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邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ

ミステリに魔女を出すな

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jyakiganmatome

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「……ああ、萌葱…無事でいてくれ………」


応接間のソファに座って頭を抱えるのは三島 健吾。
仙堂 萌葱の婚約者で在る。


「落ち着いてください三島さん。今、全力を挙げて捜査を行っているところです
 大丈夫ですよ。邪気街の警察の腕を信用してください」


その肩を叩いてなだめているのは及川 健介警部。
僕とは事件でたびたび顔を合せており、手柄を横取りされ続けているためか
何かと僕につっかかってくる困った人物だ。

現在、僕とアシュリーは萌葱の監視をセブンに任せ、三島邸の応接室にて彼らと同席している。
無論、関係者では無いので追い出されそうになったものの、萌葱に関する情報をきわどいところまでちらつかせ
探偵と言う職業も生かし、強引に捜査の席に割り込んだのだ。

この調子で僕の事務所に萌葱が監禁されているところまでばれてしまえば、確かに不味いのだが
そのギリギリのところまで踏み込む事、そして僕の立場を利用することで、僕に対して疑いがかかることを避けている。

いきなり訪ねてきて、失踪した婚約者の事を調べていたとぬかし、有益な情報を提供すると強引に割り込んできた
小娘の探偵。

見るからに怪しいが、怪しすぎて逆に疑いから外れるというパターンだ。
まあ、こんなことをする誘拐実行犯は居ないだろうし、警察とはたびたび面識があるから、僕が探偵だと言う事実は
説明しなくても信用を得られている。
あとは口八丁手八丁。


「…おねえちゃんは詐欺師になったほうが向いてたと思う」

「…法に触れる方法で金を稼ぐのはちょっとね」


どの口が言う、と言われかねない。


「でも、あの萌葱っていう人の監視、コッコに任せて良かったの?」

「そういえばアシュはそう呼んでたね。でもこの場合はあいつのほうが良いんだ」


そう、セブンなら彼女の傍に置いておくには適任だ。
僕たちはここで「犯人」を探す事に専念する。


「……やっぱりあの部屋にいながら殺人なんて出来るわけないよね。あの人、戦えるような能力持ってないんでしょ?」


他に聞こえない程度の小声で話しかけてくるアシュに、僕は頷いて答える。
そう、あの部屋にいながらこの場にいる三島 健吾を殺すのは不可能だ。

ならば、『ホワイダニット』

なぜ。


「……それを確かめるためにここに来た」


改めて、この部屋に居るすべての人物に目を向ける。

目の前の優男は萌葱の婚約者、三島 健吾。
彼女にこれから殺される予定の人間、ということになっている。

その後ろに立つ汚い親父が警部、及川 健介。
狡い男で、事件の解決よりもいかにして自分が手柄をあげるか考える男。

いわゆる上座に当たる席に座る、禿げたちょび髭の親父は三島 典之。
三島コンツェルンの会長にして、健吾の父親に当たる。

その横の席に座る、厳かな白髪の老人は千堂 秋水。
杖をつくような歳なのに萌葱を作ったのは20年前、エロ爺だ。


「……健吾、萌葱、婚約関係にあるどちらも片親か…珍しい共通点だな」


警部、及川の背後に控える二人の刑事。
ガタイの良いほうは佐々木 尚。ひょろっとした頼りなさそうなのは志波 行人。
いつも及川とともに現場に居合わせるコンビだ。


「こいつらに関しては、良いか…いつもの顔ぶれだね」


当主、典之の両サイドに盆をもって控えるのがこの館のメイド二人。
眼鏡に三つ編みの春咲 可憐。
黒いボブカットの篠宮 椿。
どうやら可憐のほうが年上らしく、椿は少々、メイドにしては抜けたところがあるようだ。

そして。


「でもお姉さまって、本当にさらわれたのかしらね」


この僕と同年齢くらいの、無駄に鋭い少女。
萌葱の妹、仙堂 逢歌。
こいつが非常に面倒臭い。


「だってそうでしょう?誘拐事件なのに身代金も要求してこないなんて。
 行方不明になって二週間もたってから手紙が届いたのもなんだか不自然だわ」

「なにを言いだすんだい、逢歌さん。君は何が言いたいって言うんだ」

「別にちょっと疑問に思っただけですわ、お義兄さま。小娘の戯言と聞き流して?」


この生意気な態度は周囲もたびたび悩まされているらしい。
が、それ以上に僕を悩ませるのはこいつの無駄な洞察力の高さだ。
僕のところに萌葱が居ることを感づくとしたら、間違いなくこいつが最初になるだろう。


彼らに加えて僕と、アシュリー。
これにて舞台に役者はそろったことになる。




犯人になる予定の彼女、仙堂 萌葱を除いては。
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