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術伝流操体no.62
【5】応用篇 (15)応用講座の症例:ひどい腰痛
ひどい腰痛

1.はじめに

 「酷い腰痛があります。それと、立ち仕事ですので脹脛がパン
パンです」というメールが来ました。

 講座にいらしたときに詳しく聞いてみました。

 「今は、左の腰椎部~骨盤の辺り、特に外寄りが突っ張った感
じで痛みが出ている。キッカケは、交通事故にあった2年位後に、
バス旅行で5時間ほど狭い場所にいたことで、その後に腰痛が出
てきた。それまでは腰痛持ちではなかったが、それ以来、よく腰
痛が出るようになった」とのこと。

2.操体をしてみた

2.1. 先ずは、痛い側上の横向き寝から

 先ず、痛い側を上にした横向き寝になってもらいました。

 そして、「姿勢を変えたくなったら、変えて構いませんから」
と声を掛けてから、操体を始めました。

 腰を前に押しながら、肩は前がいいか後ろがいいか聞いたら、
後ろでは痛みが出るということで、肩も前にする操体をしました
(写真1)。

 上になっている左側面を丸めながら、前側に倒していくような
感じで、皮膚の操体をしました。

写真1

2.2. うつ伏せ寝から

 姿勢を変えたくなったということで、仰向けとうつ伏せを比較
してもらったら、うつ伏せの方がラクということで、うつ伏せに
なってもらいました。

 左右の足を比べてみると、左足の方が真っ直ぐ伸びてしまって
いる状態でした(写真2)。

 左足首をケガしているので、曲がりにくく、それも関係してい
るかもしれないとのことでした。

写真2

 左足の方が悪そうなので、先ず左足をキッカケにする操体をし
てみました。

 左足を立てて足首回しをしてみました。内側に回転する方がイ
イ感じとのことでした。首の向き、左右の手の位置もラクな方を
選んでもらったら、腹の息が深くなっていきました(写真3)。

写真3

 それから、立てた左足を内外に倒してみたら、外に倒すと痛み
が出るので、内に倒す方が良いということでした。左殿部の皮膚
を内側(背骨側)にズラしたら、イイ感じということで、付け加
えました(写真4)。

写真4

 この状態で、左右差は少なくなっていました(写真5)。

写真5

 そして、両足をキッカケにするものも順番にしてみました。

 膝倒し(写真6)の左右差が大きかったです。

写真6

 尻叩きは、両方とも硬くできませんでした。多分、大腿前側が
硬いせいだろうからという話をし、仰向けのときに診てみること
にしました。

 まだ、左足が外を向いている傾向だったので、それを強調する
意味もあって、左足のカエル足操体をしてみました。足の指裏
(4,5指)のシコリを押して痛みが減るまで、膝を曲げてもらい
ました(写真7)。

写真7

 それから、少し強めに指裏を揉んで解しました。

 そしたら、うつ伏せでの爪先の向きの左右差は、ほとんど無く
なりました(写真8)。

写真8

2.3. 仰向け寝から

 仰向けになってもらい、膝立ての姿勢から、膝裏のシコリを見
付け、少し痛くし、その痛みが減るように膝を曲げていってもら
いました(写真9)。

写真9

 次は、膝倒し(写真10)。左に倒す方がイイ感じとのことでし
た。

写真10

 それから、足を伸ばしてもらい、指裏を診ていきました。尻叩
きができなかったことから足陽明経の硬さが予想されました。足
陽明経の2指裏を探ったら、案の定、シコリが見つかりました
(写真11)。特に、左側がすごく硬い状態でした。

 この部分が硬いと、大腿部の足陽明つまり前面も硬く、うつ伏
せ尻叩き、正座で仰向けといった姿勢がやりにくくなります。

 左足2指裏を刺激しながら、左大腿部の伏兎辺りに出ていたツ
ボを按摩しました(写真12)。

写真11
写真12

 しばらく按摩していたら、お腹の胃の辺りが動いた感じがして、
ラクな感じになってきたということでした。同じ頃、大腿部や指
裏も弛んだ感じもしたので、この部分の按摩を終えました。

 次は、踵伸ばし。左右交互に踵を突き出してもらったら、左は
力が入らないということで、右を押してもらいました(写真13)。
そしたら、左足も力を入れて押せるようになりました。

写真13

 その後、足揺らしをしたら、両方同時に畳の方へ下げる感じの
揺らしが良いということでした。揺れがスムーズに頭まで連動し
ていったので、寝た姿勢での施術を終えました。

2.4. 立位で、前後屈と左右捻転

 ゆっくり立ち上がってもらったら、ラクになった、左横のツッ
パリがすごく軽くなったとのことでした。

 前後屈をしてもらったら、後屈はラクだが、前屈は、手の平が
膝下の辺りまで曲げると、左腰にツッパリが出るとのことでした
(写真14)。

写真14

 左側を中心に、余分に後屈をしてもらいました(写真15)。し
ばらくして止め、また前屈してもらったら、指先が足首辺りまで
ラクに届くようになりました(写真16)。

写真15
写真16

 左右捻転にも左右差があり、左の方に回りやすいということで
した。ラクな左の方を余分にしてもらったら(写真17)、やりに
くかった方もラクにできるようになりました(写真18)。

写真17
写真18

2.5. 座位で仕上げ

 立姿勢での動作制限がなくなったので、座位での仕上げに移り
ました。

 先ずは、頭の後ろで手を組んだ座位で、胴体の3軸のイイ感じ
の方を選んでもらい、それに重さの操体を加えました(写真19)。
体重を戻したくなるまで、十分に操者の手に体重を掛けてもらい
ました。

写真19

 すごく気持ちよく、コリが解れていくということでした。

 終わりに、手の指揉みをしました(写真20)。

写真20

3.おわりに

 そしたら、普段はやりにくいという正座も、すごくラクにでき
るようになったとのことでした。尻〜大腿後側、腹〜大腿前側、
膝裏〜脹脛などが弛んだせいと思います。

 しばらく按摩したり操体したりしていると、シコリが弛んでく
る、症状が重いわりには、弛みやすい体の人でした。それで、自
分でも、左右差のある動きがあったらイイ感じの方を余分にする
操体をしたり、手足の指揉みをしたりするよう伝えました。


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最終更新:2015年03月14日 11:17