も(裳)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 古代、腰から下にまきつけた衣服の総称。 ※肥前風土記(732‐739頃)松浦「針を勾げて鈎となし〈略〉裳の糸を緡(つりを)となして」
② 男子の礼服の時、表袴の上につけるもの。上は四幅、下は六幅であるものを一二襞に畳んで縫いつける。上部に紐があって、着用する時は腰に引きまわし、前で引き違えて結ぶ。
③ 宮廷奉仕の婦人、またそれに相当する貴族の婦人の正装の時、表着(うわぎ)や袿(うちき)の上に腰部より下の後方にだけまとう服。腰に当たる部分を大腰といい、左右に引腰と称する紐を長く垂れて装飾とし、別に紐を左右の腰の脇より下へまわして結んで止める。これを小腰という。 ※竹取(9C末‐10C初)「よき程なる人に成りぬれば、〈略〉も着す」
④ 僧侶の腰につける衣。 ※法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「合袈裟壱拾壱領〈略〉裳壱腰」
広辞苑 名詞 ①上代、女性が腰から下にまとった服。 万葉集5「立たせる妹が―の裾ぬれぬ」
②(本来は「褶」と書いた)男性の 礼服 (らいふく)で、 表袴 (うえのはかま)の上に着用したもの。
③平安時代以来の女房の装束で、腰から下の後方にまとった服。12または10枚の細長い台形に裁った綾や 縠織 (こめおり)(ひだ)が立つように縫い、 海浦 (かいぶ)などの文様を施し、裾を長く引く。 枕草子83「おはしまさねば―も着ず(うちぎ)すがたにてゐたるこそ物ぞこなひにて」
④僧侶が腰から下にまとう服。
大言海 名詞 ()ク意カト云フ〕
(一){昔、腰ヨリ下ニ着ル衣。(裳ニ(ヒラミ)、卽チ(ウハ)()、裾、卽チ(シタ)()トアリ)續後紀、九、承和七年三月ノ詔ニ「自今以後、云云、一裳之外、不重着」トアリ。みも
倭名抄、十二 十九 衣服類「上(表)曰裙、下(裏)曰裳、毛」(二重ニハキテ、(ウハ)()(シタ)()ト云フ)
神代紀、上 廿一 「天照大神、云云、縛(ミモ)袴」
萬葉集、廿 三十六 長歌「美母ノ(スソ)、抓ミアゲ」(防人ノ母ニ云フ)
(二){腰部ヨリ後ノ方ノミニ覆ヒ着ル袴ノ如キモノニテ、襞深ク、種種ノ繡物ナド施ス。(イツツ)(ギヌ) 唐衣 (カラギヌ)ト共ニ、女房ノ大禮服トス。 源、五十一、蜻蛉 廿二 「裳ハ、タダ今、我ヨリ上ナル人ナキニウチタユミテ、色モカヘザリケレバ」
(三)僧侶ノ腰ニ着クルモノ。 玄蕃寮式「讀師法服、九條袈裟、云云、裳一服」
(四)()(トン)ノ類。スベテ下ニ用ヰルモノ。卽チ、(フスマ)(フシ)も、(カモ)()も、(ムシロ)ハも(シロ)(ハカマ) 穿 (ハク)もノ類ナリ。

検索用附箋:名詞物品

附箋:名詞 物品

最終更新:2023年08月30日 17:53