無音のゴーストタウンにその男はいた。
眠そうな顔付きをしながら歩く長髪の、着物姿の男。
知っている者は言うだろう。
宇練銀閣と。
即ち、新西尾ロワの住人だと察するはずだ。

「…………ふぁ」

その男は欠伸をしながら進む。
あてもなく。
空を切り裂く一筋の流星が現れるまで
風が走った。
流星が現れると同時に、十数メートルほどの距離を空けて降りた。
正体は少女。
巫女装束に奇妙な杖、レイジングハートを持った少女。

「オールロワ所属、◆.pKwLKR4oQ」
「…………」

銀閣姿の男は答えない。
さり気なく左手に持ったデイパックに右手を伸ばしていく。
眠そうなまま、どうでも良いと言わんばかりに。

「僕は対主催として行動します」
「…………」
「協力して、いただけませんか?」

無言。
無音。

「たまんねえなぁ!」
「!」

突如として破られた。
現れたのは巨大過ぎるマシンガン。
ブラウニングM2マシンガン。
それを両手に二挺、いや二砲。
銀閣の姿を与えられたが故の特権。
居合の完成形とも言える神速、見えざる、零閃の応用。
もちろん射程圏内。
容赦なく引き金が、

「――」

引かれない。
地面に落とされた二砲が重い音を鳴らす。
そのまま男はきっちりと正座をした。
だが◆.pKwLKR4oQは警戒を緩められない。
一瞬で死にかけた。
引き金を引かれていれば死んでいたかも知れないのだから。

「――西尾ロワは二度目だ。一度目は、途絶えた。だから、少しは分かるつもりだ」

西尾ロワ。
今でこそ勢いがあるなどと言われているが、過去一度、完結出来なかった経緯を持っている。
そしてこの男は、その時に、完結出来なかった時に参加していた一人だった。
名は、

「◆wUZst.K6uE。今では零崎憑識だとか『深渕燦然』と言われている。過去も参加していた」

恐怖。
終われなかった後悔。
この男は、皆殺しにしようと考えていた。
新西尾ロワを除いた全ての住人を殺し尽くす。
新西尾ロワを、いや西尾ロワを完結させるために。
一人でも多く帰還させるために。
幸い武器はあった。
実力もあった。
だからこそ消極的ながら無差別マーダーとして活動しようと思っていた。

「――だから!」

そこに彼女が現れたのだ。
自分よりも一人の苦しみを知っているだろう存在が。
あろう事かマーダーではなく、対主催として。
あろう事か酷く遠く難しい道である対主催として。
他の誰かなら言葉を聞いた上でも殺していたはずだ。
しかし、彼女を、◆.pKwLKR4oQは、撃てない。
孤独に戦い続けた相手を撃てるほど、零崎ではない。

「頼む、俺も連れて行ってくれ!」

武器を捨てて懇願する。
答えはなく、ただ頷かれた。
笑みを浮かべて男は、零崎憑識は武器を戻し駆け寄る。

「掴まって」
「おう!」
「さぁ――全力前進!」
『All right』

そうして、一人の少女は一人の男と共にゴーストタウンを後にした。
しかし◆.pKwLKR4oQは知らな過ぎた。
『深渕燦然』零崎憑識と言う男を。
過去において戯言遣いの敵『人類最悪』西東天を平然と殺して見せ、現在においてはひき逃げや更なる暴走を引き起こしている、今期待の問題児が。
◆wUZst.K6uEが。
零崎憑識が。
《『深渕燦然』》が。
またの名を、《弾き逃げ<スクラップベース>》が。
◆.pKwLKR4oQが対主催を諦めた瞬間には他がどうあれ皆殺そうと考えている事など。
知れるはずもなかった。



【一日目・黎明/B-6 ゴーストタウン】


【チーム:砲身は対主催】

【◆.pKwLKR4oQ@オールジャンルバトルロワイアル】
【状態】健康
【装備】レイジングハート@ニコロワ
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考】
1:全力で対主催!
2:幸先が良い!
※外見は古手梨花@ひぐらしの鳴く頃にです。

【零崎憑識(◆wUZst.K6uE)@新西尾維新バトルロワイヤル】
【状態】健康
【装備】ブラウニングM2マシンガン×2@新西尾ロワ
【道具】支給品一式、不明支給品0~1
【思考】
1:対主催に協力
2:◆.pKwLKR4oQが対主催を諦めたら新西尾ロワの書き手として無差別マーダーに
3:眠い
※外見は宇練銀閣@刀語です

065:モバマスロワ勢だからね、仕方ないね ◆時系列順に読む 068:それでも、台車は走り続ける
066:受け継いだもの/いつの間にか受け継がれていたもの ◆投下順に読む 068:それでも、台車は走り続ける
013:ひとりぼっちは、寂しいもんな ◆.pKwLKR4oQ :[[]]
零崎憑識 :[[]]

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最終更新:2013年05月03日 05:30