なく(啼)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ( 「ね(音)」と同語源の「な」が動詞化したもの ) 生物が種々の刺激によって声を発する。
① ( 鳴・啼 ) 鳥、獣、虫などが声を出す。
古事記(712)上・歌謡「青山に 鵼(ぬえ)は那伎(ナキ)ぬ さ野つ鳥 雉(きぎし)は響む 庭つ鳥 鶏(かけ)は那久(ナク) うれたくも 那久(ナク)なる鳥か」 泣・鳴・啼・哭
② 人が、精神や肉体への刺激にたえかねて、声を出し、また涙を流す。 古事記(712)上・歌謡「引け鳥の 我が引け往なば 那迦(ナカ)じとは 汝は言ふとも」
③ 愚痴をこぼす。悔みごとを言う。 新撰大阪詞大全(1841)「なくとは、じゅっくゎいいふこと」
④ 相手の無理を仕方なく承知する。また、損を覚悟で値引きする。
⑤ 泣くようなひどいめにあう。辛酸をなめる。 鉛筆ぐらし(1951)〈扇谷正造〉特オチ物語「自分がスクープした時には、よその社のだれかが、泣いていることを知っているからだ」
⑥ 不当に評価されて不満足に思う。 「看板が泣く」
⑦ 染色で、染料が隣接した模様または模様外の白地に浸み出る。
⑧ マージャンで、他の人の捨牌を碰(ポン)、槓(カン)する。または、左隣の上家(シャンチャ)の捨牌を吃(チー)する。
他動詞 泣かせる。泣かす。→吾(あ)を哭(ね)し泣く
広辞苑 自動詞 (ネ(音)の古形ナを活用させた語か)人間・鳥・獣・虫が声を立てる意。人間の場合は「泣く」と書く。
①精神的・肉体的の刺激に堪えず、声を出して涙をながす。
万葉集3「憶良らは今は(まか)らむ子―・くらむそれその母も()を待つらむそ」。
源氏物語帚木「あながちなる御心ばへを、いふかたなしと思ひて―・くさまなど、いとあはれなり」。
平家物語7「女房達しのびねに―・きなんどし給へば」
泣く・鳴く・啼く
②鳥・獣・虫などが声を発する。 古事記上「庭つ鳥(かけ)は―・く」。
古今和歌集秋「ひぐらしの―・く山里の夕ぐれは」。
源氏物語夕霧「鹿のいといたく―・くを」
③苦痛に悩む。つらい状況に陥る。 「1円を軽んずる者は1円に―・く」
④相手の無理を聞いたり、自分の不利益を我慢したりする。 「100円―・きましょう」
⑤それに価しない。はるかに見劣りする。 「横綱の名が―・く」
⑥(染色用語)染色または加工の際に、隣接した染料が一方へ浸出し、または模様外の白地へ浸出することをいう。
大言海 自動詞 ()ノ活用〕
(一)赤子、聲ヲ出ス。
萬葉集、十五 十三 長歌「奈久子ナス、ネノミシ泣カユ」
(二)禽、獸、蟲ナド、聲ヲ出ス。叫ブ。 箋注倭名抄、七 四十七 鳥體「鳴、奈久」
古事記、上 三十九 「靑山ニ、ヌエハ那伎、云云、庭ツ鳥、カケハ那久、ウレタクモ、那久ナル鳥カ」
源、二、帚木 四十三 「鳥モシバシバなくニ」
曾丹集「啼けヤ啼け、蓬ガソマノ、キリギリス、過ギユク秋ハ、ゲニゾ悲シキ」
一茶の句「鳴く猫ニ、赤ン目ヲシテ、手毬哉」
動詞活用表
未然形 なか ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 なき たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 なく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 なく も、かも、こと、とき
已然形 なけ ども
命令形 なけ
動詞活用表
未然形 なけ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 なけ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 なく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 なくる も、かも、こと、とき
已然形 なくれ ども
命令形 なけよ

検索用附箋:自動詞四段
検索用附箋:他動詞下二段

附箋:下二段 他動詞 四段 自動詞

最終更新:2025年09月13日 18:55