「頭部を撲れたのだから、脳病でも出なければ可いって、お医者様も然う言ってお在(いで)ださうだけれど」 |
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② あとに体言や準体助詞が続き、その体言の内容の説明を受ける。体言(形式名詞)を省略することもある。…という。…というのは。 |
「それって常識?」 黴(1911)〈徳田秋声〉四二「君は観戦記者として、軍艦に乗るって話だが、然うかね」 |
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[ 2 ] 〘 終助 〙 ( [ 一 ]の用法の「って」の後の動詞節が倒置されたり省略されたりしたもの ) ① 他人の言葉を引用する。強調するときは抑揚は高い。 |
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三「基本の内には予言か何か外で見られない事が書いてあるんですって」 | |||
② 話し手自身の言葉を、聞き手に念を押すように語るときに用いる。抑揚は高くならない。本来あとに来る「言うんだ」「言うことだ」などの言葉を省略した言い方。 |
「いいから俺にまかせて置けって。悪いようにはしないから」 当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一〇「外の野郎共も〈略〉面白半分、野治馬になって助太刀をする。いやはや、一時は騒ぎだったって」 |
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③ 相手の話や、話の中の語句を取り上げて、相手に問いただす。疑問詞で始まる文を受ける場合と、本来あとに来る「そのことは本当か?」「それは何か?」などの言葉を省略した言い方の場合とがある。抑揚は上昇調。 | 露芝(1921)〈久保田万太郎〉五「で、どうするって。━返すことにするって?」 | |||
④ 疑問詞で始まる文を受けて、反語を表わす。…するかって。 | 「今さら誰がそんなこと信じるって」 | |||
[ 3 ] 〘 係助 〙 ① 他人の質問・命令・主張を受けてそれを題目とし、説明や反論を導く。…という質問だが…。…と言われても…。 |
「あしたまでに完成させろって、それは無理だよ」 春泥(1928)〈久保田万太郎〉冬至「『どうして?』『どうしてってさうぢゃアありませんか』」 |
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② 初めて話題に取り上げるものを提示する。…というものは。 |
「人生って楽しいことばかりじゃないよ」 末枯(1917)〈久保田万太郎〉「折口(をれくち)って何ういふ筋の折口だ」 |
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[ 4 ] 〘 接助 〙 ① 他人の発言行動を受け、それに対する話し手の論評に続ける。…と言うのは…だ。 |
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「『人が厭だといふものを好(いい)々ッて、可笑(をか)しな慈母(おッか)さんだよ』『好と思ッたから唯好ぢゃ無いかと云ッたばかしだアネ。それを其様(そん)な事いふッて、真個(ほんと)に此娘(このこ)は可笑しな娘だよ』」 | |||
② 完了の助動詞の「た」や指定の助動詞の「だ」を受け、逆接の接続助詞的に用いる。→たって・だって。 | ||||
③ 「…からって」の形で用いることが多い。 (イ) 因果関係を表わす。…ということを理由にして。…というわけで。 |
真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉三八「江戸では斯う云ふ旨(うめ)え物(もん)喰って居るからって、食物ア大変八釜しい」 | |||
(ロ) 逆接の関係を表わす。…といっても。 | 浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「幾程(いくら)母親さんの機に入ッたからッて肝腎のお前さんの機に入らなきゃア不熟の基(もと)だ」 | |||
広辞苑 | 助詞 | ①引用を表す格助詞「と」のくだけた言い方。 | 「知らない―言った」「要らないから返す―」「行くの、いやだ―」 | |
②「とは」「という」「といって」の意。 | 「君―ほんといい人だ」「何だ―そう騒ぐのだ」 | |||
③前のことに反することが後に続くことを示す。 | 「いくら頼まれた―できない」 | |||
④(文末に「か―」の形で用い)反語を表す。 | 「そんなこと知るか―」 |
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