辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 副詞 | ① 一つの状態や心情・意志などが、それを解消する可能性を有する事態を経た後も、引き続き変わることなく持続するさまを表わす。やはりもとのとおり。それでもやっぱり。何と言ってもやはり。 | 万葉集(8C後)二〇・四三五一「旅衣八重着重ねて寝ぬれども奈保(ナホ)はだ寒し妹にしあらねば」 | 猶・尚 |
② 一つの判断や意志を、対立する判断や意志を付けることによって、確認する気持を表わす。やはり。どう見ても。 |
万葉集(8C後)六・九六〇「隼人の湍戸(せと)の巖も鮎走る吉野の滝に尚及(し)かずけり」 源氏物語(1001‐14頃)桐壺「猶しばし心みよ」 |
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③ 欠点や好ましくない点を含む一つの状態が、他と比べてまだましであり、あるいはその欠点にもかかわらずすぐれた一面を持つことを認める気持を表わす。まだしも。むしろ。それでも。そうは言っても。 | 伊勢物語(10C前)四〇「猶思ひてこそいひしか、いとかくしもあらじと思ふに、真実に絶え入りにければ、まどひて願たてけり」 | |||
④ ある状態や他のものに比べていっそう程度が増すさまを表わす。ますます。いちだんと。もっと。ずっと。さらに。 | 万葉集(8C後)七・一二三五「波高しいかに梶取水鳥の浮き寝やすべき猶や漕ぐべき」 | |||
⑤ ( 「なお…のごとし」などの形で ) 一つの事物、事態が、他の事物、事態とそっくりであるさま。まるで。あたかも。ちょうど。 | 守護国界主陀羅尼経巻八平安初期点(900頃)「問難皆答ふること、若(ナホ)泉流のごとし」 | |||
接続詞 | 一つの話を終えたあとに、追加して別の話を始めようとするときの、つなぎのことば。それに加えて。付け加えると。加えていうと。 | 平家物語(13C前)三「五条大納言邦綱卿、御馬二疋進せらる。心ざしのいたりか、徳のあまりかとぞ人申しける。なを伊勢より始て、安芸の厳島にいたるまで、七十余ケ所に神馬を立らる」 | ||
[補注]( 1 )「なお(直)」との関係を認める説と否定する説とがある。前者は、物がゆがまない・まっすぐであることを原義とする「直」のより広義としての「そのままに(事態・事象の不変)・まっすぐに」が、「なほ(猶)」の意味する「やはり」であるとする。後者は、ある事態の成立を妨げるような事情が生じているにもかかわらず、依然として成立し続けることを表わすのが「猶」の原義で、「直」の原義とはただちに結びつかないとする。 ( 2 )[ 一 ]⑤は、漢籍で「やはり」の意にも使われる「猶」などの文字が「ちょうど…のようだ」の意にも使われるところから、国語の「なお」にも加えられた用法で、平安初期から訓点資料に見える。 |
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広辞苑 | 副詞 | ①引き続いて変わらず。もとの通り。まだ。 |
万葉集20「旅衣八重着重ねて寝ぬれども―膚寒し妹にしあらねば」。 天草本平家物語「今年二十九桃李のよそほひ―こまやかに、芙蓉の姿いまだ衰へさせられねども」。 「今も―心に残る言葉」 |
猶・尚 |
②やはり。何といっても。 |
万葉集18「紅は移ろふものそ 徒然草「和歌こそ―をかしきものなれ」 |
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③そうは言っても。それでも。 | 源氏物語桐壺「今は―昔のかたみになずらへてものしたまへ」 | |||
④再び。もと通りに。 | 方丈記「同じき年の冬―この京に帰り給ひにき」 | |||
⑤その上にまた。いよいよ。ますます。さらに。一層。 |
徒然草「愚かなることは―まさりたるものを」。 「早ければ―よい」 |
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⑥(助詞のように用いて)までも。さえも。 | 平治物語(金刀比羅本)「胡馬北風にいばへ、畜類―故郷の名残りを惜しむ」 | |||
⑦(漢文の訓読で、下に「ごとし」を伴って)ちょうど。あたかも。 |
太平記2「御首は敷皮の上に落ちて、むくろは―坐せるが如し」。 「過ぎたるは―及ばざるがごとし」 |
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接続詞 | ある事柄を述べた後で他の事柄を言い添える時に使う語。 | 「大略以上の通りです。―、詳細は後ほど申します」 | ||
大言海 | 副詞 |
〔直ノ義、其事ヲ曲ゲズシテ、本ノママナル意〕 (一){ソレデモ。ヤハリ。 |
萬葉集、廿
廿二
「旅衣、八ツ着重ネテ、寢ヌレドモ、奈保膚寒シ、妹ニシアラネバ」 古今集、四、秋、上「久方ノ、月ノ桂モ、秋ハなほ、紅葉スレバヤ、照リマサルラム」 名義抄「仍、ナホ」 古事記、下(雄略) 三十七 「其 神代紀、上 十八 「伊弉册尊答曰、族也勿 レ 看 レ 吾矣、伊弉諾尊不 レ 從、猶看 レ 之」 萬葉集、二 十五 「丈夫ヤ、片戀セムト、歎ケドモ、醜ノ丈夫、尙戀ヒニケリ」 |
尙・猶・仍 |
(二)マダ。マダマダ。 |
新古今集、十一、戀、一「ツラケレド、恨ミムトハタ、思ホエズ、なほ行先ヲ、賴ム心ニ」 風雅集、十五、雜、上「尋ネツル、花ハ限リモ、ナカリケリ、なほ山深ク、懸ル白雲」 |
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(三)轉ジテ、ソノウヘニ。イヨイヨ。 | 續千載集、十九、哀「イトドなほ、淚ノ色ノ、深キ哉、再ビ着ツル、墨染ノ袖」「尙好シ」尙永引ク」 | |||
(四){是非トモ。ドウアッテモ。 | 古事記、上 六十五 「雖 レ 償不 レ 受云、猶欲 レ 得 二 其正本鉤 一 」 | |||
(五)我猶
レ
人ナドハ、 |
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