なむ(助動詞イ)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 ( 完了の助動詞「ぬ」の未然形に推量の助動詞「む」の付いたもの。動詞の連用形に付く )
① 動作・状態の実現すること、完了することを確認し推測する意を表わす。…するようになるだろう。…になってしまうだろう。きっと…だろう。
古事記(712)下・歌謡「八田(やた)の 一本菅は 子持たず 立ちか荒れ那牟(ナム)あたら菅原」
② 動作・状態を実現しようとする強い意志を表わす。きっと…しよう。 万葉集(8C後)三・三四八「今(こ)の世にし楽しくあらば来む生(よ)には虫に鳥にもわれは成り奈武(ナム)」
③ 動作・状態の実現を適当であるとする、また、適当であるからそうした方がよい、と勧誘する意を表わす。…した方がよいだろう。…したらどうだろう。 源氏物語(1001‐14頃)夕顔「夜は明け方になり侍りぬらん。はや帰らせ給なんと聞こゆれば」
④ 動作・状態の実現を可能であると推量する意を表わす。…することができるだろう。…でもかまわないだろう。 平家物語(13C前)六「此中には汝ぞあるらむ。あの物射もとどめ、斬りもとどめなんや」
広辞苑 (完了の助動詞ヌの未然形ナに、推量の助動詞ムの付いた形)動詞の連用形に接続して未来の推量・決意・勧誘・可能・適当の意を表す。それらの意が動かす余地のないものだという強めをナが受け持つ。平安時代以後「なん」とも。
①「ぬ」の付いた内容が、これから先に起こった場合を推量して述べる。…てしまうだろう。きっと…するだろう。
万葉集3「来む世には虫に鳥にも吾はなりなむ」。
万葉集5「竜田山御馬近づかば忘らしなむか」。
源氏物語桐壺「はかなき心地に患ひて、まかでなむとし給ふを」
②…することができよう。 徒然草「かばかりになりては飛び下るとも下りなん」
③(疑問を表す語と共に用いて)…してはどうか。…しないか。 源氏物語桐津壺「いかにすべきわざにかとも問ひ合すべき人だになきを、忍びては参り給ひなむや」
④…の方がよい。…のが適当だ。 源氏物語若紫「はや帰らせ給ひなむ」
大言海 助動詞 現在完了ノ助動詞ノぬノ變化ナルなニ、未來ノ助動詞ノむノ添ハリタルモノ。未來ヲ想像スルニ用ヰル語。デアラウ。又、なん。 萬葉集、二 十六 「夕サラバ、潮滿チ來奈武、スミノエノ、淺香ノ浦ニ、玉モ刈リテナ」
「行キなむ」去リなむ」アリなむ」

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最終更新:2025年10月12日 14:45