とき(鬨・鯨波)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 合戦で、開戦に際し、士気を鼓舞し、敵に対して戦闘の開始を告げるために発する叫び声。大将が「えいえい」と発声し全軍が「おう」と声をあげて和し、これを三度繰り返すのを通例とする。また、戦勝の喜びの表現としても発した。鬨の声。→ときを挙(あ)ぐときを作(つく)る 平治物語(1220頃か)中「いさみすすめる三千余騎、一度に時をどっとつくりければ」 鬨・時・鯨波
② 多人数の者が、一同にあげる声。 いのちの初夜(1936)〈北条民雄〉「追手の鯨波(トキ)はもう間近まで寄せて来た」
広辞苑 名詞 ①合戦の初めに全軍で発する叫び声。味方の士気を鼓舞すると共に、敵に向かって戦いの開始を告げる合図としたもの。敵味方相互に発し合い、大将が「えいえい」と二声発すると、一同が「おう」と声をあげて合わせ、三度繰り返すのを通例とした。 「―の声」 鬨・時・鯨波
②転じて、多人数が一度にどっとあげる声。
大言海 名詞 〔古ヘ、禁中ニテ、夜、(トキ)(マウ)ス聲ニ起ルト云フ。轉ジテ、衆人ノ呼聲トモナル。又、鬨ハ、孟子、梁惠王、下篇、趙注「鬭聲也」ト。鯨波ハ、祖庭事苑、四「鯨常以五月岸、生數萬子、至八月、引子還海、鼓波成雷、噴水成雨、云云」ノ句ニ因ルト云フ〕
戰ノ初ニ、兩軍相發スル合圖ノ聲。大將、えい、えいト二聲言ヘバ、諸軍一同ニ、()うト聲ヲ揚グ。斯クスルコト三度ナリ。コレヲ鬨の聲を作るト云フ。敵モコレニ應ズルコト同ジ。(カチ)鬨ハ、戰勝チテ後、大將、床机ニ倚リ、凱陣ノ酒ヲ飮ムトキ、右手ニ勝栗ヲ取リ、左手ニ扇ヲ開キ、(アフ)ギナガラ聲ラ發シテ、諸軍ノ應ズルコト、出陣ノ鬨ノ如シ。トキノコヱ。凱歌
平家物語、四、橋合戰事「敵、平等院ニト見テケレバ、ときヲツクルコト三ガ度也、宮ノ御方ニモ、同ジウ鬨の聲ヲゾ合ハセタル」
太平記、九、六波羅攻事「大手搦手、同時ニ軍始マッテ、馬煙南北ニ靡キ、鬨の聲天地ヲ響カス」
永久四年百首「唐人ハ、シカノヲジマニ、船出シテ、博多ノ沖ニ、ときつくるナリ」
夏山雜談(寬保、秋山色樹)二「鯨波ノ聲アグルハ、雜兵ノワザナリ、士分ハ聲立テズ」
鬨・鯨波

検索用附箋:名詞習俗

附箋:名詞 習俗

最終更新:2025年06月08日 17:44