「さて……どうしたものかしら」
コンクリートジャングルの中、街路樹にもたれかかったままそう呟く少女。
身に纏うは真紅のチャイナドレス、瞳には漆黒の闇。
栗毛の髪に、チャームポイントのリボンを付けたその少女は。
◆CMd1jz6iP2……予想の出来ない展開の元と呼ばれる、
ニコロワのエース書き手である。
「まさかこの私が書き手ロワに選出されるなんて、ね。
流石の私でも予想が出来なかったわ……」
何気に上手い事を言いつつ、展開の元は考える。
自分の長所と短所は俗に言われる『超展開』を作り出すという点。
他の書き手に何度もフォローをさせてしまい迷惑をかけた事も無数にあるが、
しかし、それが上手い方向へと転がって物語を盛り上げたというのも事実である。
銀様の対主催化が無ければ、水銀燈の死はあれほど美しいものにはならなかった。
つかさが驚きの黒さを発揮したお陰で、ニコロワの中盤は大いに盛り上がった。
それは、言ってしまえば原作を無視したただの超展開でしかないのかもしれない。
だが、それが読み手にも書き手にも、見る者全てに楽しんでもらえるようなSSであるという事には違いないだろう。
「そう、超展開とはエンターテイメントの究極の姿。
パロロワというクロスオーバーのSSにおいて、原作を尊重しすぎるのは言語道断。
フラグを重視しつつ、原作を顧みつつ、それを上手く処理し心変わりを誘発して超展開を作り出す。
そして、見ている皆に驚いて笑って悲しんで楽しんで貰うのが私の仕事よ」
銀様が対主催になった時の驚いた住民のレスを、展開の元は忘れていない。
つかさが真っ黒になった時の絶望した住民のレスを、展開の元は忘れていない。
「繋ぐ事もバトルする事も私には出来る。
でも、それも全ては超展開の為……エンターテイメントは、楽しんでなんぼ。
なら、私がここでする事も自ずと決まるわ」
書き手ロワなど、エンターテイメントの極みのような存在だ。
ここで楽しみ、楽しませなくては超展開を生み出す書き手の名が廃る。
「とにかく、盛り上げるのよ……欝だろうが熱血だろうが対主催だろうがマーダーだろうが構わない。
後先なんて考えず、その場その場で出来る限りのありえない展開を考えて実行する。
もしもマズくなっても……多分、呼ばれてるだろうガチムチ兄貴や瀟洒な繋ぎ師が何とかしてくれるわ。
また迷惑をかける事になるけど……仕方ないね」
そう呟くと共にデイパックを肩に下げると、もたれ掛かっていた街路樹から起き上がり歩き出す展開の元。
そのまま適当に歩き出そうとした……その時。
スポッ!
展開の元は、その場から一瞬にして消え去った。
……いや、消え去ったというのは正しくないだろう。
正しく言うとするならば……展開の元は、落ちたのだ。
「……なるほど、これは超展開」
腕を組んだまま、呟く展開の元。
彼女は今、下水道に落ちどんぶらこどんぶらこと流されていっていた。
なんと、彼女が歩き出したその先にはマンホールがあり、更にそのマンホールの蓋が開いていた為に展開の元はそこから落ちてしまったのだ。
更に、運悪く落ちた彼女はそのまま下水に漬かってしまい流れに身を任せるまま流れているのである。
「登場話としては30点といった所の超展開ぶりね……次はもう少し頑張りましょう」
厳しい自己採点をしながら、展開の元は流れていく。
どんぶらこ。どんぶらこ。
【一日目・深夜/富山県・下水道】
【予想の出来ない展開の元@ニコロワ】
【状態】春閣下モード
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品1~3
【思考】
1.とにかく超展開を引き起こし、書き手ロワを楽しみ楽しませる
2.他のニコロワ書き手はいるのかしら?
※容姿はチャイナドレスを着た春閣下(天海春香)
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最終更新:2009年03月20日 19:06