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術伝流操体 【5】応用 [1] 按摩指圧などと組み合わせ 
(2) うつ伏せで按摩指圧と組み合わせ
うつ伏せで按摩指圧と組み合わせ

 今回は、先回に続いて、按摩指圧との組み合わせの例です。
今回は、うつ伏せでの基本的手順と、工夫を紹介します。

(1)姿勢を変えて構いませんと伝える

 うつ伏せでも、初めに「姿勢を変えたくなったら、どんどん
変えて構いません。ただし、ゆっくり動いてください」と声を
掛けておきます。

 そして、姿勢が変わったら、その姿勢を良く観察し、その姿
勢を少し強調する皮膚や動きの操体をしていきます。特に、左
右差が目立つ所などに注目します。

(2)ラクな「うつ伏せ」で、重さの操体

 先ず、うつ伏せでラクな姿勢になってもらいます。首や手足
もラクな格好になってもらいます(写真1).

写真1

 そして、左右の肩、左右の尻に、重さを掛け、4つの中から、
重さを一番掛けて欲しい所を選んでもらいます。選ばれた所に
しばらく操者の体重を掛け、重さの操体をします(写真2)。

写真2

 この重さの操体で、うつ伏せの姿勢での大雑把な歪みが改善
できます。

(3)拳や肘を使って肩背腰を按摩指圧+操体

 次に、拳や肘を使って、肩や背中を按摩指圧していきます。

1) 肩の按摩指圧

 先ずは、肩です。受け手の頭の方に座ります。拳骨を作り、
四指の骨空(写真3)で、肩井、首の付け根、肩甲間部の上半
分などを指圧していきます(写真4)。

写真3

写真4

 指圧をするときは、操者の体重を前に移動し、骨空に体重を
掛けるようにすると、力を入れずに指圧できます。しかも、力
で指圧するよりも、圧が安定するしブレにくいので、気持ち良
い指圧になります。

 また、このときに、手首を回したり、横に振ったりして、動
診〜タワメ〜瞬間脱力を図1のようなリズムで繰り返すと、四
指骨空で按摩ができます。

図1 

 それから、肩井が弛みにくいときは、 肘を頭の方へ移動し、
肩井の部分が収縮するような動きの操体を組み合わせると、比
較的短時間で弛みやすくなります(写真5)。

写真5

2)背中の按摩指圧+操体

 次は、背中の按摩指圧に移ります。

 先ず、受け手の背中の横、左手側に移動し、臍を受け手に向
けます。施術中に、体重を左右の足に平均して掛けるためです。
この方が安定するので、気持ち良い按摩指圧になりやすいし、
操者が腰を痛める可能性も減らせます。

 その位置から、操者の肘〜前腕小指側を使って、頭の方から
腰の方へ、背中を按摩指圧していきます。

 初めに左手を使い、指先を受け手の腰の方に向けて、操者に
近い背中左側を按摩指圧していきます(写真6)。

写真6

 次は、操者から遠い背中右側です。この時は、操者の右手を
受け手の右手側に付けると、受け手に掛ける体重の加減がしや
すいです(写真7)。


写真7

 腰の部分に近付いたら、今度は、右手で、指先を受け手の頭
の方に向けた格好で、肘〜前腕小指側を使った按摩指圧をして
いきます。初めは、操者に近い左側(写真8)、次に、操者に
遠い右側(写真9)を按摩指圧していきます。

写真8

写真9

 肘〜前腕小指側で指圧する時も、力でするのではなく、操者
の体重を乗せていく方が、気持ち良さを感じてもらいやすいし、
効果も出やすいです。

 また、肘を立てて、手首〜前腕を回転させたり横に振ったり
して、動診〜タワメ〜瞬間脱力をリズム良く繰り返せば、肘で
も、按摩ができます。

 タワメの時に手首を極めると言うか、締めると言うか、グラ
つかないように、しっかり固定し(タワメ、写真10)、それを、
次の瞬間にフッと弛める(瞬間脱力、写真11)ことを併用する
と、より按摩らしい動きになります。

写真10

写真11

 また、弛みにくい所が見付かったら、そこの部分の筋肉が収
縮するような操体を組み合わせます。

 背中でも、横隔膜よりも頭側なら、腕を使った、肘の持ち上
げなどと組み合わせます(写真12)。このとき、狭くて肘が入
りにくいようなら、示指骨空などを使います。

写真12

3)腰殿部の按摩指圧+操体

 腰でも、背骨に近い部分は、「2)背中の按摩指圧+操体」
の背中の腰寄りの部分と同じように、肘から前腕小指側で按摩
指圧していきます。

 腰で、特に念入りにするのは、横側です。肋骨と骨盤の間の
脊柱起立筋の一番外側を、しっかり、按摩指圧していきます。
ツボで言えば、痞根〜腰徹腹ですね。先ず、操者側、次に反対
側。反対側をするときには、片手を下に付きます(写真13)。

写真13

 また、この時に、この部分が収縮するような動きの操体を組
み合わせると、弛みやすくなります(写真14、15)。

写真14

写真15

 殿部の中央は、肘を立て、先端を大坐骨孔に入れ、指圧しま
す(写真16)。この時も、 動診〜タワメ〜瞬間脱力をリズム
良く繰り返せば、按摩ができます。

写真16

 また、この部分が収縮するような動きの操体を組み合わせる
こともできます(写真17)。

写真17

4)足の按摩指圧

 次は、足の裏側から横側を、殿部に近い方から足先の方へ、
按摩指圧していきます。

 先ずは、片手を仙骨の辺りに置き、受け手の左足大腿部の太
陽経〜少陽経を四指骨空で按摩指圧していきます(写真18,19)。

写真18

写真19

 それから、下腿部を、示指骨空(写真20)で、按摩指圧して
いきます(写真21)。

写真20

写真21

 坐骨神経痛の人は、殿部中央が虚してフニャフニャズブズブ
になっていることが多いです。

 そういう時には、その部分を片手で皮膚操体をしながら、大
腿下腿の足太陽〜足少陽の硬い所を四指骨空で按摩指圧してい
きます(写真22)。すると、殿部中央の虚が改善し、症状も
軽減します。

写真22

 左側の太陽経〜少陽経を足先まで按摩指圧し終えたら、次は、
右足の足陰経を、殿部側から足先の方へ、母指で按摩指圧して
いきます(写真23)。

写真23

 大腿部は足厥陰、下腿部は足太陰が中心になりますが、それ
以外も経絡を辿りツボが出ていたら按摩指圧します。

 それから、受け手の右側に移動します。このとき、左手を仙
骨から離したら、直ぐに右手を仙骨に当てるようにします。そ
して、左手の拇指で、左足の足陰経を按摩指圧していきます
(写真24)。

写真24

 次は、左手四指骨空などで、右足の太陽経〜少陽経を按摩指
圧していきます(写真25)。

写真25

(4)左右差が有れば調整

 足の按摩指圧を終えたら、体の左右差が残っていないかチェッ
クし、有れば調整していきます。

 胸椎1番の辺りから背骨上を指を滑らし、正常でない感じの
する所を探します。見付かったら、そこから横に指を滑らし、
華佗経、1行線、2行線などの左右差が無いか、調べていきます
(写真26、27、28)。

写真26

写真27

写真28


 左右差が有ったら、指圧していき、ツボの底の筋肉の反発し
て来る力が同じ状態になったときに瞬間脱力します。そうする
と、拇指の力を殆ど使わずに、左右差を減らせます。
(この方法は、野口晴哉先生の整体操法の応用です)

 仙骨まで終えたら、足太陽経の左右差も同じように調整して
行きます。

(5)定番操体、左右差などが有れば

 うつ伏せからの定番操体の動診をしてみて、左右差などが有
れば、それを強調する定番操体をしていきます。

 うつ伏せからの定番総体については、術伝流操体no.17
術伝流操体no.18を読み直してください。


(6)鍼灸する人は、拇指を大切に

 鍼灸をする人は、拇指を鈍感にしないことが大切です。拇指
を動かしたときに痛みが出る状態では、鍼灸の細かい加減が実
行にくしなりますので。

 拇指の感性を保つためには、拇指やその近くの関節や筋肉な
どに余り負担を掛けない方が良いと思います。そこで、按摩指
圧するときには、先回と今回に書いてきたように、骨空、肘、
膝などを利用すると良いです。

 また、余り手や指の力を使わずに、操者の体重を利用した方
が、効果も出やすいし、気持よさを感じてもらいやすいです。

 このとき、肘や骨空の方が、拇指に比べて、前腕の延長に近
いので、ブレにくく、つまり、力が横にズレにくく、ストレー
トに操者の体重が乗っていきやすくなります。そのため、気持
ち良い按摩指圧になりやすいです。

 また、手足陰経側や鎖骨首側のような筋肉の柔らかい所以外
の、背中や手足陽経などの筋肉の硬い所を、拇指で指圧する時
(写真29)には、拇指関節を保護します。例えば、拇指関節
を示指基節骨で押さえます(写真30)。

写真29

写真30

 また、動きや皮膚の操体を組み合わせると、拇指やその近く
の関節や筋肉などに余り負担を掛けずに按摩指圧の効果を上げ
ることができます。


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最終更新:2017年02月25日 14:25