急かすなよ、急かすなよ、お楽しみはこれからだ。
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突然、殺し合いを命じられた。
何が起こっているのかを飲み込む前に、一人の首が飛んだ。
さも当然かのように、人一人が死んだのだ。
その事実を受けとめる時間すらも与えられず、こうして殺し合いの場に放り込まれた。
一体、何がどうなっているのか。
それを考えようとして、まずは落ち着こうと思って歩き出した矢先である。
血塗れの少女が、自分を見ていた。
一面の赤。
その中央に位置するのは同年代の少女。
すらっと伸びる黒く長い髪。
妖艶かつ弱々しく上下する胸。
音がはっきりと聞き取れるほどの荒い呼吸。
そして、何かを訴える目に引き寄せられるように。
少女の傍へと近寄っていった。
「だ、大丈夫!?」
まず、かけたのは身を案ずる言葉。
状況的にどう見ても大丈夫ではないのだが、かけずにはいられなかった。
「ええ、ちょっと血が多く出るところをやられただけよ」
汗を滲ませながらも、少女は気丈にレナへと応対する。
だが、言葉とは裏腹に少女は鮮やかな赤の血を吐き出していく。
咳はしばらく続き、少女の顔が始めよりも青ざめていくのが分かる。
「今、今手当てしてあげるからね!」
慌てて治療具を取り出そうとするレナの手を、少女はやんわりと止める。
「大丈夫よ、血は多くてもそこまでの怪我じゃないわ」
「で、でも!」
「それより頼みたいことがあるの」
すっかり涙目のレナの顎に手をやり、少女は優しく語り掛けていく。
「桐山和雄、私をこんな風にした男の名前。
まあ、ちょっとした知り合いだったんだけど、気を抜いたところにザクっとね。
で、必死に抵抗したから、逃げられちゃったのよね。
でも、野放しにしておけば必ず害を生むわ。
だから、あの男、桐山和雄は危険だということを多くの人に伝えて欲しいの」
弱弱しくも、しっかりとしたトーンで語られる言葉の数々を、レナは頷きながら飲み込んでいく。
「私は大丈夫よ。救急箱はどうも等しく配られてるみたいだし、治療したらすぐに動くわ。
第一、死に掛けの人間はここまでベラベラ喋らないわよ」
そこまで言ってから、口元に付いた血を少し乱暴に拭き取る。
そして、レナの片手を包み込むように両手で握り締め、レナの顔を下から見上げるように覗き込んで言葉を続けていく。
「改めて、お願いできる?」
「……うん」
「ふふっ、頼もしいわね」
暗い表情でもしっかりと頷いたレナの目に浮かぶ涙を、少女はゆっくりと拭う。
「さぁ、行ってらっしゃい。大丈夫、これくらいじゃ死なないわ」
少女の眼の色が一転、力強いものになる。
レナもその目の力を信じ、ゆっくりと立ち上がり駆け出していった。
駆け出していく道中で、レナは思う。
あの少女は気丈に振舞っていたが、彼女は"襲われた"。
"桐山和雄"という、殺しを厭わない人間によって。
ここは殺し合いの場。
誰が何時、何処で襲ってくるのかもわからない。
そんな中で、どうすべきなのかを決めずに動くのは果たして良い手なのだろうか?
さっきの少女は大丈夫だったが、もしあれが殺人鬼だったならば?
今のようにそうホイホイと他人を信じても大丈夫なのか?
答えを見つけられないまま、レナは課せられた願いを叶えるために走り出していく。
ミスが一つある。
「……案外上手く行くものね」
いや、一つではない。
この短いやり取りで竜宮レナが犯したミスは、いくつかある。
その最たる物は「この少女、相馬光子は負傷などしていない」ということを見抜けなかったことだ。
相馬光子は、自分が一度死んでいるということを認識していた。
どういうカラクリかまでは見抜けなかったものの、自分という命が無くなって行く瞬間は明確に覚えている。
そして、招かれた二度目の殺し合い。
プログラムとはまた違った趣旨の殺し合いである。
そして、彼女の心を突き動かす甘美な一言。
――――最後の一名まで生き残った『優勝者』には――降臨した聖杯の力を献上しよう
とても、とてもとても甘い響きだった。
それは一体どんな力なのだろうか? 考えるだけでも胸が躍る。
そして、その力を手にしてみたいと、心のそこから考えるようになった。
となれば、生き残ることが最優先だ。
配られた名簿を見る限り、既知の人間は限りなく少ない。
だが、その少ない人間の中にも厄介な人間がいる。
桐山和雄、自分の命を奪い去った存在だ。
最後まで生き残ると決めた以上、彼の存在は非常に厄介だ。
自分の手を煩わせることなく、桐山和雄という存在を殺しておきたい。
何か役に立つものが無いかと支給品を漁ると、御誂え向きに血糊が一瓶支給されていた。
そこから思考をめぐらせ、一つ賭けに出てみるのも悪くは無いだろうと判断したのだ。
制服に血糊をぶちまけ、支給されていた救急箱のガーゼに血糊を含ませて口に入れる。
後は木にもたれかかり、誰かが通りかかるのを待つだけだった。
そして案の定、いかにもお人よしそうな少女が釣れた。
この瞬間、光子は自分の幸運を実感した。
台本も無いのにすらすらと出てくる言葉を上手く操り、現れた少女を動かしていく。
別に殺しても良かったのだが、ハナからやりたい放題殺していては体力が持たない。
何よりも"桐山和雄は殺人鬼"という情報を流させることの方が何よりも重要だった。
まあ、結果を見てみれば大成功だったわけだ。
そして光子は、今後妙な不信感を抱かれないよう、血糊の着いた制服をそそくさと脱ぎ捨て、支給された他校の制服へと身体を通していく。
サイズは少し小さめだが、動く分に関しては問題ないだろう。
隠していた刀を携え、殺し合いの場へ向けてニヤリと笑う。
聖杯。
それは、どんな美酒なのだろうか。
ああ、――の世界でピエロが笑う。
命がけのサーカスが始まる。
柵のテントの中で、柵のテントの中で。
【一日目/深夜/H-3】
【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]衣服に多少の血
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本:決めかねている
1:「桐山和雄は殺人鬼である」という情報を流す
【相馬光子@バトル・ロワイアル】
[状態]血糊まみれ
[装備]塵地螺鈿飾剣@現実、見滝原中学の制服@魔法少女まどか☆マギカ
[所持品]基本支給品一式、血糊(残50%)、血糊の染み込んだガーゼ(基本支給品)、不明支給品(0~1)
[思考・行動]
基本:生存優先
[備考]
※死亡後参戦
時系列順で読む
投下順で読む
キャラを追って読む
| 実験開始 |
相馬光子 |
[[]] |
| 実験開始 |
竜宮レナ |
[[]] |
最終更新:2013年02月09日 13:48