| 辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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| 日本国語大辞典 | 助詞 |
〘 係助 〙 ( 上代の係助詞「なも」の変化したもの ) 体言またはこれに準ずる語句、および連用語を受け、説明的に事物をとりたてて示す。中古の会話文および解説的性格の散文に多く用いられる。 ① 文中にあって係りとなり、文末の活用語を連体形で結ぶ。 |
類聚国史‐一一・祈祷上・貞観一〇年(868)閏一二月一〇日「告文曰、〈略〉此又皇大神の厚助なりと奈无(ナム)歓崇ひ所念行す」 源氏物語(1001‐14頃)桐壺「三位の位おくり給ふよし、勅使来て、その宣命読むなん、悲しきことなりける」 |
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| ② 「なむ」を受ける活用語を省略して余情を表わす。 | 蜻蛉日記(974頃)中「きこえさすべきかたなくなん」 | |||
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[語誌]( 1 )「なむ」の性格は係助詞の中においては、やや特異である。( イ )( A )原則として、「む」「らむ」「けむ」「まし」といった推量系助動詞が結びにならない、( B )「うれしくてなむ」のように、結びが省略される場合が他と比べて目立つ、( C )和歌にはほとんど用いられない、などの文体的制約がある。( ロ )( A )散文で使用される場合には、物語作品に多く日記作品に少ない、( B )文の種類としては、地の文、会話文に多く、心話文には少ない、( C )もっぱら和文資料において用いられ、訓点資料には例を見ない、などの特徴を有す。 ( 2 )平安時代初期から中期にかけて盛んに用いられ、「なむ…ける」の呼応によって、いわゆる「物語る文体」を織りなし、「伊勢物語」「源氏物語」等の物語文学作品において、特徴的な文体を形成することとなった。 ( 3 )連体形となるべき結びの活用語が、接続助詞に吸収されたり、終止形をとったりする場合もある。 |
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| 広辞苑 | 助詞 |
➊(係助詞)(「なも」の転。ナンとも)種々の語に付き、その語の内容を強める働きをする。和歌に用いられることは少なく、会話・散文に多い。 ①幾つかの中から取り立てて強調する。幾つかから選ぶために、強調したものについて述べる語は、それ以外への思いをこめて言い切りにならず、活用語の時は連体形となり、係結びの関係が生ずる。院政期に終止形・連体形の機能が同一化するのに伴い、連体形終止の独自性が失われ、係結びに乱れが生じた。 |
古今和歌集序「柿本人磨―歌の聖なりける」。 伊勢物語「男京へ―まかるとて」 |
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| ②「…なむ」と後の述語を省略し、余情をこめた柔らかな物言いにする。 | 源氏物語桐壺「かくかしこきおほせごとを光にて―、とて見給ふ」 | |||
| ➋(終助詞)(「なも」の転。ナンとも。動詞などの未然形に接続)話しかける相手に、動作・作用の実現を誂え望む意を表す。…してほしい。 |
古事記上「青山に日が隠らばぬば玉の夜は出で―」。 源氏物語夕顔「惟光とく参ら―とおぼす」 |
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| 大言海 | 天爾遠波 |
第二類ノ天爾波。物事ヲ指シ定ムル意ヲ云フぞニ似テ、 |
土佐日記、正月十一日「世ノ中ニ、オモヒアレドモ、子ヲ戀フル、思ヒニマサル、思ヒナキカナ、ト云ヒツツなむ」 同、正月十三日「卜なむ歌ヨメル」 古今集、序「柿本ノ人麿なむ、歌ノ聖ナリケル」 枕草子、十二、百五十六段「タダ今オコタルヤウニ侍レバ、カヘスガヘスなむ、悅ビ聞エサスル」 「是レなむ夫レナル」斯クなむアリケル」 |
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