(2)魔術構成
(2)-1 人工精霊『リゾーマタ』
決められた属性ごとに[[約定魔術]]議会が作成した、知性を持った人工の精霊。これら全ての総称を『リゾーマタ』と呼ぶ。 現在公開されている属性は「火」「水」「土」「風」「樹」「雷」「重」「命」「具」「音」「色」に「光」「闇」を加えた13種である。 それぞれの特徴を簡単に後記する。 これらの精霊は全て一般魔術理論で構築されているが、すでにそれは土台に過ぎず、今現在は新たなる魔術理論の上で行動している。
また、これは余談だが13種全ての精霊が同じ魔術波動を放っているため、「これらの人工精霊は全て一人の人間の『オド』で作り出した」と主張する学者もいる。 しかしこのレベルの人工精霊は、小指を一本作った時点で普通の魔術師が昏倒するほどの『オド』が必要である。 よって現在の魔術界では「何らかの術式を持って大量の魔術師の魔術波動を均一化した」という見方が主流である。
- 精霊の特徴一覧
「火」
熱変化を司る精霊。火と名が付いているが、実際には熱の減少も可能なので冷気も含まれる。
「水」
液体を司る精霊。一部の魔術のように回復を兼任していたりはしない。
「土」
固体を司る精霊。特に、金属元素を操ることを得意としている。
「風」
気体を司る精霊。液体、固体、気体は常温・常圧での状態に従って分類される。
「樹」
植物・呪いを司る精霊。相手の行動を阻害する呪文が多く刻まれている。
「雷」
電子移動を司る精霊。「光」に次いで攻撃速度が速く、防御もし辛い。
「重」
引力を司る精霊。コストパフォーマンスが低く、使いにくいが範囲の広さは群を抜いている。
「命」
生命力を司る精霊。回復・身体強化などを刻まれており、直接攻撃の術は無い。戦士系の者が好んで契約する。
「具」
道具・機械を司る精霊。道具の効果を底上げしたり、使い手の技術を向上させる。やはり直接攻撃の術は無い。遠距離武器を使う者が好んで契約する。
「音」
振動を司る精霊。攻撃力は低いが、振動遮断専用の術以外で防ぐ方法はほとんど無い。『タプ』が非常に高い者が使うと、途端に凶悪になる。
「色」
幻影・色術を司る精霊。直接攻撃手段は無い。が、諜報を行う時に契約していると心強い。色術は魅了系統の魔術。
「光」
光粒子を司る精霊。攻撃を得意としており、攻撃速度も各精霊の中で随一。
「闇」
影を司る精霊。防御を得意としており、単純な防御力の他にも搦め手による防衛もする。
(2)-2 契約と記憶
実際に魔術を使用するためには、約定魔術議会の支部などに赴き、下級正階以上の術師の手によって精霊との契約を結ばなくてはいけない。 初めに一人が契約できる精霊は一種のみであり、契約の変更・破棄は基本的に出来ない。契約精霊の増加は、議会が発行しているライセンスを持っている者のみ可能である。 約定魔術が発祥してから八年という時期の短さのため、一般的な力量の魔術師は一つか二つ。最多の契約数を誇る魔術師でも七つの精霊と契約するのみである。 また例外として約定魔術を使用した犯罪が行われた時、議会の方から一方的に契約を破棄されることがある。 この場合は再契約が不可能であり事実上、約定魔術を生涯使えなくなることと同義であろう。
また、精霊と契約しただけでは約定魔術は使えない。契約はあくまで属性を決める儀式に過ぎないのだ。 属性を決めた後は、精霊に刻まれている魔術のどれを『記憶』するかを選ばなくてはいけない。 もちろん様々な条件によって記憶できる術はある程度絞り込まれてくる。
まず第一に「自分が所持しているGP以上の魔術は記憶出来ない」 魔術を記憶するにはGPを消費しなければいけないからだ。これについては(3)-1.4で詳しく説明している。
そして「自分の『タプ』の七割以上を使用する魔術は記憶できない」。 これは(1)-2で説明したように、修正を受けることを避けるためである。同時に、人間的に未熟な者が強い術を覚えないようにとの配慮でもある。
次に「覚えようとしている術の基礎魔術を習熟していない場合、その術は記憶できない」。 約定魔術といえども、精霊に刻まれた術の中には使い方が難しい術が当然存在する。よって、使い方が似ているが威力が弱い術や、コントロールのしやすい術の「レベル」((2)-4にて後述)をある程度上げておかないと記憶出来ない場合がある。
四つ目に、「特定の物質を必要とする魔術は、その物質を持ってない限り記憶できない」。 人工精霊に刻まれた魔術の中には、様々な理由によって封印されている魔術や、使用者が特殊な肉体・精神を持たないと使用できない魔術が存在する。 そのような魔術を記憶するためには、「自分はこの魔術を確実に使用できる」「特殊な肉体・精神を取得できる」などの証となるアイテムが必要になる。 例えば「光」の人工精霊に刻まれている「聖光、武具へ纏われ」は「人間賛歌が教えに含まれ、ある程度以上の教徒を保持する宗教の聖印」を持たないと記憶ができない。
そして最後に「源泉魔術の禁止」である。 精霊は元々人工の物なので、根底の理論は一般の魔術で構成されている。 なので、その体には存在を確定している「源泉魔術」というものが刻まれている。 人工精霊そのものを形作っている術なので他のどれよりも強力だが、使用する『タプ』も半端な量ではなく、「これを使用して「消滅」しない生物は居ない」と言われている。
これらの禁止事項に引っかからない術のうちから、自らが望む効果の術を選び出し、その術を『記憶』する。 また、この儀式も約定魔術議会に勤める下級権正階以上の術師が行う必要がある。 約定魔術議会における術師の階位については(3)-2において説明している。
(2)-3 術のランク
約定魔術にも一般魔術の下級、中級などと同じように術のランクが存在する。 術の性質ごとに「人」「地」「天」「その他」の四つに振り分けられ、ランクが上になるにつれ術の種類も減っていく。 なお、「その他」に分類される魔術は源泉魔術のみであり、通常の術師が知るランクは人、地、天の三つである。 それぞれの大まかな強さは下記を参照。
・人 個人の範囲で用いられる魔術のほとんどがここに含まれる。 具体的には対象を一つ指定するものや、自身に効果を及ぼすもの、単純な遠距離魔術など。 範囲指定する魔術は直径10m以内の物であれば「人」のランクとなる。
・地 物質に描かれた陣を介する結界、広範囲魔術などが含まれる。 範囲指定魔術は直径10m以上であれば「地」のランクとなる。 基本的に「人」よりも攻撃力は高いが、一点の突破力では劣ることもある。
・天 空間に描かれた陣を介する結界、極大範囲魔術などが含まれる。 極大範囲魔法とは具体的な距離が設定されているわけではなく、なんらかの条件を満たした空間が範囲となる。 「術者の視界内全てが魔術の有効範囲内」や「呪文の声が届く場所全てに効果を及ぼす」などがそれに当てはまる。
(2)-4 術のレベル
精霊に刻まれ、定型化された魔術は常に安定しているが、それ故に使用者の技量が独力で術を安定させられるまで高まると、術が誤作動を起こし逆に不安定になってしまう。 この問題に対して約定魔術議会は「術のレベル」を設定することにより、使用者の技量と共に術の威力を上げて誤作動を防ぐことに成功した。 平均値としては10(2n^2+2n+1)(nはレベルアップ前の術のレベル)回ほど使用することによってレベルアップする。 つまりLv1→Lv2は約50回、Lv2→Lv3は130回ほど使用すれば達成できることになる。 また、レベルが5の倍数に到達すると威力が劇的に上昇する。 Lv1~Lv4までは鉄板を焦がす程度だった炎の術などは、Lv5になると鉄板の形を変える程度にまでの強化が成された。 よって、約定魔術師は「よく使う魔術は最低でもLv5にしろ」と言われている。