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最後に愛と勇気が勝つストーリー。
そんなもの、ありはしなかった。




森の中を一人の青年が駆けていく。
その手に持っている銃は、誰かと戦うならば大きな力となりえるだろう。
だというのに、青年の顔には迫り来る死への恐怖が張り付いている。
青年―――浜面仕上は、自らの考えの甘さをただひたすらに悔いていた。

「くそっ!」

視界の端に薄紫の光を捉え、自分が『追手』に追いつかれたことを悟る。
足を止めぬまま周囲へと視線を向ければ、こぶし大の光が五つ、彼を追いかけるように飛行していた。
その光の中心には虫のようなフォルムの機械が存在し、その無機質な姿が浜面の恐怖を容赦なく煽る。

(無能力者一人殺すのに、随分と手間かけやがる……っ!)

学園都市による粛清。
この殺し合いの場を浜面仕上はそう判断していた。
第三次世界大戦の最中に学園都市との交渉材料を手にし、大戦を生き延びたまでは良かった。
恋人である滝壺理后と共に学園都市へ戻り、麦野や絹旗と共に新生アイテムとして本格的に動き出そう――というところでこのザマだ。

考えが甘かったのだ。

交渉材料となりえるものをたった一つ手に入れたところで、学園都市が本気になればこんなにもあっさりと捕らえられてしまう。
『聖杯』とやらが何なのか浜面には見当もつかないが、こんな殺し合いに自分が参加させられているのは学園都市に反抗した報復に違いない。

(だからって、黙って死ぬわけにはいかねぇ!)

ここには自分だけではなく、滝壺も連れてこられている。
その事実が浜面に殺し合いへの反抗心を生み、必死に生きようと足掻く力を作り出していた。

「っ!?」

だが、そんな思いも空しく飛び回る『虫』の一匹が右足に激突してきてバランスを崩す。
深夜の森の中を全力疾走していたのだ、
僅かにバランスを崩しただけで足を取られ、為す術もなくその場へ転倒してしまう。
慌てて起き上がろうとするが、『虫』は既に浜面を取り囲み逃げることが不可能であると気付かされる。

「ちくしょうが……っ」

せめてもの抵抗として銃を構えはするが、不規則に飛ぶ『虫』に当てる自信はない。
先程攻撃を受けた右足に異常は見当たらない、直接的な攻撃力は低いのだろう。
だが、恐らくは学園都市の兵器であろうそれはどのような機能を持っているか予想できない。
仮に何らかの薬剤を注入されてしまえばそれで終わりだ、下手をすればさっきの足への一撃で全て終わっていた可能性すらある。
『虫』への対抗策を考えようとしているが浮かぶのは最悪な考えばかり。
浜面の目に段々と絶望の色が湧き上がる。



「まったく、見てらんないよねぇ」

声と同時に飛来した何かが『虫』の一匹を打ち砕く。

「な……!?」
「ほんと、こんなのはらしくないってのにさ」

続けざまに二匹。
『虫』は回避することも出来ないまま砕かれる。
唖然とする浜面の隣へと、年端もいかぬ少女が降り立った。

「ボサっとしてないで、さっさと立つか逃げるかして欲しいんだけどねぇ」
「あ、わ、悪い」

咎めるような言葉に思わず謝り、その場に起き上がる。
たったそれだけの間に残っていた『虫』も仕留めたようで、少女は槍を片手に浜面へと向き直った。

「で、怪我とかあるか?」
「いや……大したことない。すまない、助かった」

浜面の答えに「そっか」とだけ反応を返し、すぐに背を向けてしまう。

「お、おい! どこに行く気だ!?」
「言う必要があるかい? わざわざ助けてやったんだから、簡単に死ぬんじゃねぇぞ」

それ以上浜面が言葉を発するより早く、
少女は地を蹴りあっという間に浜面の視界から消えてしまった。

「な、なんなんだアイツは……?」


【一日目/深夜/A-3 森】

【浜面仕上@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康、疲労(中)
[装備]モーゼルC96(レッド9)(10/10)@現実
[所持品]基本支給品一式、9mmパラベラム弾(40発)、ランダム支給品×2
[思考・行動]
1:滝壺と共に生きのびる

緑々しい野原の中、一人の少女が佇んでいた。
薄い紫の髪をなびかせ、少女――ルーテシア・アルピーノは小さくその口を開く。

「……来た」

数瞬の間を置き、その眼前に先程浜面を助けた少女――佐倉杏子が現れた。

「アンタ、魔法少女だよな」
「………」
「ダンマリかい、別にいいけど」

一つ息を吐きながら、杏子は手にした槍を突きつける。
切っ先を目の前にしながら、ルーテシアは瞬き一つせずじっと杏子を見つめていた。

「……アンタも、魔法少女の真実に絶望したクチかい?」
「―――インゼクト」
「っ!」

周囲の草むらから飛び出してきた『虫』を飛び退ることで回避し、杏子は思いを馳せる。

(らしくない―――ほんと、何してるんだろうねぇ、あたしはさ)

襲われてる人間を助け、悪人を退治する。
そんな正義の味方のような生き方、自分はしていないはずだった。

(ったく……これも全部、さやかのせいだ)

この殺し合いに参加させられる前、彼女は死んでいる。
絶望に染まり魔女と化した少女を、その身を呈して止めたのだ。

(アタシはさやかを救えなかった。私達に希望なんて、キュウべえが用意しているはずがなかったんだ)

彼女の願う物語は存在しなかった。
それでも、彼女は思い出すことが出来たのだ。
自分が憧れた、みんなを救う魔法少女という存在を。

どうして死んだはずの自分が、美樹さやかが、巴マミが生きてこの場にいるのかは考えてもわからない。
だが、どうせわからないのならば、考える必要なんてない。

「今度こそ、見せてやろうじゃん」
「………?」

迫る『虫』を打ち払いながら、杏子は笑う。
その目に希望の光を灯し、前だけを見つめて。

「愛と勇気が勝つストーリーってやつの始まりだ! 話の最初は、アンタを止めるところから!」


【一日目/深夜/B-3 野原】


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[装備]杏子のソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×2
[思考・行動]
1:目の前の少女を止める
2:愛と勇気が勝つストーリーを目指す!


ルーテシア・アルピーノの心は閉ざされている。
眠り続けている母のメガーヌが目覚めない限り、この心が開くことはないとジェイル・スカリエッティに信じこまされて。
だからこそ、この殺し合いに関しても「聖杯があれば母が目覚める」程度にしか捉えていなかった。

(……アギトがいたら、止めるのかな)

閉ざされているはずの心を、自分でも気づかない程度に揺らしながら――少女は目の前の敵へ殺意を向ける。

【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]健康
[装備]ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×2
[思考・行動]
1:目の前の少女を倒す
2:最後の一人となり、聖杯で母を目覚めさせる。
※ハクテンオウ、ガリューの召喚は制限されています。




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実験開始 ルーテシア・アルピーノ [[]]
実験開始 佐倉杏子 [[]]
実験開始 浜面仕上 [[]]

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最終更新:2012年12月25日 09:55