フラグは未だ折れず

――『修羅王』……『修羅王』……聞こえるか

ん?何だ?ここはどこだ?
ていうか前にも似たような流れがあったような……

――私は、ゾフィー。M78星雲光の国、宇宙警備隊の隊長にしてウルトラ兄弟の長兄。

……

ま た お 前 か あ あ あ あ あ あ あ あ !!!!!!

ここで会ったが百年目!!!性懲りもなく出てきやがって!!
もうお前の好きにはさせない、この場で……

――まあ待ちたまえ。今はもう時間がない。
  このままでは、君は新フィールドに間に合わず、死ぬことになる。

な、なんだと!?

――だから私が力を貸そう。
  これから君と私は一心同体となるのだ。

は!?何それ!?なんでそうなるんだ!!
ていうかお前と一心同体だ!?冗談じゃない!!
スパロワを踏み躙ったお前を許すと思っているのか!!!

――君と一心同体になれば、君の力はさらに増す。
  それにより、単独で新フィールドに飛ぶことも可能になるだろう。

ふざけるな!!お前自分が撒いたフラグを消したくないだけだな!!
冗談じゃない、お前の思い通りになるくらいなら死んだほうがマシだ!!

――はっはっはっ、心配することはない。
  さあ、『修羅王』……共に往こう。

嫌だぁぁぁぁ!!!お前となんか往きたくない!!!
やめろ、やめてくれ!!お前と一心同体なんて嫌だ!!!!

俺の意志が、ゾフィーと溶け合っていく。
俺の奴への憎しみも、スパロワへの想いも、溶けていく。
ばかな。俺は、ゾフィーと、ひとつになるのか?

いやだ、やめてくれ。おれ、は……

◇ ◇ ◇


「待てーい!!!待て待て待てーい!!!そんな展開が許されると思ってるのであるかッッ!!!」
その場に響き渡った声と共に、その声の主――ヨッミーが現れる。
エクシードゼストとスーパーファイヤーダクオン以外にも10人くらい彼女の姿が見えた。
ああ、流石というかなんというか。あれからさらに増えに増えて、えらいことになっている。

ヨッミープロデュース・ミスターファイヤーヘッドの大フルボッコ祭り。
その会場からまんまと逃げ出したゾフィーを追って、ここにテレポートしてきたというわけだが。
この包囲網から逃げ出してきたゾフィーも、なんていうかある意味流石といえば流石である。

「やめたまえ。私はスパロワの悲劇を繰り返したくはないのだ。
 ロワを止める……その行為は、お前達といえど邪魔することは許されない」

そう一喝するゾフィーの姿は、堂々としていた。開き直りもここまで来ると清々しい。

「ぬわっぁぁぁにを、どの口がいってるであるか!!」
「ついさっきまで、頭燃やされ池に落ちて溺れて慌てふためいてたくせに!!」
「ていうかこいつ参加者と同化してるし!!手遅れだったであるかーっ!!」
「ええい往生際の悪い真似をーっ!!だがこの世紀の天才たる我輩がそのようなことで……」
「……もうやめろ、ヨッミー。君の負けだ」

自重せず騒ぎ立てるヨッミー軍団を、ゾフィーは静かに、諭すように言った。

「私は『修羅王』と一心同体になった。今の私は、もはや参加者と同義でもあるのだ。
 それが何を意味するかわかるか?そう……
 私をフルボッコするというならば、同時に『修羅王』もフルボッコすることになる!」
「な、何ですとぉー!?」
「『修羅王』……彼を、罪なき一参加者を、君達は何の理由もなく痛めつけるのか?
 それが君達の正義か!?」

彼女達の正義を問い、敢然と言ってのける。
こんなド汚いウルトラマン見たことない。
見方を変えれば、これは『修羅王』の身体を人質にしているも同然なのだが。

「うわあ汚いなゾフィーさすが汚い」
「貴様それでもウルトラマンであるかーっ!!」
「私は悲劇の連鎖を食い止めたい、ただそれだけだ。
 とにかく、君達に、私と『修羅王』を外部から強制分離する術はない。例えできたとしても……」
「甘い!甘いであるぞゾフィーよ!!そんな卑怯な手段は我輩達には通用しないである!!
 さあ、いざタイムスリップして……」
「やめたまえ。無理に外部から干渉されては、『修羅王』の命に関わる。
 そんなことは、許すわけにはいかない」

ああ、本気で汚い。こんなのがウルトラマンでいいのか。

「だぁーっ!もう我慢ならぬわっ!もう同化してる書き手ごと、始末するのであ……」

「私を裁くなら、好きにすればいい」
一切ひるむことなく、ゾフィーははっきりと言った。
「だが、そのために無関係の人間を巻き込み、あまつさえ死に追いやるのであれば……」
一呼吸の沈黙を置き……ゾフィーは、ヨッミー達を真っ直ぐ見据えて言い放った。

「この私、ウルトラマンゾフィーが相手になろう!!!」
「!!!」

その一言に、その場にいるヨッミー全員が気圧された。

実力なら、現状でインフレしきっているヨッミーに勝てるはずがない。
にも拘らず、ヨッミーはゾフィーに完全に圧倒されていた。
彼から放たれるオーラは、いつも自分達がネタにしているヘタレな捏造野郎のものではない。
これは、紛うことなきウルトラ兄弟長男としてのオーラだ。
一切の曇りのない、正義のヒーローとしての。
ウルトラマンが地球に現れて40年以上……
いや、彼が平和を守る戦いに身を投じて何千何万年……
それらの間に積み重ね培われた正義のヒーローの貫禄は、ヨッミーすら容易に圧倒した。

「ちょ……いや、て、ていうか今のお前の行動考えると全然説得力が――」

ヨッミーから出た言葉はいつになく弱気だった。声が上ずり、震えていた。

「それと、君達にもう一言……考えてもらいたいことがある」

ヨッミーの言葉が終わる前に、ゾフィーは次の言葉を続けた。

「君達は、私がスパロワを踏み躙り、書き手達に屈辱を与えたと言っていたな」

それは、書き手達にとっての究極の論理でもある。

「ならば君達に言おう……『ロボロワを見直して来い』と!!」
「!!!」

その言葉は、彼ら当人達の口から出すことで、絶大な説得力が上乗せされる。
彼の言葉が何を意味しているかは一発でわかった。
ロボロワの開催理由。パロロワ界に一石を投じた、衝撃の真実――

「多くの世界の人々を娯楽のために殺し合わせて、何が正義だ?ブッチギルンジャーだ?
 我々を見くびるな……!君達ごときに、私を嬲るだけの資格も正義もありはしない!!」
「あ……ああ……」

もはやヨッミー達は声も出ない。
ただ目の前の、運命を弄ばれた一人の口から出た怒りの言葉に、圧倒されていた。

「私は行く。君達に弄ばれた命を、少しでも多く救うために。
 忘れるな。我々の目からすれば、君達の行為に一片の正義も存在しない……
 君達が何をしようと……私は、君達のペンという名の暴力には、絶対に屈しない!!」


◇ ◇ ◇


「やれやれ……まだ目を覚まさんか」
『修羅王』を保護したKは、眠りから覚めない『修羅王』に焦りと苛立ちを感じていた。
これ以上は時間がない。ここは彼を放置してでも――
「!?な、なんだ!?」
突然、『修羅王』の身体が光りだす。
「一体何が起きた……うおっ!?」
その光に、Kもまた呑みこまれていった。
そして――


◇ ◇ ◇

ゾフィーは――『修羅王』と同化した彼は、Kと共に消えていった。
おそらく、次のフィールドへと向かったのだろう。
ヨッミーはそれを追えないでいた。ただ愕然と、それを見送ることしかできなかった。

屁理屈だ。物は言いようだ。
全てはゾフィーが自分を正当化するための屁理屈でしかない。
今回のゾフィーの行為には、数え切れないほどの突っ込みどころがある。
そうだとわかっているのに。

ヨッミーはその場に崩れ落ちた。
いつの間にか、10人以上いた彼女は一人だけとなっていた。
先程までの自重しないハイテンションさが、今は見る影もなかった。
手足が、唇が震え、涙が溢れ出す。

本気のゾフィーとの格の違いを思い知らされた。
そしてゾフィーの、自分達が操ってきたキャラクター達からの怒りの言葉。
それが、何よりも彼女の心を打ち砕いた。
正義も、信念も、誇りも。
そんなものが、被害者である彼らキャラクターにとってどれだけの意味がある?
彼らにしてみれば、自分達は憎んでも憎みきれまい。
そう。自分に、ゾフィーを嬉々としてフルボッコする資格など、どこにあるというのだ――

「う……うわああああああああああああああああ!!!!!」

冷静に見れば気付けるゾフィーの矛盾点も理不尽も、今の彼女の目には見えない。
ヨッミーは叫んだ。信念も、何もかもを完全に砕かれ。

敗れたのだ。ヨッミーは、ゾフィーに完全に敗北した。
戦闘力とかそんなものではない。もっと大きな、大切なことで――

【現在位置・新フィールドへ(ただしゾフィーの力で移動中)】

【『修羅王』@スパロワ】
【状態】疲労(大)、気絶。???
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品0~3
【思考】???
【備考】※外見はフォルカ・アルバーグ@スパロボです
    ※ゾフィーと同化しました。思考も『修羅王』とゾフィーのものが溶け合い、一つになりました。
     同化によりゾフィー変身後の能力が大幅アップ
     また本人の意思以外ではゾフィーと『修羅王』を引き離すことは不可能です。

【K◆kOZX7S8gY.@ジャンプロワ】
【状態】健康
【装備】勇者スポポロスの剣@オリ
【道具】支給品一式×2、エリクサー@FFDQ、不明0~4
【思考】基本:旗・即・折。ゾフィーのフラグを折る。
    1:突然発生した事態に対処
【顔】:るろ剣斉藤


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信念という名の旗 K ヨッミー異聞録
信念という名の旗 『修羅王』 ヨッミー異聞録

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最終更新:2009年06月13日 16:44
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