てむ

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 ( 完了の助動詞「つ」の未然形に推量の助動詞「む」の付いたもの )
① 話し手の強い意志や決心を表わす。…してしまおう。きっと…しよう。
仏足石歌(753頃)「この御足跡を 尋ね求めて 善き人の 坐す国には 我も参(まゐ)弖牟(テム) 諸々を率て」
土左日記(935頃)承平五年一月一七日「黒き雲にはかにいできぬ。風ふきぬべし。御船かへしてん」
② 未来への予期、予想、推量を強調的に表わす。きっと…するだろう。確かに…だろう。 古事記(712)下・歌謡「笹葉に 打つや霰の たしだしに 率寝弖牟(テム)後は 人は離(か)ゆとも」
源氏物語(1001‐14頃)夕顔「さりとも鬼なども我をば見許してんとの給ふ」
③ 可能であると推量する意を表わす。…することができるだろう。 古今和歌集(905‐914)春上・一九「春日野のとぶひの野守いでて見よ今いくかありて若菜つみてん〈よみ人しらず〉」
④ 適当・当然のこととする意を表わす。…てしまうべきだ。…するのがよい。 徒然草(1331頃)一七〇「心づきなき事あらん折は、なかなかそのよしをも言ひてん」
⑤ ( 多く助詞「や」「な」などを付けて ) 相手に対する婉曲な要求を表わす。…て(くれる・くださる)でしょうか。…でしょうね。 竹取物語(9C末‐10C初)「翁の申さん事、聞き給ひてむや」
広辞苑 (完了の助動詞ツの未然形テに推量の助動詞ムの付いた語。平安時代以後「てん」とも)
①結果を推量し、そのようにしようという強い意志を表す。…てしまおう。…しよう。
万葉集20「夕霧に千鳥の鳴きし佐保路をば荒しやし―見るよしをなみ」。
源氏物語帚木「さるかたのいふかひなきにて過ぐし―と思ひて」
②可能性を推量する意を表す。…することができるだろう。 古今和歌集春「春日野のとぶ火の野守いでてみよいまいくかありて若菜摘み―」
大言海 助動詞 現在完了ノ助動詞ノつノ變化ナルてニ、未來ノ助動詞ノむノ添ハリタルモノ。 萬葉集、八 五十五 「沫雪ニ、フラレテ咲ケル、梅ノ花、君ガリヤラバ、ヨソヘてむカモ」
「行キてむ」見てむ」

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附箋:助動詞

最終更新:2025年05月18日 13:38