――フォルカ……フォルカ……聞こえているか。
バトル・ロワイアルのフィールドに降り立つ、ほんの直前のことだった。
俺の目の前に光が広がり、そして、一人の銀色の巨人が姿を現した。
――フォルカ……またこうして会えたことを嬉しく思う。
違う、俺はフォルカ・アルバーグじゃない。
『修羅王』の名を付けられ、姿形も彼にそっくりだが……俺は違う。
俺のトリップは◆VvWRRU0SzU。かつては終盤の
スパロワで、そして今は二次スパで、
戦い続ける修羅のように、ただひたすら物語を書き続ける、ロワ書き手の一人でしかない。
――構わない。彼と同じ勇気が、君の中には感じられる。
終盤に突如頭角を現し、あの物語を完結に導いたその勇気と力……『修羅王』に相応しい。
……そうか。ところで、あなたは……
――私は、ゾフィー。M78星雲光の国、宇宙警備隊の隊長にしてウルトラ兄弟の長兄。
いや、それは見たらわかるんです。
あー、すいません。ひとついいですか。
……これ、書き手ロワなんですけど。わかってます?
なんでゾフィーさんご本人が出てきてるんですか。
――心配はいらない。私は参加者ではない、この新たな戦いを見届ける立会人に過ぎない。
今の私は、惨劇に巻き込まれた君達を救えるだけの力は残っていないのだ。
いや、そういう問題じゃなくて。いくらなんでも最低限は自重すべきでしょうが。
本人が出張っちゃダメだろ。ていうか登場話からいきなり外部介入って何考えてんだよ。
いくら書き手ロワが何でもありだからって、こういうの一度許したらキリなくなるぞ、冗談抜きで。
ほら、某ぶっちぎりの黒いライダーとか嬉々として出てきそうだからヤバイって。
――だが、この悲しき殺し合いは止めたいと思っている。
だから、君のその勇気を見込んで、私の力を託したい。
話聞けよ……と突っ込む間もなく、ゾフィーから俺に向けて光が放たれる。
――私の力を感じるか、『修羅王』よ。この力で、君はいつでも私の姿に変わることができる。
私の絶大なる力は、対主催のための大いなる糧となるだろう。
え?ゾフィーに変身できるようになるのか?……でもゾフィーだろ?なんか不安が……
いやいや、その力を使うのは他ならぬ俺だ。上手く戦えば何も問題ないはず。
ミスターファイヤーヘッドなんて、あんなみっともない醜態など晒すものか。
――さらばだ、『修羅王』の遺志を継ぐ者よ。私は待っている。
試練を乗り越え、仲間達と共に団結し、再び私のもとに辿り着いてくれることを。
そう、ミオやシロッコと共に最後の戦いに挑んだ、フォルカ・アルバーグのように……
待て、おい。……最悪だ。こいつ、再登場フラグをしっかり立てていきやがった。
しかも後半~終盤に、美味しい部分を掻っ攫う類の、タチの悪いフラグをだ。
――では、一時の別れだ。また会おう……
会いたくねぇ……そんなことを考える俺の前に、再び光が広がっていく。
その光を一身に浴びる俺の体の中に、ゾフィーの、光の巨人の力が、流れ込んでくる。
そして――
ゾフィーの、記憶も。
目が覚めると、俺はロワの舞台に降り立っていた。
そう、これから三度目の書き手ロワが始まり、俺もまた参加させられたのだ。
俺の外見は、フォルカ・アルバーグの姿をとっていた。
スパロワにおいて終盤参加の俺は、同様に終盤に活躍した彼に例えられた……そういうことだろう。
ならば、このロワで俺の与えられた役割も、自ずと理解できるというもの。
……だが。今は、それ以上の感情が俺の全てを支配していた。
「あの……糞野郎ッ!!!」
怒りに任せて、拳を地面に叩きつける。
あの時、ゾフィーの力を受け取った時、同時にゾフィーの記憶も流れ込んできた。
俺はゾフィーの全てを知った。
彼の過去、スパヒロでの戦い、そして彼の目を通じて見たスパロワの物語。
そして――スパロワ完結後の、彼の動向も、だ。
それは、俺にとって、いやスパロワ書き手にとって、許しがたい行為だった。
<概要~スパロワ後のゾフィーの行方>
ゾフィー「む……ここは」
ウルトラマン「目が覚めたか。探すのには骨が折れたぞ」
ゾフィー「ウルトラマン……そうか、君が新しい命を持ってきてくれたのか」
ウルトラマン「ああ。……ゾフィー、彼は……ユーゼスはどうなった?」
ゾフィー「ユーゼスは、私が倒した」
ウルトラマン「……………………………………。そうか」
ゾフィー「だが、私は彼の心まで救うことができなかった……それが心残りだ」
ウルトラマン「……そうか」
ゾフィー「ところで……他の、あの殺し合いの犠牲者達は……」
ウルトラマン「すまない、生き返らせることができたのはゾフィーだけだった。
他の多くのまつろわぬ魂達は、もう我々でも手を施すことはできない状態にあったからな」
ゾフィー「……そうか。結局……私は、無力だった」
ウルトラマン「ゾフィー……ウルトラマンは決して神ではない。
救えない命もあれば、届かない想いもある」
ゾフィー「……そうだな。ユーゼス・ゴッツォ……彼はもう十分苦しんだ。
今度生まれ変わった時は、どこか別の世界で、平穏な時を歩んでほしいものだ――」
ゾフィー「光の国に帰ってくるのも久しぶりだな……」
父「ゾフィー、よく戻ってきてくれた」
ゾフィー「はい。ユーゼスの、彼の目論んだバトルロワイアル、無事阻止しました」
父「……………………。そうか」
ゾフィー「苦しい戦いでした……私でなければ生き延びることすらできなかったでしょう。
ですが、彼もこれで無事、運命という名の牢獄から解き放たれたと思います」
父「あ、ああ……ご苦労だったな」
メビウス「やっぱりゾフィー兄さんは凄いです!ね、タロウ兄さん!」
タロウ「あー……メビウス、あまり真に受けちゃ駄目だよ」
メビウス「?」
何も知らない一般ウルトラ人達からは、ゾフィーはユーゼスの野望を阻止した勇者として称えられた。
そしてゾフィーは、新たなバトルロワイアルの気配を感じ、この書き手ロワにやってきた――
……で、現在に至る。
(※この話はフィクションです。実際のスパロワ及びゾフィーとは無関係です)
「ッッッざけるなぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
俺は怒りを隠そうともせず、夜空に向かって絶叫した。
許せない。このゾフィーの行動は、断じて許すわけにはいかない。
3年間続いたスパロワは、多くの書き手達の手によってリレーされ、見事完結を納めた。
あの物語の中は、書き手達の様々な想いに満ち溢れていた。読むだけでもそれが十分に伝わってくる。
あの糞ったれファイヤーヘッドは、それを踏み躙ったのだ!!
あの物語を、あの感動を!参加者達の熱い生き様を、書き手達の強い想いを!
あろうことか、俺達の想いの結晶を、自分の捏造のために利用したんだッ!!
気がつけば、俺の目からは涙が溢れ出ていた。
許せない。絶対に許せない。こんな馬鹿なことが許されていいはずがない!
これが終盤参加の俺一人だけの屈辱で済んだなら、ここまで怒りはしない。
だがあの野郎は、俺だけじゃない……スパロワを盛り立ててくれたnc氏、uc氏、KX氏、
その他多くの書き手達をも、最低の形で侮辱した!!それが許せるかッ!?
「くそっ……畜生……ッ!!」
涙を拭い、面を上げる。ここでこうしていても、何も始まらない。
もうバトルロワイアルは始まっている。今は生き延びるためにも、自分にできることをやるしかない。
俺は『修羅王』の名と姿を与えられた。ならば、俺はその役割を果たすまでだ。
仲間達を集め、対主催としてこのバトルロワイアルに立ち向かう。
仲間――そう、心強い戦友達も、ここに来ているはずだ。
かつての戦友……スパロワで完結に向け共に戦った、懐かしい書き手達。
そして、今の戦友……今、二次スパで俺と肩を並べ戦っている、頼れる書き手達。
彼らだけではない、殺し合いに抗おうとする者達も必ずいるはずだ。
仲間達と共に、このゲームに真っ向から立ち向かう!!
……だが、それだけではダメだ。
それだけでは……あの憎きゾフィーの目論見どおりとなってしまう。
今のままでは、最後の最後であいつは対主催に力を貸し、美味しい場面を掻っ攫っていくだろう。
それだけは許さない。なんとかして、奴の再登場フラグ、活躍フラグを折る必要がある。
どうする、どうすればいい?あのゾフィーの目論見を阻止するには?
……自殺するか?奴の力を受け継いだ俺が死ねば、その瞬間あいつのフラグは……
ダメだ。どんな手を使ってでもあいつはフラグを維持、もしくは新たに立ててくるだろう。
そんな不安定なプランで自分の命を捨てるなどということはできない。
では、話を優勝・全滅路線に持っていけば?対主催路線が潰えれば、奴もこのロワから手を引くかもしれない。
いや、それもダメだ。そんなやり方は、『修羅王』としての俺の戦いに反する。
なら、どうすればいいのだ?……今の俺には何もできない。
この場所からでは何の手出しもできないし、俺の怒りも奴には届かないのだ。
――なら……発想を逆転させれば?
一つの案が思い浮かぶ。
ゾフィーは間違いなく終盤に再登場し、対主催側に手を貸すことだろう。
その対主催達が、ゾフィーのことを信用しなければ、どうだ?
最後の最後までゾフィーの協力を拒み、否定すれば?
「俺に力を与えたのは失敗だったな、ゾフィー……!」
決まりだ。俺は『修羅王』としては、対主催のために全力で戦うことを誓おう。
だが……ゾフィーに変身した時は、奴の姿となった時だけは別だ。
このゾフィーの力を使って、このロワそのものを荒らし尽くしてやる。
対主催の邪魔をし、重要なフラグを片っ端から台無しにし、時にはリレーしづらい話をも展開させ……
参加者、リアルの書き手双方から、ひたすら不快感を抱かれるような行動に徹する。
そう……全ての書き手からの信頼を貶めるように動くこと。
そうだ、信頼を失えば、同時にゾフィーも活躍の場を失い、出てきて恥を晒すだけの結果となるんだ。
「ゾフィー……お前に光の道は歩ませない。バードンやタイラント以上の悪夢を見せてやる……!!」
……さて、とりあえず俺は現在位置を確認する。
東京都――小笠原諸島。日本の最南端じゃねーか!!ちょっと待て、こんなんアリかよ!?
本土から極端に離れたこの場所に長時間いても、他の参加者と出会える可能性は低い。
ていうか、こんな場所に俺以外の参加者がいるとは思えん。
ここは一刻も早く本土へと渡る必要がある。
となれば、交通機関を探す必要があるな……船か何かが出ていればいいのだが……
そして島内を探し回って一時間。
どうやら、この島には交通機関の類は一切ないらしい。船も飛行機もない、ほとんどただの無人島。
くそっ、なんて手抜きだ。リアルの島民を馬鹿にしてんのか。
しかし、こうなると困った。海を越えて、本土まで渡る手段がない……
いや……一つだけあった。正直、あいつの手を借りるようで不愉快なんだが。
「ジュワッ!!」
俺はゾフィーに変身し、空を飛んで本土へと向けて移動する。
あの忌々しいゾフィーの力を使って……だが今はこうするしか移動手段がない。くそっ!
俺はゾフィーを絶対に許さない。この屈辱、絶対に晴らしてやる……!!
【一日目・深夜/東京都・小笠原諸島(本土に向けて海上飛行中)】
【『修羅王』@スパロワ】
【状態】ゾフィーに変身中。ゾフィーに対する激しい怒り。
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品0~3
【思考】基本:対主催。同時に、ゾフィーの後半の登場・活躍フラグを叩き折る。
1:本土に向けて移動
2:仲間(主にスパロワ・二次スパの書き手)を集め、対主催活動に入る。
3:ゾフィーを貶め、参加者・リアル双方全ての書き手からの信頼を完全に失わせる
【備考】※外見はフォルカ・アルバーグ@スパロボです
「むぅ……飛び去ってしまったか」
飛んでいくゾフィーを見送り、彼はカップに注いだコーヒーを飲み干した。
もうこのアクションで全てお分かりだろう。我らがパプテマス・シロッコの登場だ。
彼の鳥は◆ZbL7QonnV.……「
脱力の救世主」と呼ばれた男。
その正体は、あの伝説のコーヒーブレイクの祖でもあった。
「しかしシロッコの姿とは……私は二次スパ出典のはずだが。いいのか?
……まあいい。今はこれからの方針の検討が先だ。
さっきゾフィーに変身した青年……確かフォルカ・アルバーグの姿だったな。
ということはスパロワの書き手の誰かか……ここで接触できなかったのは痛かったな」
などとぼやきつつ、カップを置き考察に移る。
この深夜の暗闇の中ですれ違いが発生したのか、同じ島内にいながら、今の今まで誰とも……『修羅王』とも
遭遇することはできなかった。で、ようやく人――『修羅王』を見つけて声をかけようとしたところ、
彼は突然ゾフィーに変身し、飛んでいってしまった。
「彼がフォルカとゾフィーの力を持っているとすれば、接触できれば大きな強みとなったのだが……
まあ、過ぎたことを悔やんでも仕方がない。今はこの島からどうやって移動するかを考えよう。
いざとなれば勇気でなんとかなるだろう、うむ。私には勇者属性もあるからな」
言葉の意味は良くわからんが、とにかく凄い勇者王アムロだ――!
「さて、腹が減っては戦はできぬ……有事に備えて、今のうちに腹ごしらえをしておくか」
そう言うと、脱力の救世主は袋からパンを取り出し、かぶりつく。
うむ、美味い。やはり美味さの秘訣は空腹――
「ぶほぁぁぁぁぁっ!!!」
突然、舌を襲った強烈な刺激に、彼は盛大に口に入れたパンを噴出した。
そのパンは……かつて自分が、完全なギャグでロワに出した食料だった。
「水、水!水ぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
【一日目・深夜/東京都・小笠原諸島】
【脱力の救世主@二次スパ】
【状態】健康。辛さで死にそう。
【装備】なし
【道具】支給品一式、コーヒーセット一式、爆熱ゴッドカレーパン(食べかけ)@二次スパ
【思考】基本:検討中
1:辛い辛い辛い辛い!!水、水~~!!!
2:とりあえずこの島から出たい
【備考】『修羅王』がゾフィーに変身できることを知りました。
※外見はパプテマス・シロッコ。
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最終更新:2009年03月26日 15:31