動物奇想天外

宵闇の空気を嗅ぎ取り、大地を『四本』の脚で踏み締める。

(……私がやらなければ)

青々とした田畑の畦道を、さっそうと駆ける白銀の影。
月夜に純白の毛並みを煌めかせて駆けるその姿は、白銀の狼。
知る人が見れば、こう呼ぶだろう―――アマテラス、と。

(私がやらなければ、誰があの場所を……動物ロワを守るのだ!)

彼の名は◆TPKO6O3QOM……動物ロワの書き手である。
他の書き手の倍はある投下数を誇り、描写・速度・文章構成……どれに関しても、彼の右に出る物はいない。
しかし彼の愛する動物ロワは……過疎という名の、悲しき現実に襲われていた。
作品の数から生まれた未把握という壁により、一人、また一人と書き手が消えていく中で……彼は、戦い続けていた。
動物ロワを守る為、たった一人で。

(私がここで死んだならば、誰が動物ロワを守る!)

故に彼は、戦うと決めた。
このバトルロワイヤルで最後まで生き残り、動物ロワを守り続けるために。

(その為に……)
「死んで貰うぞッ!」

目の前に銀色の髪をした女性を見つけた瞬間、彼は迷うことなく飛び掛かった。
振り返った女性の白い喉元が、月光に照らされる。
そこに食いつき、噛みちぎる……直ぐに終わらせる!


パシャリ


耳に届いた軽い音。
そして同時に、体に衝撃が襲い掛かる。

(何……だと……!?)

もしや、この女性の能力か?
迂闊だった。慌てて奇襲をかけず、様子を見てから襲うべきだったか……?

宙で受け身をとり、素早く相手と距離を置く。
赤い縁取りの入った眼で睨みつけた……その先には。

「HAAAAーーー!ごめんなさいぃぃぃーーー!
 お願いします食べないでぇぇぇーーー!!!」

古びたカメラを持ったまま、土下座する銀髪の女性の姿があった。

「………。」

正直、ここまでビビられると引く。
一部では『アマたんハアハア(´Д`)』などと呼ばれるこの姿……普通なら愛でられる存在でありビビられる物ではない。
しかしまぁ、これから殺す相手なわけであるからして……結論、無視。

「痛みはできるだけ感じぬ様にしてやる……という訳で、死ね」
「HAAA!待って待って!話聞いて!」

高速で後ずさりしながら叫ぶ銀髪の女。
女のわりには口調が妙に爺臭いのが気になる。

「わし、正直言えば死んでもいいんだよぉ……
 死人が出るのは、ロワの停滞を防ぐのにはいい事だし」
「……なら、おとなしく殺されろ」
「HAAA!最後まで聞いてってば!
 わし、本来はあんまり冒険しない書き手なんだけど……それでも書き手である以上、何かしらの『作品』は残したいじゃない?
 わしは繋ぎが得意だから、その……」
「つまり、お前のいいたい事は」

爺臭い女の台詞を遮り、結論を言う。

「繋ぎ……すなわち誰かの手助けをして死にたい、そういう事か?」
「そうそう、まさにそれ何だよぉ」

ぽん、と手を叩いて女が頷く。

(………手助け、か)

手助け。それは◆TPKO6O3QOMが常に求め、喜んだもの。

過疎ったスレに時々入る保守、作品への僅かながらも温かい感想……それは、彼がロワを書き続ける為の大事な動力原だった。

(この程度でビビるならば……いざという時、切り捨てるのも殺すのもたやすいはず。
 ならばそれまでは……)

「よし分かった……お前はこれから、私の支援をしろ」
「だから殺すのは待っ……え?」

怯えていた女が、きょとんとこちらを見る。

「対主催だ、マーダーだ……そんな事を言っていては書き手は勤まるまい。
 手助けの相手が、マーダーの私なのが嫌と言うならば、いますぐ殺す……どうだ?」
「HA……もちろん、文句はないよぉ!」

目を輝かせた女は、勢いよく首を縦に振った。

「交渉成立だな……名前はなんという」
「わしは……レジェンドオブw2って呼んでくれればいいよぉ。
 貴方の名前は?」
「私は、◆TP……いや」

そこで彼は言葉を一旦区切り、改めて名乗った。

「私は動物ロワの書き手……アニマルス、とでも呼ぶといいさ」



【一日目 深夜…/青森県】
【アニマルス(◆TPKO6O3QOM)@動物ロワ】
【状態】健康
【所持品】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
1.動物ロワを守るため、生き残って優勝する。
2.レジェンドオブw2に出来るだけ自分を支援させる。
※外見はアマテラス@大神です。



(HAAA……やっぱり、動物ロワの書き手だったよぉ。
 しかも、投下数トップの◆TPKO6O3QOM氏……)

◆TPKO6O3QOM、いやアニマルスは気付いていなかった。

彼が支援を要請したレジェンドオブw2……彼女は最近始まったばかりのロワ、ニコロワβの書き手である。
しかし同時に……彼女もまた、動物ロワの書き手でもあったのだ。

(動物ロワが過疎なのは知ってるし……二つのロワを掛け持ちするのは大変だよぉ。
 外見から考えるに……わし、ニコロワβからの参戦なのかな?
 ならニコβの書き手を助けてあげたいけど……とはいえ、動物ロワも大切だし……)

二つのロワの書き手として……彼女は考える。
冒険せず、確実に、安定した……彼女のロワの書き手達の為の『繋ぎ』を。

「……おい、行くぞ」
「あ、置いてかないで欲しいんだよぉ!」

【一日目 深夜/青森県】
【レジェンドオブw2@ニコロワβ】
【状態】健康
【所持品】射影機@ニコロワβ(07式フィルム29/30)、不明支給品0~1
【思考】
1.冒険せず、しっかりと確実な『繋ぎ』(他者の手助け)をする。
2.しばらくはアニマルスと行動、彼の手助けをする。
3.ニコロワβの書き手を見つけたら、冒険しない範囲で『繋ぎ』をする。
※外見は弱音ハク@VOCALOIDですが、口調は秋山森乃進@ゲーム実況です。

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アニマルス 生きもの地球紀行
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最終更新:2009年04月15日 09:41
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