あの(彼)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 連体詞 (彼) (代名詞「あ」に格助詞「の」の付いたもの。古くは連語)
① 代名詞「あれ」の指し示す範囲の事柄を修飾する。かの
(イ) 話し手、聞き手両者から離れた事物、人などを指し示す。
※竹取(9C末‐10C初)「さし籠めて、守り戦ふべきしたくみをしたりとも、あの国の人をえ戦はぬなり」
(ロ) 過去の経験や目の前にない事物、人など、話し手、聞き手両者に共通の話題を指し示す。かの。いつかの。 ※虎明本狂言・今参(室町末‐近世初)「いつのならひに、あのあらくもしひ弁慶と判官殿のおちぎりやった事が有ぞ」
② 念を押し、または叱責の意を込めて、感動詞的に用いる。 ※虎明本狂言・入間川(室町末‐近世初)「あのたらしが、やるまひぞやるまひぞ」
感動詞 ① はやしことばとして用いる。 ※風俗歌拾遺(承徳本古謡集所収)(11C頃)陸奥風俗「名取川幾瀬か渡るや七瀬とも八瀬とも知らずや夜し来しかば安乃(アノ)」
② 話につまったり、ためらったりした時の、つなぎのことば。あのう。 ※洒落本・妓者呼子鳥(1777)三「『サアおとみぼうさしやせう。〈略〉』『アノこれでかへ』」
広辞苑 連体詞 (もと、アは代名詞、ノは格助詞)話し手から「あれ」と指せる位置にあるもの・ことにかかわる意。
①自分からも相手からも遠い位置にあることを指示する。
竹取物語「―国の人を、え戦はぬなり」。
「―前に立っている人」
②今の話題とは離れているが、自分も相手も知っている事柄にかかわる意。例の。 「―事はどうした」「―頃はよかった」
感動詞 口語で、話を切り出す時やすらすら言えない時に挟む、つなぎの語。あのう。 「―、ちょっとお尋ねしたいんですが」
大言海 連体詞 この(此)ノ語原ヲ見ヨ〕
かのニ同ジ。遠キ物事ヲ指シテ云フ語。(この、そのニ對ス)
源、十七、繪合 十六 「院ノ御繪ハ、(キサイ)ノ宮ヨリ傳ハリテ、あの女御ノ御方ニモ多クマヰルベシ」
同、十三、明石 十二 「參レリシ使ハ、云云、あの須磨ニトマリタルヲ召シテ」

検索用附箋:感動詞
検索用附箋:連体詞

附箋:感動詞 連体詞

最終更新:2023年10月13日 21:34