「いやいやいやいやいやいやいやいや、ありえないよね書き手ロワとか、普通にありえないよねこんなの」
長野県の、とある山中でのこと。
獣道に座り込んで頭を抱える、一人の青年。
このミニ日本列島に連れてこられた多くの参加者がそうしたように、彼もまた、突然過ぎる展開に混乱している。
「いや、真面目にありえないでしょこんなの……だって――」
しかし、彼と他の参加者には、一つだけ大きく異なる点があった。
「――だって俺、書き手じゃないのに――」
そう、彼は書き手では無い――彼はただ、一人の読み手だった。
書き手達の投下を支援し、投下された作品に感想を書く、一人の読み手だった。
「こんなのって、アリですか……」
彼の名は――彼が与えられた名は、kskst。
パロロワ界の一大イベント『ろわらじおつあー2nd』、その『in kskバトルロワイアル』に単身乱入した、剛の者である。
まあ、厳密に言えば全く作品を書いていないというわけではないのだが。
彼は自身を『
kskロワの読み手であるkskst』として認識していた。
真偽はどうあれ、参加している本人がそう認識しているのだから、それでいいのだろう。
なに、別に書き手ロワに参加できるのは書き手だけではない。
地図職人やMAD職人といった、企画に貢献した人間ならば、等しく参加する権利はある。
彼はラジオに乱入し、実況スレを色々と盛り上げてくれた。
ならば――それ相応の見返りがあっても、別に構わないだろう。
うん? kskst自らの生命がかかったバトルロワイアルへの参加が見返りか、だって?
なに、気にすることはない。パロロワ住人の愛は総じて歪んでいるものだ。
歪んでいなければ最愛の嫁をロワに出したりなどするものか。
閑話休題。話を戻そう。
「えっと……たしか俺、ラジオに乱入してて……」
彼は必死に、先程までの自らの行動を思い返す。
一体どこで、自分は間違えてしまったのだろうかと。
「感電氏とトークしてたら、コーホー氏や321go氏が突撃してきて……」
そこから先が、一切思い出せない。
自室でラジオに参加していたはずの自分に、一体何が起きたのだろうか。
先程までトークを繰り広げていた、感電氏達は無事なのだろうか。
どれだけ考えたところで、答えなんて出るはずもなく。
現状がさっぱり把握できず、ますます頭を抱えるkskst。
彼はまだ、知らない。
彼が『読み手』としてでは無く、一人の『書き手』としてこの地に呼ばれたことを。
彼はまだ、気付かない。
すでにバトルロワイアルは、書き手同士が最後の一人を目指し互いを蹴落とす殺し合いは、幕を開けていることを。
戦えkskst。
頑張れkskst。
kskst――加速スター、加速する流星の名にかけて、加速する戦場を駆け抜けろ。
【一日目・深夜/長野県】
【kskst@kskロワ?】
【状態】混乱
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品1~3
【思考】
1:ひとまず状況を把握したい。
2:感電氏達は無事だろうか……。
※自身を読み手と認識しています。
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最終更新:2009年05月10日 11:18