辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 他動詞 |
[一] 下の方から上の方へ移す。 ① 低い所から高い所へ移す。上へやる。 |
※古事記(712)下・歌謡「大和(やまと)へに 西風(にし)吹き阿宜(アゲ)て 雲離れ 退(そ)き居りとも 我忘れめや」 ※源氏(1001‐14頃)若菜下「みすあげさせ給て」 |
上・揚・挙 |
② (垂れた髪を)結う。上の方で結ぶ。 |
※書紀(720)神代上(水戸本訓)「髪(みぐし)を結(アケ)、髻(みづら)に為(な)し」 ※伊勢物語(10C前)二三「くらべこし振分髪も肩すぎぬ君ならずして誰かあぐべき」 |
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③ 空中に浮かぶようにする。また、雲が空に広がる。 |
※平家(13C前)二「天下に兵乱おこって、烽火をあげたりければ」 ※歌舞伎・日月星享和政談(延命院)(1878)序幕「『父(とと)さん、ぽつぽつ降って来ましたわいな』『大分東を上げて来たから、今に一降やるかも知れぬ』」 |
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④ 水上、水中から陸上へ移す。陸上げする。水上げする。 |
※平家(13C前)一一「あげおいたる舟の陰を」 ※日葡辞書(1603‐04)「フネノ ニヲ aguru(アグル)」 |
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⑤ 外から家の中に入らせる。 | ※浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)七「初めてのお方を同道申た。きつう取込そふに見へるが、一つ上ます座敷が有(ある)か」 | |||
⑥ 遊女、芸妓などをよび入れる。また、よんで遊ぶ。 | ※浮世草子・西鶴織留(1694)一「丸屋の七左衛門かたに太夫の吉野を揚(アゲ)置(おき)」 | |||
⑦ 寺子屋、学校などに入れる。 | ※仮名草子・浮世物語(1665頃)一「寺にあげて手ならひをさすれども、芸能のかたは殊の外に不器用なり」 | |||
⑧ (血を頭にのぼせる意) のぼせてぼうっとする。 |
「血道をあげる」 ※栄花(1028‐92頃)若ばえ「あないみじ。気(け)あげさせ給ふな」 |
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⑨ 下に敷いてあるものを取りのける。 | ※人情本・春色恵の花(1836)二中「それじゃア蒲団をあげて、きれいにしよふじゃア有ませんか」 | |||
⑩ 胃から物をもどす。吐く。 | ※落語・皺め(1896)〈三代目柳家小さん〉「何う云ふ訳だらうと思って居ると黄色い水をゲッゲと吐(ア)げるんだ」 | |||
[二] 物を取りあげる。また、罪人を召しとる。 ① 官が領地、役目などを取りあげる。没収する。 |
※歌謡・新編歌祭文集(1688‐1736頃)一五「少しの事を言ひ募り、殿の御扶持を上げられて」 | |||
② (①から転じて) 物をむりに取りあげる。巻きあげる。奪いとる。盗みとる。 | ※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)五「今鋭(すすど)ふ成て油断せぬ故、大抵では上げられぬぞい」 | |||
③ 犯人をつかまえる。召しとる。 | ※落語・たぬき娘(1900)〈初代三遊亭円左〉「チョイト旦那、今ねヱ彼の女が引致(アゲ)られました、久松警察へ」 | |||
[三] 地位、体勢、価値、程度などを高める。 ① ある箇所をまわりより高くする。体や、体の一部を高くする。また、上に向ける。 |
※漢書楊雄伝天暦二年点(948)「仰ぎて首を撟(アケ)、以て高視す」 | |||
② 馬を跳ねさせる。走り躍らせる。 | ※吾妻鏡‐寛元四年(1246)八月一六日「流鏑馬十六騎。揚 レ 馬訖」 | |||
③ 地位を進める。昇進させる。 |
※続日本紀‐天平元年(729)八月五日宣命「冠位(かがふりくらゐ)一階上(あげ)賜ふ事を始め」 ※日葡辞書(1603‐04)「クライニ aguru(アグル)」 |
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④ 物の値段、給料などを高くする。値上げする。 | ※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉失意政治家「それだから、酒造税を昂(ア)げるのも宜(よ)からう」 | |||
⑤ 能力、勢力、速力、数量、価値などを加える。 |
「速度をあげる」「気勢をあげる」 ※惨めな戯れ(1920)〈岡田三郎〉「下から順に音をあげて行ったり」 |
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⑥ 技能などを上達させる。 |
※日葡辞書(1603‐04)「ガクモン ナドノ イロヲ aguru(アグル)」 ※滑稽本・古朽木(1780)一「能書にもせよ、人の手まで上(アゲ)る事がどうしてなるものぞ」 |
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⑦ 顔だち、身なりなどをよくする。 | ※雁(1911‐13)〈森鴎外〉五「さぞ此頃は女振を上(ア)げてゐるだらうな」 | |||
⑧ あたりによく聞こえるような声を出す。高く発する。 |
※書紀(720)仁徳四年二月(前田本訓)「人々詠徳(ほむ)る音を誦(アケ)、家毎庚哉之歌(やすらかなりといふうた)有り」 ※土左(935頃)承平四年一二月二六日「からうた、声あげていひけり」 |
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⑨ (水位を高める意から、自動詞的に用いて) 潮が満ちてくる。 | ※洒落本・仕懸文庫(1791)一「八つ八ぶだからてうど今あげるせへちうだ」 | |||
[四] 人によく見えるようにする。広く知られるようにする。 ① 手に持って高くする。高く揚げる。持ちあげる。 |
※古今(905‐914)雑体・一〇一四「いつしかとまたく心をはぎにあげて天の河原をけふや渡らん〈藤原兼輔〉」 ※平家(13C前)一二「墨染の衣袴きて月毛なる馬にのったる僧一人、鞭をあげてぞ馳(は)せたりける」 |
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② (名前を)世に広める。 | ※平家(13C前)五「一人をば討ちとり、一人をば生けどって、後代に名をあげたりし物にて候」 | |||
③ 人々の前で行なう。 | ※春潮(1903)〈田山花袋〉六「結婚の約束は成立って、この秋か冬には其の大礼を挙げやうとして居るのも亦確かである」 | |||
④ 一つ一つとりたてる。また、特別のものとして示す。 |
※書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「然らば則ち弟(いろと)に非ずして、誰か能く大節(ことはり)を激揚(アケム)」 ※平家(13C前)一「大織冠・淡海公の御事は、あげて申すに及ばず」 |
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⑤ (実例、証拠などを)はっきり表面にあらわす。 |
※浄瑠璃・伽羅先代萩(1785)六「態(わざ)と悪事に一味して、まっかう手めを上げよふ為」 ※花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中「歴史上の事実を挙(ア)げ」 |
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⑥ (効果、実績などを)目立って現われるようにする。 | ※星座(1922)〈有島武郎〉「或る程度までの効果を挙げることが出来たのだ」 | |||
⑦ ほめたたえる。称揚する。 |
※大唐西域記長寛元年点(1163)五「淑(よ)き匿(あ)しきを褒(アゲ)貶(くた)し」 ※読本・雨月物語(1776)仏法僧「此玉河てふ川は国々にありて、いづれをよめる歌も其流のきよきを挙(アゲ)しなるを思へば」 |
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⑧ 大勢の人を集め動かして事を始める。 | ※平治(1220頃か)下「佐殿すでに義兵をあげ給ふときこえしかば」 | |||
⑨ 推挙する。 | ※黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉四「如才のない稲川君と共に、敬二は幹事に挙(ア)げられた」 | |||
[五] 物事を終わりまでする。終わりにする。 ① しあげる。なしとげる。すませる。習い終える。 |
※大鏡(12C前)三「したがさねのしりはさみて乗り給ひぬ。さばかりせばきつぼに折り回し、おもしろくあげ給へば」 ※日葡辞書(1603‐04)「フシンヲ aguru(アグル)」 |
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② ある費用ですませる。ある金額で片を付ける。 | ※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「壱分。ヱ。それで上(アゲ)るつもりかヱ」 | |||
③ 遊興や投資に金を使い果たす。つぎこむ。入れあげる。 | ※浄瑠璃・心中二枚絵草紙(1706頃)中「新地ぐるいに身代あげ、方々の借銭」 | |||
④ すべてを出す。全部を集める。 | ※雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上「一国を挙げて大結合を為し」 〔史記‐刺客伝・摂政〕 | |||
⑤ (貴人の膳を)取り下げる。 | ※日葡辞書(1603‐04)「ゼンヲ aguru(アグル)〈訳〉食卓を片づける」 | |||
⑥ 城を攻める際などに、味方の兵が城際につめより、後に続く者がないような時、危険を考慮して呼び戻す。 | ※随筆・常山紀談(1739)四「唯今あげんとせば、彌(いよいよ)みだれあしになるべし」 | |||
⑦ 子孫を得る。子を産む。 | ※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三「牝牡一耦あり、今に至るまで十二回子を挙けたれとも」 | |||
⑧ 酒を熟成させる。 | ※玉塵抄(1563)三「酒はつくり入れて久うをいてあぐるがよいそ」 | |||
⑨ (揚) 熱い油で煮て、食べられるようにする。 | ※大草家料理書(16C中‐後か)「南ばん焼は、油にてあぐる也」 | |||
[六] 敬意を払うべき人に物を渡す。また、そういう人のいる場所に行かせる。 ① 神仏に供える。奉納する。 |
※栄花(1028‐92頃)鶴の林「御忌の程、関白殿、日ごとに法華経一部、阿彌陀経数多、経一偈(げ)をあげさせ給て」 | |||
② 敬うべき人にさし出す。さし上げる。また、現代では対等、または目下の者に与える意の丁寧な言い方。 |
※謡曲・烏帽子折(1480頃)「急ぎ追っ付き申しこのおん腰の物を上げ申さうずるにて候ふ」 ※家(1910‐11)〈島崎藤村〉下「お俊ちゃん達に進(ア)げる物がこの中に入って居る筈です」 |
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③ 上に差出す。返上する。 | ※六角氏式目(1567)二四条「年貢所当令 二 無沙汰 一 、下地可 レ 上之由申百姓前作職之事、一庄一郷申合、田畠可 レ 荒之造意、悪行之至、早可 レ 被 レ 加 二 御成敗 一 」 | |||
④ (返上する意から) ある場所に出入りすることや、ある資格をもつことを断わる。 | ※浮世草子・傾城禁短気(1711)三「さりとは見限り果てた法師が所為(しはざ)、明日から師匠あげてのける」 | |||
⑤ 言いかけられたなぞなぞの答えを言わないで相手にお返しする。なぞを言いかけたものに答えを言うよう求める。 | ※咄本・露休置土産(1707)一「或人、南無阿彌陀仏といふ謎をかけけれども、一座に解く人なければ『此謎はあげませう』といふ。『さらばとひて聞(きけ)ませう。貉(むじな)と解き申す』といへば」 | |||
⑥ 都へ向かって行かせる。のぼす。 | ※源氏(1001‐14頃)玉鬘「とかくかまへて京にあげ奉りてんといふ」 | |||
⑦ 屋敷などに奉公にやる。 | ※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「『踊(をどり)と申すものは、おちいさい内から御奉公ができてよろしうございますねへ。おいくつからお上(アゲ)なさいましたへ』『ハイ、六つの秋御奉公に上(アゲ)ました』」 | |||
⑧ 他人の家を敬い、そこを訪問させる。参上させる。 | ※黄表紙・莫切自根金生木(1785)上「『きっとした証人があっては、御貸し申されませぬ』『ずいぶん申触らしまして、大ちゃくな借手をあげませふ』」 | |||
[七] 補助動詞として用いる。 ① (動詞の連用形に付いて) その動作を完了する意を表わす。 |
「染め上げる」「刷り上げる」 ※古今六帖(976‐987頃)二・田「わが門の早稲田もいまだ刈りあげぬにけさ吹く風に鴈は来にけり〈素性〉」 |
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② (「申す」「存ず」「頼む」「願う」などの動詞の連用形に付いて) その動作の対象を敬う気持を添える。 | ※虎明本狂言・筑紫奥(室町末‐近世初)「身共は申あぐる事はならぬ程に、面々に申上い」 | |||
③ (動詞の連用形に、助詞「て(で)」の付いた形に添えて) その動作を他にしてやることの丁寧な表現。 | ※歌舞伎・傾城富士見る里(1701)一「私上手で御座る。取って上げませう」 | |||
[語誌](1)敬語動詞としての「あげる」は下位者から上位者への物の移動という意で用いられる謙譲表現であり、「ロドリゲス日本大文典」では「身分の低いものからシュジン、キニン等を始めとして天子に至るまで非常に貴い方に差上げるのに使はれる」とあり、当初は敬意の高い表現であった。近世以降次第に敬意が低くなり、近世後半には丁寧語と目される例も出現する。 (2)現代語においても、一九七〇年代前半では丁寧語としての用法は誤用としての意識が強く、女性特有の過剰敬語と考えられていたが、その後次第に男性も含めた若い層にも広く用いられるようになり、「やる」の丁寧語として定着するようになった(逆に「やる」は下卑た表現として意識されることも多い)。ただ、敬語動詞「あげる」の本質が謙譲語にあることだけは変わらず、両用法が並立している。→「あがる」の語誌 |
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広辞苑 | 他動詞 |
力や手を加えて、物の位置や状態や次元を高くする。 ➊そのもの全体または部分の位置を高くする。 ①上へやる。高い所に移動させる。 |
丹後風土記逸文「大和べに風吹き―・げて」。 竹取物語「燕はいかなる時にか子産むと知りて人をば―・ぐべき」。 「棚に―・げる」 |
上ぐ・挙ぐ・揚ぐ |
②上向きにする。 | 「目を―・げる」 | |||
③空高く浮かぶようにする。 | 「凧を―・げる」「花火を―・げる」 | |||
④高い位置に据え付ける。 | 「棟を―・げる」 | |||
⑤陸上へ移す。 |
平家物語11「―・げ置いたる船」。 「おかに―・げる」 |
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⑥下げていた髪を結い上げる。 |
万葉集16「橘の寺の長屋に吾がゐねし |
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⑦下に敷いてあるものを取りのける。 | 「畳を―・げる」「布団を―・げる」 | |||
⑧吸い上げる。 | 「切花が水を―・げる」 | |||
⑨(胃から口の方へ)もどす。吐く。 | 「船に酔って―・げる」 | |||
⑩家の中に入らせる。 | 浄瑠璃、仮名手本忠臣蔵「はじめてのお方を同道申した。…一つ―・げます座敷があるか」 | |||
⑪《揚》芸者・遊女を(座敷へ)呼び寄せる。また、呼んで遊ぶ。 |
西鶴織留1「丸屋の七左衛門方に太夫の吉野を―・げ置き」。 「芸者を―・げて大騒ぎする」 |
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⑫(人を)都へのぼらせる。上京させる。 | 源氏物語玉鬘「とかく構へて、京へ―・げ奉りてむ」 | |||
⑬勢いよく馬を跳ねあがらせる。 | 古今著聞集10「おとど力及ばで、あがり馬をひかれにけり。なか道くちをはづさせて―・げけり」 | |||
⑭(気を)たかぶらせる。 |
栄華物語若枝「あないみじ。 |
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⑮(水位を高める意から自動詞的に使われて)潮がさす。 | 「潮が―・げてくる」 | |||
⑯《揚》(金網にのせて油をきる意)熱した油の中へ入れて、調理する。 | 「てんぷらを―・げる」 | |||
➋価値・資格・程度・勢いなどを高める。 ①(「騰げる」とも書く)価を高くする。金額をふやす。 |
「料金を―・げる」 | |||
②地位を高める。昇進させる。 | 続日本紀10「冠位一階―・げ賜ふ事」 | |||
③(子女などを)寺子屋・学校などに入れる。 |
浮世物語「寺に―・げて手ならひをさすれども」。 「娘を大学に―・げる」 |
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④技能などを高度にする。上達させる。 |
日葡辞書「ガクモンナドノイロヲアグル」。 「腕を―・げる」 |
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⑤度を増す。また、勢いをさかんにする。勢いをつける。 | 「ピッチを―・げる」「温度を―・げる」 | |||
⑥声量を大にする。高く発する。 | 日葡辞書「コエヲアグル」 | |||
⑦顔だち・風采また評価などをよくする。 | 「男ぶりを―・げる」「男を―・げる」 | |||
➌極点にまで至らせる。事を終わらせる。 ①なしとげる。仕上げる。 |
「この仕事は今夜中に―・げなければならない」 | |||
②育てあげる。 | 今昔物語集9「その子を遂に―・げずして棄てつ」 | |||
③(赤子を)とりあげる。もうける。 | 「二男一女を―・げる」 | |||
④経費をそれだけですませる。 |
浮世床初「一分。ヱ。それで―・げるつもりかヱ」。 「費用を安く―・げる」 |
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⑤遊興や投資に金を全部使う。入れあげる。 | 浄瑠璃、心中二枚絵草紙「新地狂ひに身代―・げ、方々の借銭」 | |||
⑥《挙》全部出しつくす。 | 「全力を―・げる」「国を―・げて祝う」 | |||
⑦撤去する。かたづける。 | 玉塵抄14「食ひ果てて、食ひ残しの分けのあるを、婦が膳を―・げて」 | |||
➍高く人目につくようにする。広く知られるようにする。 ①高く掲げ示す。 |
平家物語2「天下に兵乱起つて、烽火を―・げたりければ」。 「看板を―・げる」 |
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②(実例・証拠などを)明確に表面にあらわす。また、(効果・実績などが)はっきりあらわれるようにする。 | 「証拠を―・げる」「成果を―・げる」 | |||
③(名声などを)世に広める。 | 平家物語6「日本一州に名を―・げ」 | |||
④取り立てて示す。 | 平家物語1「大織冠・淡海公の御事は―・げて申すに及ばず」 | |||
⑤ほめたたえる。また、その地位や仕事に適した人として推挙する。 |
雨月物語3「この玉河てふ川は国々にありて、いづれをよめる歌もその流れの清きを―・げしなるを思へば」。 「委員には某君を―・げる」 |
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⑥大勢の人を集め動かして事を起こす。 | 十訓抄「義兵を―・げて、かの国へ向ひ給ひし時」 | |||
⑦(行事や儀式などを)とり行う。 | 「式を―・げる」 | |||
➎高位または有力なものの所に到達するようにする。 ①神仏に供える。奉納する。 |
栄華物語鶴林「関白殿、日ごとに法華経一部、阿弥陀経あまた…を―・げさせ給ひて」。 「お |
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②身分の高い者にさし出す。献上する。 |
景行紀「すなはち |
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③返上する。辞任する。 | 玉塵抄2「周公の摂政を―・げて、山東の東国へひつこまれたぞ」 | |||
④(本来は「与える」「やる」の相手を敬った言い方)物を渡す場合の丁寧表現。 | 「君に―・げよう」 | |||
⑤屋敷などに奉公にやる。 | 浮世風呂2「六ツの秋、御奉公に―・げました」 | |||
⑥参上させる。 |
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⑦(官が領地・役目などを)召し上げる。没収する。 | 諏訪の本地「彼が知行の所領を―・げて、我等半分づつ知行せん」 | |||
⑧物をむりに取り上げる。まきあげる。 | 浮世風呂前「トレ手拭を見せや。…あれが所から―・げて来やアがつて」 | |||
⑨賊などを召しとる。検挙する。 | 「犯人を―・げる」 | |||
➏①(動詞の連用形に付いて)その動作を完了させる意を示す。 |
古今和歌集六帖2「わが門の 「一刻も早くし―・げてほしい」「勤め―・げる」 |
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②(「申す」「頼む」「願う」などの動詞の連用形に付いて)その動作の対象をあがめ敬う意を添える。 |
狂言、三人夫「汝らが名を申し―・げい」。 「お名前は存じ―・げております」 |
|||
③(動詞連用形に助詞「て(で)」の付いた形に添えて)その動作を他にしてやる意の丁寧表現。 |
梅暦「どこぞへ 「教えて―・げる」「本を読んで―・げる」 |
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大言海 | 他動詞 |
〔あがるノ他動( (一)下ヨリ上ヘ送ル。( |
古事記、下(仁德)
四
「 |
上・擧・揚 |
(二)手ニ |
景行紀、二年三月「力能 「盃ヲ擧ぐ」 |
|||
(三) |
神代紀、上
廿一
「天照大神 萬葉集、十六 十六 「橘ノ、寺ノ長屋ニ、吾ガ |
|||
(四)タテマツル。獻上ス。獻 |
景行紀、五十一年八月「所
レ
獻
二
神宮
一
蝦夷等、晝夜喧譁、云云、倭姬命曰、是蝦夷等、不
レ
可
レ
近
レ
於
二
神宮
一
、 |
|||
(五)位階ヲ |
續紀、十、天平元年八月、詔「百官、主典已上人等、冠位一階 |
|||
(六)聲ヲ高クス。 |
神代紀、上
十
「 古今集、四、秋、上「秋風ニ、聲ヲ帆ニあげ、來ル船ハ、 |
|||
(七) |
名義抄「稱、アグ、ホム」 | |||
(八)鳴ラシ弘ム。發揚 |
顯宗卽位前紀「億計王曰、然則非
レ
弟誰能激
二
玉葉集、十六、雜、三「道ヲ讓ル、君ニヒカレテ、 |
|||
(九) |
六帖、二「我ガ門ノ、 萬代集、四、秋、上「 「 |
|||
(十)動詞ノ下ニツキテ、熟語トナリテ、單ニ、敬フ意ヲ云フ語トス。 |
「 |
|||
あげる (一) |
||||
(二) |
||||
(三)價ヲ高クスル。 |
「直段ヲあげる」 | |||
(四)役目ニ取立テル。登庸 | ||||
(五)差シ來ル。滿タス。潮ニ云フ。(あげ潮)滿潮 | ||||
(六)寺子屋、學校ニ入學セシム。就學 | 「子供ヲ學校ニあげる」 | |||
(七)取リアゲル。召シアゲル。(官ヘ收ムルナリ)褫 |
「役目ヲあげる」扶持米ヲあげる」( |
|||
(八)召捕リテ牢ニ入レル。投獄 |
「刑事巡査ガ |
|||
(九) |
||||
(十)遊女、女藝者ヲ呼ビテ興ズ。昔シ、攝津ノ淀川ノ江口、神崎ノ |
動詞活用表 | ||
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未然形 | あげ | ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし |
連用形 | あげ | たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても |
終止形 | あぐ | べし、らし、らむ、ましじ、まじ |
連体形 | あぐる | も、かも、こと、とき |
已然形 | あぐれ | ども |
命令形 | あげよ |
検索用附箋:他動詞下二段