誕生!! 鋼の――

連撃の修羅神こと◆YYVYMNVZTkは、草原に立っていた。
二年以上にも及ぶ長く苦い過疎期の二次スパロワを支え続けた功労者の一人である。
見渡せばそこは、気持ちのいい場所だった。
満天の星空をバックに連なる外輪山の山々が、黒々としたその姿を浮き上がらせている。
そよそよと風に吹かれて、何処までも続いている草原がさわさわと泳ぐ。
そこは、九州が熊本の東部、世界有数のカルデラを有する阿蘇山が麓――阿蘇草千里。
都会の喧騒とは懸け離れた田舎。気持ちの良い開放感が、体を包み込んでいた。
都会の煩わしさを忘れさせてくれるような、生まれたままの姿に戻してくれるような、そんな開放感。

「ん~~~~~~~」

そよぐ風を肌に気持ち良さを感じつつ、何を考えるでもなく思いっきり伸びをした。
すると、肩口からこぼれた赤い髪が棚引く。

「あれ?」

困惑した。自分にこんな長い髪など生えていない。
まさかと思い、振り返る。当然、誰もいない。
首を傾げて少し考える。
掴んで引っ張ってみた。ちくりと痛い。紛れもなく本物の自分の髪。
ますます困惑しつつ自分の身体に視線を落としてみた。
すると見慣れないお椀状のものが二つ、立派にその存在を主張している。

「えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」

彼は――彼女は、今、フェステニア・ミューズ(以下テニア)の姿をしていた。
これは、『連撃の修羅神』→略称『れんげ』→何となく女っぽい略称→二次スパで代表的な女性キャラといえば、な発想の末に起きた現象。
加えて、彼女が二次スパにてテニアと統夜のマーダーバカップルを誕生させたことにも起因している。
だがそんなこと、知る由もなければ知る術もない。
当然、ただただ困惑し混乱するばかり。そしてその混乱に拍車をかける現象が、もう一つ。それは彼女の格好。彼女は――

「え? 何で?? どうして??? えええぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええ?????????」

――裸だった。マッパだった。全裸だった。も一つオマケに素っぱだ、グオッ!!
失礼。モニター向こうから石が飛んで来た為に筆を誤ったことを、お詫びする。
えー、何故そのような事象が起きたのかというと、筆者の都合によるもの以外何者でも、グハッ!!
止めて! 痛い痛い!! モニター越しに石を投げるのを止めて!! 痛いってば!!
閑話休題。

真っ赤になって周囲を見渡したれんげは、納屋を見つける。
大急ぎで駆け寄り、引き戸をちょっと開けて中に誰もいないのを確認すると積み重なる干草の山に飛び込んだ。
チクチクと柔肌に刺さる感触を覚えながら奥まで沈み込み、頭を抱え、身を丸くして縮こまる。

――そりゃ開放感にも包まれるわけだよね。

誰も周囲にいなかったのが勿怪の幸い。
だがそれでも、顔から火が出るほど恥ずかしい。心臓がドッドッドッと激しく鼓動を打っている。
涙が止まらない。
そうやって干草の底で丸まっていたのだが、暫くすると顔だけ出してデイバックに腕をつっこんだ。
支給品の中に何か着る物はないかと思ったわけである。
この際、FFDQやDQの下着類やLS出展の何かとんでもない物でも我慢する。何もないよりは、遥かにマシ。

「お願い。何か、何かあるでしょ」

藁にもすがる思いで漁ったその結果、出て来たのは――

「何これ?」

――巨大なダンボール箱。それこそ人が一人入れるほど、大きい。
がさがさと干草の中から這い出し、開けてみる。
そこには小さな紙切れと金色の塗装剤が一式。
首を捻りつつ読んでみると、その小さな紙切れは設計図のようであった。
どうやらこの巨大なダンボールを分解し、設計図通りに組み立てると外観がロボットの鎧になるらしい。
そこで考える。
ダンボールでロボットと言うと、まず頭に思い浮かぶのが『ダンボー@よつばと!』だ。
しかし、塗装剤は金。この線は薄い。
ならば金でロボットと言うと、当然のように思い浮かぶのが百式。自らの出身である二次スパにも登場しており、可能性はかなり高い。
いや、もしかするとハイパーモードを発動させた『シャイニングガンダム』や『マスターガンダム』である可能性もある。
そう考えると楽しくなってきて、胸が高鳴る。
何が出来上がるのか気になってソワソワと落ち着かなくなり、作業を開始した。
巨大なダンボールをばらし、設計図と何度も何度も見比べながら組み立てて行く。
ムラが出来ないように、丁寧に丁寧に塗装する。
あらゆる角度から眺め、不具合や塗りこぼしがないことを確認する。
一つ一つの作業に細心の注意を払い、それなりの時間をかけてそれは完成した。
メタリックな黄金のボディーに堅牢そうなその姿。
あらゆる勢いを断ち切ってしまいそうな雰囲気が、それからは滲み出ている。
機能は期待していなかったが、これならそうそう遅れを取ることもないだろう。
出来栄えも生来の凝り性の為か、それはそれは会心の出来と言えるほど素晴らしい。
早く着込みたいと心が逸り、ボディーパーツを掴むと早速着込み始める。
ダンボール製のため、固い感触が気に障ったが、着てみるとこんなものでも意外と暖かい。
どうやらこのまま外を歩いても風邪は引かずに済みそうだと安堵し、手足を動かしてみる。
動きにくい、と言うわけでもなさそうだ。
むしろ、素晴らしく動きやすい。手や足は体にジャストフィットして尚、より細くなったかのような一体感さえ感じる。
弱点はリーチの短さだろうか。

「さ~て、どうしようかな。まだここで求められてる役割わかんないしな~」

そうして一頻り動きやすさを確認し、ようやく今後の方針について考え出したれんげは、ほんのちょっと考えて決めた。
彼女が書き手として得意としているのは心情描写であり、それには定評がある。
そして、それ以上に長けているのが、空気を読み住人の期待に答える事である。
故に思った。ここで求められている役割を演じようと。そのためには――

「とりあえず誰か探そっか」

誰かと接触し、空気を読み取ることこそ肝要。それを行なって初めて役割を演じることが出来る。
そうして誰かを捜すべく、納屋から踏み出したその姿は――



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     混 沌 と し た 書 き 手 ロ ワ に 鋼 の 救 世 主 が ! !
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【一日目・深夜/熊本県 阿蘇草千里】
【れんげ(◆YYVYMNVZTk)@二次スパ】
【状態】鋼の救世主
【装備】鋼の救世主(ダンボール製 ※防水加工済み)
【持物】デイパック、基本支給品、ランダム支給品0~2
【思考】
  基本:空気を呼んでその場面で求められている役割を演じる
  1:誰かいないかな
※外見はフェステニア・ミューズ@スパロボJ

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れんげ 083:歴史ロワイルからの刺客

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最終更新:2009年03月26日 15:04
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