暗い夜道を歩く人影が一つ。
遠目から見たらそれはかなり幼い、十代前半、最悪一桁もありうるくらいの少女の姿だが、勿論その姿はパロロワメモリに変えられたものだ。
ただ、例えそうでなくとも姿の元になったキャラクターはこれでも17歳である。
139cm、30kg、スリーサイズ不明。もう一度言う。17歳である。

「いやぁ、まさか私まで参加するだなんて……」

そのキャラクターを―――双葉杏を知っている人が見たら思わず首をひねるであろう程明るい声で彼女は呟く。
彼女(名目上そう呼ぶ)の渾名はベテラントレーナーP、酉は◆ncfd/lUROU。
派手な作品はあまり無いが、その作品は手堅く、そして確かな実力がある。
彼女が手がけた登場話で、多くの名作の土台やスタンスが作られたのだ。彼女もまたモバマスロワを語るに外せない書き手であることは間違いない。

「私が参加してるくらいだから、少なくともエース五人は参加してるのだろうけど……会って見たいなぁ。どんな姿が割り当てられてるのかなぁ」

投下数で見れば、彼女を境目に上位五人とは差をつけられている。
勿論書き手は投下数で測られるものでは無いが、しかしそれも一つの指標であるのも事実だ。
だからモバマスロワ書き手からは上位五人だけだろうと踏んでいたのだが、結果として彼女もまた参戦する事になった。
この状況下にいる他の書き手に純粋に興味がある。しかし、現実はそう上手くはいかないようだ。

「ただ、ロワとなるとこの姿はちょっと厳しいな……どうしよう、リアルの姿の方がまだマシだよ」

一つの足枷として、その姿がある。
モバマス・ロワイアルは一般人のみのロワである。アイドルという特殊な信念を持ってはいるが、それでも普通に一般人である。
この書き手ロワで他にどのロワが参加しているのかは分からないが、少なくともこの姿で太刀打ち出来る相手は少ないだろう。
というかこういう場所は大概トンデモ能力のオンパレードである。
仮にそうでなくとも、この体はただの成人男性にすら勝てない体であることは明白だった。

「他の皆さんはどう立ち回るんだろ。j1氏とか、案外斧を片手に無双してたりして」

同郷のエース書き手のことを思いだし、一人笑う。
しかしそれが現実逃避に近い事と感じ即座に首を振る。とにかく、現状をどうにかしないといけない。
正直この状況だと同じモバマスロワ書き手に会う前に死にかねない状況である。だからこそ慎重に行動しないといけない。
こういう時は支給品を確認するのが定石なのだが、道の真ん中でやるのはそれこそ危険である。

「はぁ、考えても仕方ないか。
 他の参加者を探そう。誰か良い人がいるかもしれないし」

そう言って、取り敢えず移動を開始する。
しかしその足取りは遅い。仕方ないじゃない、見た目だけならロリっ子なんだもの。
仮にベテラントレーナーPを成人男性だとするなら、少なく見積もっても30cmぐらいの差があるはずだ。
そんな姿になってしまったのだから、イマイチ慣れないのも仕方が無い。たどたどしく歩いて、曲がり角に差し掛かった、

――その時。

「………っと!」

その向こう側に一瞬人影が見えた。
即座に身を潜めて、息を整える。

(今、誰か居たよね………)

余りにも一瞬の出来事故に、その細かい姿は視認できていなかった。
男性か女性かも分からない。若者か、老人かも分からない。そもそも人だったのかどうかすらもちょっと微妙だ。
わかっている事は、視界の隅に確かに人と思われる『何か』が居たという事だけだ。

(……足音は聞こえない。あっちは気づいてないのか?)

こちらに向かってくる気配は無い。
何かをまさぐっている音は聞こえるが、それは恐らく支給品の確認だろう。
つまり、同じ参加者に違いない。無害そうならばコミュニケーションをとりたいが、もし争いに発展したならば勝目はほぼ無いと行ってもいい。
だがどちらにしろ、行動をしなければ何も進まない事は明白だ。こんなロワにも、常識人は居るはずだ。

決意を固め、そっと身を乗り出し向こう側を覗いたその瞬間、目に映ったものは―――



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(……あれは関わったらいけないやつだわ)

思考は冷静かつ即座にそう判断し、彼女はあっさりと踵を返した。
知る人ぞ知るキャラクター、ペプシマンの姿をしているのは感電氏だ。
数あるロワに潜む感電氏のうちの、俺ロワトキワ荘にある「オールスターロワイアル」に投下した感電氏である。
何故彼がペプシマンなどというキャラクターの姿をしているのかは、ここでは割愛させていただく。本編を参照にされたし。見た?意味が分からない?正常です。

その姿は全身銀色、時々青色で、顔にはあるべきものが何も無い。
不気味で、しかし一種のスタイリッシュさを兼ね備えたその姿は何を考えているのか全く分からない。
彼は対主催なのか、マーダーなのか。それを察することはできそうにない。
しかし、しかしだ。もしあなたがこのキャラクターの事を少しでも知っているのなら、察する事はできるのではないだろうか。
その名前は『ペプシマン』。故に、彼がこれから行動する事は決まっている。

彼は鞄の中をあさり、目的のものを見つける。それは当然のようにペプシコーラだ。コーラを飲んだらゲップをするのと同じように。
一本だけでは無い。彼が鞄に腕を入れれば、それだけペプシコーラは出てくる。鞄の容量を超えている量だろうと、当然のように出てくる。
無尽蔵のペプシ。これをどうするか、など最早愚問だ。
彼がペプシマンであり、ここに多くのペプシがあるのなら、やる事はたった一つだ。

もしそれを人が見れば、馬鹿げた事だと笑うかもしれない。
何故、彼はそんな事をするのかと疑問に思う奴もいるかもしれない。
―――理由など、一つしかない。
このキャラクターがここにいたならば、必ずそうすると確信しているからだ。
ペプシマンは例えどんな逆境にたとうとも、必ずペプシを届けに行くのだ。
そんな姿をネタにしながらも彼の中には少なからず『憧れ』がある筈だ。
ペプシのペの字も無いロワにオールスターというだけで出すぐらいなんだからそりゃあもう生半端なアレじゃないはずだ。
だから彼は、この姿で成し遂げるのだ。背に持つペプシを、求める人達の元へ!

「………………………」

どれだけの『憶測』をたてても、彼から理由が語られる事は無い。
ただ彼は、行動に移すだけだ。自分がやらなければいけない事、しなければいけない事を―――!

「プシャアアアアアアアアアアアアアア」

決意の咆哮(?)をあげて、彼は走り出す。
その後ろから、どこからともなく声が聞こえてくる。

「夢半ばに散った男は今、新しい体を受け走り出しました。
 その行先は誰にも分からない。しかしッ!その道の先には確かに待っている人がいる!
 駆けろ、ペプシマアアアアアアアアアアアアアアアン!!この殺戮の世界に待つ人達の元へ!!」

それが幻聴なのかどうかは分からない。他にそれを聞いた人物はいないからだ。
しかし、それが本当かどうかは関係ない。自分が愛したSASUKEのナレーションも背中を押しているという事実さえあれば十分なのだ、と。
だから彼は駆ける。風よりも早く、ただペプシを求める人達の元へ。
自分が感電なのだという事とか、ここが殺し合いの場だという事は最早関係ない。
むしろ、だからこそ。ペプシを渡すのだ。それが彼の、『ペプシマン』の象徴だから。

覚悟と意志を持ち突き進む。そしてスピードを減速させることなく曲がり角を曲がり―――

「い だ ぁ っ !!!?」

――曲がった瞬間に、人にぶつかった。
腹部と後頭部がごっつんこ。教訓、前方注意。



【一日目・深夜/G-4】
【ベテラントレーナーP(◆ncfd/lUROU)@モバマスロワ】
【状態】後頭部にダメージ(極小)
【外見】双葉杏
【装備】なし
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
基本:取り敢えず誰か話の通じそうな人に会いに行く。
 0:いったぁ!?
 1:同じモバマスロワ書き手の人に会いたい

【◆4Wptyf8HGw@オールスターロワ】
【状態】腹部ダメージ(極小)
【外見】ペプシマン@ペプシマン
【装備】なし
【持物】基本支給品、ペプシ×?、不明支給品0~2
【思考】
基本:『ペプシマン』として、ペプシを求める人にペプシを届ける。
 0:痛い

※SASUKEの実況が聞こえるかもしれません。他の人に聞こえているかどうかは後続の書き手に任せます
※ペプシコーラの上限の有無とその数も後続の書き手に任せます


037:問題作 ◆時系列順に読む 039:無題
037:問題作 ◆投下順に読む 039:無題
◆4Wptyf8HGw 063:G-2遊園地 書き手式庭球決戦!!
ベテラントレーナーP 065:モバマスロワ勢だからね、仕方ないね

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最終更新:2013年04月26日 20:12