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――あははは

――あははは、あははは

――あははははははははははは!!



夜の闇に、少年の哄笑が響き渡っていた。
色素の薄い頭髪の天辺に特徴的なアホ毛がある、見かけだけなら少し冴えないだけの、普通の少年に見える。
だが、この状況下においてこんな風に笑っていられるなんて――どう考えても異常としか思えない。
少年の名前は、狛枝凪斗。
『超高校級の幸運』と称される、ただそれだけの取り柄しかない人物だ。
狛枝はどろどろと濁った、悪意の渦巻く瞳に彼なりの『希望』を灯して笑う。

「なんて絶望的なんだろうね……!」

自分は全ての『絶望の残党』を抹殺するために、その身を挺して正真正銘の不可能犯罪を起こした筈だった。
いや、正確には『起こさせた』という表現が正しいだろうか。
命を落としたのは他ならぬ狛枝凪斗――彼は、自らも絶望的な存在であることを理解した上で、その自分もろとも蔓延る絶望を焼き尽くさんと事件を起こした。
顛末がどうだったかは、彼には分からない。
しかし、ただ一つ言えることはある。
――狛枝凪斗と絶望の残党どもは、またも絶望的なゲームに巻き込まれたのだ。
前のコロシアイ修学旅行のように、誰かと悠長に話し合っている暇さえ与えられない。
要求されるのは実力行使。如何にして、自分以外の全てを抹殺するか。
なんて絶望的で――なんて最悪なゲームなんだろう。
狛枝は身震いを抑えるように、恍惚とした表情のままでその身を抱き締める。

「いや、でも希望はある……! よく考えてみれば、これはすごく希望に満ちたゲームじゃないか……!!」

結論から言って、狛枝凪斗は生き残る気など毛頭なかった。
幸運なこと意外に何の取り柄も持たない自分のようなクズが、どうして他の人間の上に立とうと思うのだ。
おまけに、『狛枝凪斗』は自分が最も嫌う絶望の一人。
いっそここで命を散らしてしまう方が、安心できるというものだった。
そして、真実を知る以前はあれほど憧れていた『希望ヶ峰学園』の同郷達についても、生かしておく必要はない。
彼らは絶望的な存在だから。
希望の芽を摘み取ってしまうような、生きていることが罪深いような連中だからだ……!

「く、くく――聖杯なんてものが、本当にあるかはボクみたいなクズには分からないけど……」

ただし、この殺し合いゲームの賞品はあまりにも巨大だ。
願いを叶える道具なんてお伽噺の中でしか聞いたことがなかったが、絶望的な男――スカリエッティの口振りから推察するに、どうも嘘を吐いているようには見えなかった。
それなら、その『聖杯』を正しい願いを抱く、希望に満ちた存在に与えればいい。
奇跡の力で成就された希望――ああ、そのあまりに甘美な響きに、思わず震えてしまいそうだ!
更に、こんな自分でも新たなる希望の芽生えに一役買えるという事実が、とてつもなく愛おしい!

「最後の一人まで、『超級の希望』の肩書きに相応しい参加者を残せれば、それは間違いなく希望だよ!」

その為には、狛枝凪斗も殺人に手を染めなければならないだろう。
以前のような間接的な手段ではなく、直接手を下すことも視野に入れなければならなくなる筈だ。
絶望の片棒を担ぐのはやはり、どうしても嫌悪感を覚えてしまうが――世の中、時には我慢も必要。
希望を応援することを我慢して、絶望に徹するように努力すれば、最後に待っているのは希望のフィナーレ。
努力は報われる。小学生でも知っているような、当たり前の『希望論』が、狛枝をまた一段と悦ばせる。

「さぁ、そうと決まったら動かないとね……せめて人生の最後くらいは、良いことをしておかなきゃ」

狛枝は一頻り高揚した後に、徐にどこかへと歩き出す。
やるべきことは二つ。
一つ、『超級の希望』が生き残れるように、他の参加者を間引くこと。
もう一つは、ゲーム終了までに聖杯を託すに相応しい『超級の希望』たる存在を見極めることだ。
からからと笑いながら、『超高校級の幸運』は人生最後の一大イベントに取り組むべく進む、進む。
――歪んだ希望論を。
――悪意に淀んだ希望論を暴走させながら。


【一日目/深夜/F-1 海】


【狛枝凪斗@スーパーダンガンロンパ2-さよなら絶望学園-】
[状態]健康、気分の高揚
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×3
[思考・行動]
0:『超級の希望』と呼べる存在を探し、優勝させる
1:『超級の希望』になり得ない存在を間引く
2:『絶望の残党』たちは優先的に排除。ゲーム終盤になり次第、自分も頃合を見て自害する
※死亡後からの参加です



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実験開始 狛枝凪斗 [[]]

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最終更新:2013年01月26日 12:18