ふ(経・歴)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 時が来てまた、去っていく。時間が過ぎていく。経過する。 ※古事記(712)中・歌謡「高光る 日の御子 やすみしし 我が大君 あらたまの 年が来布礼(フレ)ば あらたまの 月は来閇(へ)往く」 経・歴
② 日月を送る。歳月を送る。時を過ごす。 ※伊勢物語(10C前)一六「貧しくへても、猶昔よかりし時の心ながら、世の常のことも知らず」
③ ある段階を通る。ある地位や段階を経験する。→へあがるへのぼる ※源平盛衰記(14C前)一「同二年に太政大臣に上る。左右を経(へ)ずしてこの位に至る事」
④ そこを通って他の所へ行く。通り過ぎる。通過する。 ※土左(935頃)承平五年二月一日「くろさきのまつばらをへてゆく」
⑤ 所定の手続をふむ。他の人の認可などを求めてその過程を通る。 ※延慶本平家(1309‐10)四「奏聞をへられけるに」
広辞苑 自動詞 次々に順をふんで行く意。
①時が経つ。経過する。
雄略紀「栄枝を五百ふる()きて」。
万葉集17「矢形尾の鷹を手にすゑ三島野に狩らぬ日まねく月そへにける」
経・歴
②時をすごす。月日を送る。 大鏡実頼「この、日の荒れて日ごろここにへ給ふはおのれがし侍ることなり」。
天草本平家物語「日数をふれば、能登の国に着かせられた」
③その過程を通る。地位や段階を経験する。 源平盛衰記1「太政大臣にあがる。左右をへずして此の位に至ること…先蹤なし」。
「秘書をへて議員になる」「数多の困難をへる」
④そこを通って他へ行く。通過する。 平家物語8「狩衣の頸かみに針を刺し、賤の 緒環 (おだまき)といふ物をつけてへて行く方をつないで行けば」。
源平盛衰記32「伏見をへて京へ入る」。
「多くの人の手をへる」
⑤順次、手続をふむ。通す。 平家物語(延慶本)「奏聞をへられけるに」。
日葡辞書「アンナイヲヘル」
大言海 自動詞 次第ニ過ギテ行ク。越エテ行ク。移リ進ム。(時ニ、地ニ、事ニ) 字類抄「經、フ、歷、フ」
源、五、若紫「殘リノ齡、ユカタニふベキ心ガマヘモ、二ナクシタリケリ」
古今集、廿「千早振、加茂ノ社ノ、姬小松、萬代ふトモ、色ハ變ラジ」
新拾遺集、十四、戀、四「紀ノ國ノ、アクラノ濱ノ、忘貝、我ハ忘レジ、年ハふるトモ」
古今集、一、春、上「年ふれバ、齡ハ老イヌ、シカハアレド、花ヲシ見レバ、物思ヒモナシ」
萬葉集、十七 四十六 「矢形尾ノ、鷹ヲ手ニスヱ、三島野ニ、狩ラヌ日マネク、月ゾ()ニケル」
陶淵明、歸去來辭「窈窕以尋壑、亦崎嶇而經丘」
「年ヲふ」月日ヲふ」路ヲふ」門ヲふ」官ヲふ」練磨ノ功ヲふ」
経・歴
動詞活用表
未然形 ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 ふる も、かも、こと、とき
已然形 ふれ ども
命令形 へよ

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附箋:下二段 自動詞

最終更新:2023年08月09日 21:29