極寒の地のピアニスト

「ぽろろん~ぽろろん~」

絶対零度の大地。吹き荒れる粉雪をものともしない男が一人。
ふつくしい外見に、筋骨隆々とした肉体。
◆eQMGd/VdJYことコクジョウの書は、艶やかな指で鍵盤を責め続けた。
周囲で犇き潰しあう空気達ですら、不思議な事に男の周囲では鳴りを潜める。
そう。まるで鍵盤から飛び出した音色が、粉雪達を虜にしているように。
やがて曲調が変わり、優しい音色は激しく色めき、同時に男から金色の汗が飛び散っていく。
汗が前周囲余す事無く飛び散る理由は実に簡単だ。
このコクジョウの書、ほぼ全裸状態でグランドピアノに向き合っているからである。
ちなみにほぼ全裸と言うのは、オサレなネクタイを首に締め、革靴にビキニパンツ。
例えるならそう。都会に行けば、5分に一人は見かけるサラリーマンを想像すれば容易い。
そうこうしている間に、指を鍵盤の全てに這わせ終えたコクジョウの書。
椅子から立ち上がり、支給品だったグランドピアノにもたれ掛かると小さく息を吐いた。

「くだらねぇ――なにもかも」

この男は、現状を全く理解していない。否、しようとは思わない。
突如舞い降りたこの広く凍えるような大地に、支給品はグランドピアノ。
ロワに参加している人間ならば、常識的に考えて絶望している所だ。
が、この男に関してはそういった、いわゆる『常識的』が全く理解出来ないのである。
だからピアノを奏でる。だからほぼ全裸でも疑問に思わない。

「ぽろろん~ぽろぴりょりょん~」

極寒の地に、哀愁漂う音色が響き渡る。



【北海道・一日目・深夜】
【コクジョウの書@ギャルゲロワ2
【状態】:健康。全裸にネクタイにビキニパンツ
【装備】:ネクタイ。ビキニパンツ
【持物】:グランドピアノ。不明支給品0~1
【思考・行動】
基本思考:くだらねぇ――何もかも
1:ピアノを奏で続ける


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コクジョウの書 011:俺達に言葉は要らない

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最終更新:2009年03月26日 14:47
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