とも(鞆)

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日本国語大辞典 名詞 弓を射る時、左の腕に結び付けて手首の内側を高く盛り上げる弦受けの付けもの。革の袋で、中に稲藁(いなわら)を満たし、外を黒漆塗りとし、革緒で結ぶもの。手首の釧(くしろ)などに触れて弦の切れるのを防ぐためとする。 日本書紀(720)応神即位前(北野本訓)「産れませるときに完腕(たたむき)の上(うへ)に生ひたり。其(そ)の形(かたち)鞆(トモ)の如(こと)し」
広辞苑 名詞 弓を射る時に、左手首内側につけ、弦が(くしろ)などに触れるのを防ぐ、まるい皮製の具。弦が当たると音を発する。平安時代以後は武官の 射礼 (じゃらい)用の形式的弓具となった。ほむた 万葉集3「 大夫 (ますらお)の手に巻き持てる―の浦廻を」
大言海 名詞 ()(オモ)ノ約ト云フ、或ハ云フ、 音物 (オトモノ)ノ約略、或ハ云フ、 止弦 (トメヲ)ノ約、鞆ハ和字ナリ〕
ホムダ。古ヘ、弓射ル時ニ、左ノ臂ニ着クル具。形圓ク、革ニテ作リ、巴ノ字ノ𧰼ヲ畫キ、革緖ニテ約ス。弦ノ臂ニ觸ルルヲ避クルモノナリト云フ。或ハ云フ、觸レシメテ音ヲ發セシメ、音ヲ以テ威スコト、 鳴鏑 (ナリカブラ)ノ如キモノナリト。後說、得タルガ如シ。次ノ用例ヲ見ヨ。
天治字鏡、十二 廿八 「鞆、止毛」
倭名抄、四 十六 射藝具「𤿧、止毛、日本紀等用鞆字、在臂避弦具也」
名義抄「𤿧、トモ、鞆、トモ」(𤿧ハ玉篇「 射𤿧 (ユコテ)、或作捍」禮記、內則篇、玦捍、注「捍謂 拾也 (ユコテ)、言(フセグ) 一レ 弦也」)
古事記、上 十九 「曾毘良ニハ千入ノ靫ヲ負ヒ、五百入ノ靫ヲ附ケ、亦伊都ノ竹鞆ヲ取佩シテ」
大神宮儀式帳「弓矢 鞆音 (トモノオト)聞國」
萬葉集、一 廿八 「丈夫ノ、鞆ノ音スナリ、物部ノ、 大臣 (オホマヘツギミ)、楯立ツラシモ」
同、七 十六 「ヨシ(ユキ)テ、亦還リ見ム、丈夫ノ、手ニ卷キモタル、鞆ノ浦囘ヲ」
堀河百首「ヒキナラス、手束ノ弓ノ、矢ヲ早ミ、 鞆音 (トモネ)ニ的ノ、鳴リ交ハス哉」
四季物語(鴨長明)二、射藝「鞆ハ形丸クシテ、中ハ空虛也、鞠ノ如ク革ニテ縫括リタル物也、云云、古代、弓射ル人ハ、左ノ腕ニ鞆ヲ結付テ射シ也、是レ弦ニテ腕ヲハジクヲ防ガン爲ノ設也、鞆ニ弦アタレバ鳴音アル、云云」

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最終更新:2025年07月20日 17:01