あり（衽）

日本国語大辞典
広辞苑
辞書	品詞	解説	例文	漢字
大言海	名詞	〔 蟻 (アリ)ノ義、蟻ノ腰ノ 括 (クビ)レタル形ヲ以テ名ヅク、（ 腰細 (コシボソ)ノ 蜾蠃 (スガル)）其使用ニ因リテ、 合入 (アヒイリ)ノ約ト云フハ、イカガ〕 （一） 輪 (リウ) 鼓 (ゴ)、又ハ、 榺 (チキリ)ノ形ヲナシタルモノ。ノ形ナリ。 裁縫 (タチヌヒ)ニ云ヒ、 木工 (ダイク)ノ 仕 (シ) 組 (クミ)ニ云フ。	沙石集（弘安）五、第八條、 蟻 (アリ)「中、 括 (クビ)レテ、前後ノ形ある故ニ、ありト云フ、云云、前後アルモノヲ、ありト云フベクバ、 輪子 (リウゴ)等ヲモ、ありト云フベシ、云云、先キニ旣ニ、りうごノ名ヲ得タル故ニ、ありト云ハズ」	衽
		（二） 袍 (ハウ)、直衣ノ 襴 (ラン)ノ左右ニアル、耳ノ如キモノ。其端ヲ、ありさきト云フ。	深窓祕抄、御直衣「御襴ノ高サ、七寸五分、御蟻、六寸五分、御蟻先、五寸五分」 連阿口傳抄「襴ノ左右ニ、耳ノ樣ナル物ヲバ、ありト云フ」（古事類苑、ありさき） 武家裝束抄、二、袍「襴ノ左右ニ出デタルヲ、ありさきト云フ」
		（三）木工、又ハ、指物師ノ語ニ、木ニテ 榺形 (チキリガタ)ヲ作レルモノ。コレヲ中斷シタル形ノ穴ヲ、兩材ノ各端ニ刻リ、其穴ニありヲ 塡 (ハ)メテ、密着セシメ離レシメズ。此中斷シタル形ノ 枘 (ホゾ)ヲ、ありぼそト云フ、其條ヲ見ヨ。	禮記、檀弓、棺ノ衽「疏云、小要也、其形、兩頭廣、中央小、鑿 二 兩頭合際處 一 、作 二 坎 (アナノ)形 一 、則以 二 小要 一 連 レ 之」（節文、要ハ、腰ナリ、腰ノ 括 (クビ)レタルナリ） 合類節用（元祿）七、器財「 衽 (アリ)、縫 二 合木 一 者、兩端大、而中小」 東雅（享保）九、器用、九、 栓 (キクギ)ノ條「ちきりト云ヒ、ありト云フモノアリ、禮記ノ檀弓ニ衽ト云フモノニテ、兩端、大ニシテ、中、 小 (スコ)シキナルナリ、ありトハ、蟻也」（節文） 倭訓栞、ありざし「工人ノ、ありヲサスト云フハ、蟻ノ形ナルベシ、 輪 (リウ) 鼓 (ゴ)ノ 形 (ナリ)モ亦同ジ」

日国と広辞苑は同じ見出し語の扱い。「あり（蟻）」を参照。

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