ヨッミー異聞録

旅の扉をくぐった先で、ゾフィーは唖然としていた。
ちょっと待て、こんなのありかと。
次のフィールドへと辿り着くまでの僅かな間である中間地点で。
ゾフィーが融合した修羅王の身体に強制的にまた一つの精神が
入り込んできたのである。
引き剥がせないからと安心していたゾフィーは、逆にもう一つ融合されるとは思ってもおらず不意を討たれてしまった。

ヨッミーは精神世界内での話も書いているんだ。これくらいへでもないさ」

年の項は20代前半だろうか?
精神世界でゾフィーの前に現れたのは、特に目立ったとこもない凡庸な男性だ。
けれども彼はさも自らがヨッミーだというように話をしている。
そしてそれ以上に、目の前の人間を確かにヨッミーであると認識していることが不思議でならなかった。

「だが、お前は確かにさっき崩れ落ちていたはず!」
「ああ、あのヨッミーはな。全く、よりによって書き手大好きな俺が地図氏を殺し、修羅王をも殺しかけるか。
 なりきりシステム。なるほど、厄介なものだ。大方極論に走ってしまった書き手ロワ2wiki管理人のボディであったことが災いしたんだろ」

その上ヨッミー(仮)はエクシードゼストなヨッミーを何処か自分とは別人として扱っているのだ。
書き手ロワにおいて別ロワ出身の同一人物が登場することはよくある話だが、
ゾフィーがいいとこどりしようと下調べした範囲では、このロワにいるヨッミーの同一人物は少女だったはず。
ヨッミー(仮)もゾフィーのいいたいことがわかったのだろう。
誰とも聞かずに説明し始める。


「不思議そうな顔をしているな。なに、確かに新規参加者の募集が締め切られている以上、ヨッミーを新しく出すことは不可能だ」

そもそも出典として出せるほど書き込んだロワはもうヨッミーには残っていない。
けれども。
物事には例外が付き物。
ゾフィーや萃香が元のロワを飛び出してやってきたように、このヨッミーもまた元のロワから飛び出して来た存在!

「紹介が遅れたな。俺はヨッミー。ただし出身は文字通り書き手ロワ2ndだ」

書き手ロワ2nd第306話『 此方より彼方まで 』。
書き手ロワのエピローグの一つにあたるこの話内で、ヨッミーは自重せずに遂に自らを書き手3に先んじて作中に登場させている。
メタ世界の住人としてだ。
その中でヨッミーは書き手ロワ2ndをもしかしたら実在する平行世界なのではと考える。
そして最後には、その仮説を思わせるかのような不気味な引きで幕を締める。
まるでPC画面から伸び行く二本の腕に引きずり込まれて書き手ロワ3へといざなわれたとしか思えないように姿を消して。

「そういうことだよ、ゾフィー。俺は。お前達と同じく書き手としてでなく原作ロワのキャラとしてのこのヨッミーは」
 ――既に書き手2終了時に、このロワに参加できる権利を得てたんだよ」

書き手ロワ2ndの作品人気投票にも一人のキャラとして登場していたしな。
そう呟いてヨッミー(仮)改め、ヨッミーアナザータイプはゾフィーへと歩を進める。
ゾフィーと同じく書き手でもなく意思持ち支給品ですらないただのでしゃばりにすぎない身であるからこそ、
自身が全てを終わらせようと心に決めて。

「いい加減読み手もまたかと。またゾフィーか、またヨッミーかとうんざりしていることだろうな」

一歩一歩自分の足で歩いてゾフィーへと近づいていくヨッミーAT。
あくまでも現実世界の書き手として作中で秒指されていたヨッミーATには、空を飛ぶどころかただの人間以上の力は無い。
そのことを知らずに逃げ腰になるゾフィーへとヨッミーATは一言一言語りかけていく。


「俺は……いや、スパロワを読んだみんなはあんたに感謝しているよ。

 あんたがいたからこそ、フォルカ達はユーゼスの過去を知れて物語に深みが増した。
 力を貸してくれたからこそ、まさかのヤルダバオト登場や最終決戦へ向かうことができた」

死亡者図鑑やクロススレではすっかりネタキャラと化していたゾフィーだが、
スパロワ本編ではウルトラマン本編以上に真っ当に多くの役割をこなしたのは事実。
ここにいるゾフィーがネタ臭いのも本人が言うとおり自分達書き手のせいなのは否定できない。
そのことを肝に銘じた上で、ヨッミーは、一話限りの作中書き手ロワ書き手は。
自らの書き手ロワ書き手としての誇りと我が侭を通そうと前を行く。

「でもな、ゾフィー。ここは書き手ロワなんだ。書き手達の物語なんだ。
 お前は言ったよな、多くの世界の人々を娯楽のために殺し合わせて、何が正義だって。
 だからこそ、俺たちは書き手ロワなんて催しを開いて、自分達も擬似的にキャラクター達と同じ立場に立ってその答えを見つけようとしているのかもしれない」

そうだ、ゾフィーがヨッミーに叩き付けた屁理屈は書き手達にとって痛いところを突く形となる。
だがしかし、その書き手達をこそ殺し合わせる――反面、正規キャラを全く殺さない書き手ロワ書き手には痛くも痒くも無い指摘だ。
え、それはそれで実在の書き手さんをキャラ化して殺し合わせてるんだから駄目だろって?
いえいえ殺されるキャラの元になった書き手達が嬉々として読み手にまわったり、自分を書いたりしているロワだし、書き手ロワは。
前述の通りエピローグでとはいえ、ヨッミーなんて参加者でもない自分自身まで巻き込んでいるし。

「ゾフィー、今度はお前に言い返そう。書き手2を読め、と。そこには俺達、そしてあいつらが書き手2で出したいくつもの答えが詰まっている」

書き手ロワ2の開催理由は煮詰まった感のあるパロロワ界の閉塞打破で。
その為に書き手たちに実際に殺し合いをさせて経験をつませるというものだったけれど。
主催者に対峙したヒーローは。黒幕となった書き手に愛された優勝者は。
同じ答えを選んだのだ。
『交流しおう』と。『話し合おう』と。
大事なのは後と先に続くものがあることを忘れないことなんだからって。


「だからさ。今度も書き手達に任せようぜ? 作中的にも、メタ的にもさ」
「や、やめろ! 来るな!」

書き手ロワは大好きなロワや作品、書き手達に愛を叫ぶロワだから。
ゾフィーが書きたいのならクロススレで書けばいい。
シリアスなゾフィーだってまたどこかのロワに出ることもあるだろう。

「もう、心配すんな。あんたはここじゃこれ以上は弄ばれないから。ゆっくり休め」

ヨッミーが取り出したのはなんてことのない赤いマジック。
赤い、マジック。
その意味に気付いたゾフィーの顔が青ざめる。
慌てて阻止しようとM87光線でヨッミーATを貫くが、時既に遅し。

ゾフィーの意思は修羅王の内的宇宙で覚めぬ眠りにつき、今後一切書き手バトルロワイアル3rdには干渉できない

必殺の光線を放った体勢のまま、ゾフィーが石像のように動きを止める。
あくまで一般人だったヨッミーATも87万度の熱線に耐えれるはずも無く、気配の露の一欠けらとて残すことなく霧散する。
それが終焉。
書き手3を騒がした二人の自重しなかった者達のあまりにあっけない最後だった。

【ヨッミー@書き手ロワ2nd エピローグ:此方より彼方まで 死亡】
【ゾフィー 永久封印確認】



「……止んだか」

自らを突如包んだ光は、発生と同様いきなり消え去った。
周りを見渡せばどことも知れぬ不思議な空間。
連続で起きた超展開に置いてきぼりを食らわされたKだが、ふと一つの答えへと辿り着く。

「分けはわからないが、どうやら旅の扉へと入れたようだな」


判断できた理由は簡単。
謎の空間に新たなフィールドへの到着を告げる光が差し込んできたからだ。

「新しい朝が来た。ゾフィーのフラグを折る朝が」

その光にKは打倒ゾフィーへの決意を新たにして。
来るべき放送に備えるべく、まずは修羅王を起こしにかかった。


【現在位置・新フィールドへ】

『修羅王』@スパロワ】
【状態】疲労(大)、気絶。???
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品0~3
【思考】???
【備考】※外見はフォルカ・アルバーグ@スパロボです
    ※ゾフィーと同化しました。思考も『修羅王』とゾフィーのものが溶け合い、一つになりました。
     同化によりゾフィー変身後の能力が大幅アップ
     また本人の意思以外ではゾフィーと『修羅王』を引き離すことは不可能です。
     ただしゾフィーの意思は書き手ロワ3中において、二度と表出することはありません。

【K◆kOZX7S8gY.@ジャンプロワ】
【状態】健康
【装備】勇者スポポロスの剣@オリ
【道具】支給品一式×2、エリクサー@FFDQ、不明0~4
【思考】基本:旗・即・折。ゾフィーのフラグを折る。
    1:
【顔】:るろ剣斉藤


後に残されしは二人。
ゾフィーを陥れようと悪事にさえ手を染める覚悟をしてしまった一人の青年と、
フラグを折るというフラグを立ててしまったことに気付かない一人の男。
果たしてゾフィーの脅威が今度こそ去ったと知らない彼らは、どんな喜劇を生み出してくれるのだろうか?


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フラグは未だ折れず K  ?
フラグは未だ折れず 『修羅王』  ?

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最終更新:2009年06月15日 20:19
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