「歴史ロワにはトリップが存在しない……どういう意味か解るかね?」
「どういう意味というか、それはそのままの意味じゃ?」
「私が言っているのは、書き手ロワにおける意味だよ。
れんげ」
「…………」
「察しがついたようだね。トリップが無い以上、書き手ロワに出すにはどの作品をどの書き手が書いたのか、推測するしかない。
そして、推測の結果――」
「…………」
「歴史ロワの全ての作品を書いたのは、この私、ミスターレキシであると、推測された」
「…………」
「この意味が解るかね、れんげ。つまり私は歴史ロワの全ての作品の力を有しているのだよ。
ジャンヌ・ダルク、シェイクスピア、ベートーベン、ナポレオン、コロンブス、曹操、孔子、始皇帝、クレオパトラ……
歴史ロワに登場した全ての偉人に私は姿を変えられるし、その力を自由に行使できるのだ。
お主ら創作キャラクターが元のような派手さは無いが……今ここで貴様を屠ることなど、私には雑作も無いことだ」
「…………」
「死にたくなければ、私に従えれんげ。私の軍団に入り忠誠を尽せ。そうすれば――」
「あ、あんな所にクレオパトラが」
「クレオパトラ!クレオパトラ!クレオパトラ!クレオパトラぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!クレオパトラクレオパトラクレオパトラぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!クレオパトラ七世たんの黒髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
絨毯にくるまれたクレオパトラたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
邪魔者死んで良かったねクレオパトラたん!あぁあああああ!かわいい!クレオパトラたん!かわいい!あっああぁああ!
エジプトが安泰で嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!ミスターレキシって何さ!!!!あ……よく考えてみたら…
ク レ オ パ ト ラ は 自 分 自 身 ?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!これは罠だぁああああ!!
この!ちきしょー!分裂してやる!!クレオパトラの部分だけ分裂し…て…え!?見…てる?僕の中のクレオパトラちゃんが僕を見てる?
僕の中のクレオパトラちゃんが僕を見てるぞ!クレオパトラちゃんが僕を見てるぞ!毛布一枚のクレオパトラちゃんが僕を見てるぞ!!
全裸のクレオパトラちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはクレオパトラちゃんがいる!!やったよアントニウス!!ひとりでできるもん!!!
あ、もう一人の僕クレオパトラちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあコルネリアぁあ!!ユ、ユリアー!!ポンペイアぁああああああ!!!カリプルニアぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよクレオパトラへ届け!!もう一人の自分のクレオパトラへ届け!」
「さて、ミスターレキシさん。盛り上がっているところ悪いが、これを見てください」
「ああああああああああああああああああああ!!!そ、それはエンドウ豆!見せるな、それを私に見せるなあああああああ!」
「ほら、エンドウ豆を食べたくなかったら、早く何処かへ消えてください」
「わかった、わかったからああああああああああ!!」