「……なんであたしも巻き込まれるかなあ」
夜道を、とぼとぼと歩く人影が一つ。
それは、女性の姿を模していた。
茶髪でいかにも利発そうな、それでいてどこか勝気な印象を与える眼鏡の少女。
「だってさあ、あれだよ。……私は確かにLXe12sNRSs、
全て遠き遊戯郷《ゲームブック》って名前の書き手だけどさ。それと同時に私は◆ANI2to4ndEでもあるんだけど」
何も知らないうちに突然書き手ロワ3rdに放り込まれ、しかも主催は自分の一部ときた。
確かに自分はエピローグでガッシュ世界とROD世界の混ざり合ったとんでも多元宇宙を書いたが、◆ANI2to4ndEが主催をするなんてさすがに予想外だ。
更に言うなら、この殺し合いは彼女にとって二度目である。とは言っても、姿形も異なっているのだが。
「前回はいろいろやったけど……今回はどうしようかなあ……」
彼、否彼女の外見は、自らが最も多く、そしてエピローグを書いたキャラクター、菫川ねねね。
前回の相羽シンヤとはまったく違っている。
「……んー、前と同じスタンスでもいいけど……せっかくアニ2も完結したんだし、どうせなら強い印象を残したキャラを目指そうかな。他にいないような、それでいて『これこそアニ2!』って言えるような」
考え込む全て遠き遊戯郷《ゲームブック》。
自分がアニ2でやったことは多い、鬱・熱血・繋ぎ・MAD・最終回・エピローグ・ゲームブック。そして―――番外編の投下。
ほとんどのことはやりつくしてしまった感がある。
しかしその中で、彼女が選びだしたのは―――
「……聖なる夜のカミナアッー!かな」
それは、彼女が二度書いた物語。
一度は本編で、一度は番外編で。
そのストーリーは、端的に言うとドモンとカミナのラブストーリー(?)である。
全て遠き遊戯郷《ゲームブック》は、ただでさえ恋愛が多いと言われていたアニ2において男×男フラグをたてた人物でもあるのだ。
もっとも、その後男×漢女、パヤパヤなどのカップリングが相次いで登場したため、そう珍しいものでもなくなってしまったのだが。
「同性カップリングをたくさん作る―――よし、今回はこれでいこう。実に恋愛フラグ豊富なアニ2らしいじゃない」
そして、全て遠き遊戯郷《ゲームブック》は決意する。
今回のロワでは―――ボーイズをラブらせるために動こうと。
アニ2では毒吐きや雑談スレでいくども掛け算の話が行われている。きっと皆盛り上がってくれるに違いない。
いや、別に男同士には限らない。パヤパヤでもよい。あらゆるカップリングが誕生したアニ2書き手として、同性愛を広めよう。
もちろんそれに自分は関わらず、恋のキューピッドとなるのだ。そしてにやにやしよう。
しかし、フラグは勝手に立つものではない。
バトルロワイアルという必死の状況に置いてこそ成り立つことだ。実際自分の書いたカミナアッー!の話も、熱い口づけばかりが印象に残るが、あれはぶっちゃけるとドモンがカミナの命を救おうとしての行為なのだ。
つまり。
恋愛フラグを立てるには、それにふさわしい展開を作り上げなければならない―――それは、よくトップ書き手の彼女には分かっていた。
「それにあれだ、ねねね先生の外見だと絶妙に腐女子っぽいし」
本人が聞いたら怒りそうなセリフではあるが、確かに眼鏡文学少女には同人誌を持たせても遜色ないだろう。
「さて、そうと決まればさっそく人を探そう」
どこか機嫌よさげに、彼女は歩き出す。
ちなみに自分はノーマルだ。そこ忘れないように。
「ああ、楽しみだなあ」
【一日目・深夜/宮崎県】
【全て遠き遊戯郷《ゲームブック》@アニメキャラ・バトルロワイアル2nd】
【状態】普通
【装備】なし
【持物】支給品一式、不明支給品1~3
【思考】
基本:男×男、女×女のカップリングを作る
1:自分の身は守りつつ、ロワを堪能する
※
「……◆LXe12sNRSs氏……」
そんな彼女を、木陰から見つめる一人の人物が存在した。
否、それは見つめるなどというものではない。
どちらかと言えば、睨みつけているに近かった。
「貴方はやはり、私とは相いれないようですね……」
その人物の容貌は、実に奇妙だった。
顔立ちと衣服は、女性らしい―――具体的に言うならなのはのシャマルの―――ものであるが、大木からわずかに覗く金髪は男らしくワイルドなものであり、肩目を覆っている。
彼―――否彼女の名前は◆DzDv5OMx7c。通称、妄想夫妻/螺旋兄貴《グレイルダイアログ》。
全て遠き遊戯郷《ゲームブック》と同じく、アニロワ2ndの最終回をになった書き手の一人である。
そして同時に、彼女もまた二度目の書き手ロワの参加者となっていた。
前回はもやしっ子だった体は今、同じ
アニロワ2の二人をミックスしたような姿となっている。まるで、二人の愛の結晶のように。
ヴィラルとシャマル。
自らがフラグを推し進め、そして最終回のパートを担当したキャラクター。
『夫妻』と呼ばれよくも悪くも話題の中心であった彼らの『ハッピーエンド』を記したのは紛れもない彼女であった。
では、何故そんな全て遠き遊戯郷《ゲームブック》の同士とも言える彼女が彼女に対して冷たい視線を向けているのか?
それは―――
「……許せません……ボーイズラブなんてっ!」
全て遠き遊戯郷《ゲームブック》の思考が自らと相いれなかったからだ。
彼女は独特の恋愛描写を得意としている書き手。よって、彼女はアニロワ2のカップル―――特にヴィラルとシャマルには思い入れがあった。
故に、彼女が認められるのはノーマルカップリングのみ。それはドモン×カミナの例の話が嫌いだということは意味しない。
ネタとして見ている分には十分すぎるほど楽しかった。しかし、本気で彼女がアッ―!やパヤパヤのために動こうとしているのなら―――
「……だめです!カミナはクロミラとのカップリング……いやコンビこそ最高なんです!ゆーちゃんと舞衣はDさんとのフラグこそ最高!分かりますか全て遠き遊戯郷《ゲームブック》氏!」
正直に言えば、彼女は方針を決めかねていた。
二度目のロワに出されて、どう対応しようか迷っていたのだ。
殺し合いに乗るつもりはない。しかし、まっとうな対主催だというのも複雑だ。
しかし彼女は、全て遠き遊戯郷《ゲームブック》に会い、彼の目的を知ったことでその行動方針を決定した。
もしかすると、自らが前のロワで女性を愛していたこと、そして今の自分の姿にも関係しているかもしれない。
ついでに言えば、彼女は夫妻の恋愛フラグ以外にカミナの扱いにも定評のある書き手である。最終回のカミナを見ればそれは一目瞭然だろう。よってカミナも、彼女にとってはクロスミラージュとの恋愛、もしくはコンビこそ嗜好で、本当にドモンとカップルにされては困るのだ。
ん?クロミラは男?いいえ、漢女です。
「……分かりました……せっかくなんか夫妻の子供みたいな外見になったんですもの……このロワを男女カップルで埋め尽くしてみせる!」
それは、全て遠き遊戯郷《ゲームブック》に対する反逆。
同じ最終回を書いた人間同士、殺すつもりはないし戦うつもりはない。
しかし、カップリングの違いというのは時に激しい論争に発展する。それは某夏や冬の祭典で少しでも女性の多い所にいったら嫌になるほど分かるだろう。
「……全て遠き遊戯郷《ゲームブック》氏、見ていてください。私は証明して見せます。
―――カップルはカップルでも、アニ2を代表するのはやはり男女カップルだということを!」
【一日目・深夜/宮崎県】
【妄想夫妻/螺旋兄貴《グレイルダイアログ》@アニメキャラ・バトルロワイアル2nd】
【状態】普通
【装備】なし
【持物】支給品一式、不明支給品1~3
【思考】
基本:男×女のカップリングを作る。
1:全て遠き遊戯郷《ゲームブック》を止める。殺し合いはしない。
※全体的な外見はシャマル@アニ2、髪型はヴィラル@アニ2 です。
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最終更新:2009年05月13日 17:14