「なんだ、これは」
1人の川崎宗則が、困惑も露わな声を上げていた。
何の変哲もないはずの、しかし何かがおかしい世界に、川崎宗則が立ち尽くしていた。
「どうなってるんだ」
自分は確か、先ほどまで、アーカードの姿をした書き手と戦っていたはずだ。
何せHELLSINGの最強主人公の姿を取り、その手にはTRIGUNの最強兵装・パニッシャーまで備えていた男だ。
これは油断ならない相手だと思い、川崎宗則は全能力を駆使して、必死に彼に応戦した。
しかし、相手には意外な弱点があった。
その剛力こそアーカードのものだが、あの男にはアーカードの持っていた、不死身の再生能力がなかったのだ。
これなら戦いようによっては、なんとか勝てるかもしれない。
川崎宗則は、僅かな勝機に全てを駆けて、あの男へと食らいついていった。
ちょうど、その時だ。男の頭が自分を掴み、ビルの窓へと叩きつけたのは。
砕け散るガラスの破片を食らい、ズタズタになるはずだった自分の身体が、何かに溶けていったのは。
「僕は一体、どうなったんだ」
周囲を見渡す。冷や汗を拭って、様子を伺う。
先ほどと変わらない町並みがあった。
否、確かに変化はあった。
この奇妙な空間は、左右が反転した世界なのだ。
自分が叩きつけられたビルは、道路の西側に建っていたはずだ。
しかし、この世界にあった同じビルは、道路の東側に建っていた。
看板にちりばめられた文字も、全てが左右逆になっている。まるで鏡文字のように。
「――ここは私の領地、ミラーワールド」
その時だ。
背後から野太い声が聞こえたのは。
はっとして、そちらを振り返る。
路地裏からゆらりと姿を現す、あのアーカードの姿がある。
その手には十字架を象った、巨大なパニッシャーがある。
「ミラーワールド、だって?」
「然り。これこそ不老不死の代わりに手にした、私の最大の能力だ」
にい、とアーカードの口角が歪む。
白い三日月の表面には、ぎらりと光る牙が並ぶ。
「仮面ライダー龍騎」
その時、同じ声が聞こえた。
しかし声の聞こえた先は、右上方のビルの上だ。
そこには仮面ライダー龍騎の、浅倉威の姿を取った、別の書き手の姿があった。
「そういう名前の特撮を知っているか」
またしても同じ声が聞こえる。
向かい側のビルの5階の窓から、ARMSのキース・レッドの姿を取った、別の書き手が問い掛ける。
「この世界はその作品に登場する」
またしても同じ声が聞こえる。
背後のビルの隙間から、リリカルなのはのフェイト・T・ハラオウンの姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「鏡の裏に広がる世界」
またしても同じ声が聞こえる。
ガソリンスタンドの建物から現れる、仮面ライダーカブトの天道総司の姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「そしてこの異界こそが」
またしても同じ声が聞こえる。
自動ドアを開いて現れた、ONE PIECEのエネルの姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「私の持つ能力を、最大に発揮できる世界」
またしても同じ声が聞こえる。
コンビニの屋根の上に座り込んでいた、仮面ライダー剣の相川始の姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「自己紹介をしておこう」
またしても同じ声が聞こえる。
ビルの非常階段から降りてくる、ARMSのキース・シルバーの姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「私の酉は◆WslPJpzlnU」
またしても同じ声が聞こえる。
路上のマンホールから姿を現す、らき☆すたの柊かがみの姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「名を、暗黒の破壊神」
またしても同じ声が聞こえる。
信号機の上に立っている、仮面ライダー剣の金居の姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「かつて『13人の超新星』というSSで」
またしても同じ声が聞こえる。
ポリバケツの中から顔を出した、リリカルなのはのリニスの姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「このミラーワールドを取り扱った」
またしても同じ声が聞こえる。
ビルの2階の窓から飛び降りてくる、仮面ライダー剣のキングの姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルの書き手である」
またしても同じ声が聞こえる。
地平線の彼方から歩いてくる、リリカルなのはの聖王モードヴィヴィオの姿を取った、別の書き手が語り掛ける。
「これこそが、我が力の形。私のミラーワールドだ」
そして、書き手達の中心に立つ、アーカードの姿を取った書き手が、高らかにそう宣言する。
13人の書き手達は、いずれもアーカードと同じ、中田譲治の声を発していた。
そして全ての書き手達が、その手にパニッシャーを携え、川崎宗則を包囲していた。
「まさか、これが全て、君なのか」
最悪の可能性を想像し、川崎宗則は問い掛ける。
この場に集まった書き手達は、別々の12人の書き手などではなく。
アーカードの書き手から分離した、12人の分身達なのではないかと。
「その通りだ。お前が見ている私達は、全て同じ書き手から分かれた存在」
「このミラーワールドの中でのみ、発動することができる分身能力」
「最強の身体能力の下に、最強の個人兵装を振るう、最凶最悪の軍隊である」
四方八方から聞こえる声が、順番に川崎宗則の問いに答えた。
「13人の超新星」――それは、なのはロワの作品の中でも、最大級の超展開を起こした問題作だ。
こともあろうに、この暗黒の破壊神は、ロワに参加していた10人以上もの参加者を、
浅倉威のカードデッキを使い、一斉にミラーワールドに引きずりこんだのだ。
そしてこの場に集った分身は、そのSSの中で生き残り、刃を交えたキャラクター達だ。
なるほど確かに、この男にとっては、これ以上ないほどに似合いの能力と言えよう。
「貴様との戦いは楽しかった」
「よくぞこの力を使わせた」
「よくぞ私のこの世界に立たせた」
「これはせめてもの礼だ」
「私の全霊を尽くして、貴様を冥府へと送ろう」
無数の破壊神が語り掛ける。
無数の銃口が向けられる。
彼が龍騎のライダーの数に合わせて、自らの作品に集めたのが、13人のキャラクターであるなら。
TRIGUNの原作において、ノーマンズランドに存在するパニッシャーもまた、合計13挺である。
それら全ての一斉砲火を浴びれば、人体など欠片も残らないだろう。
「……まさか」
されど。
そんな絶望に立たされてなお。
「こんなに早く、使うことになるなんてな」
川崎宗則は折れなかった。
圧倒的な暴威に臆することなく、デイパックを降ろして蓋を開けた。
「それは?」
暗黒の破壊神が問い掛ける。
デイパックから現れた、トートバックを見つめて尋ねる。
「分身能力を持っているのは、君だけじゃないということさ」
にやり、と川崎宗則が笑った。
トートバックのジッパーに手をかけ、その口を解放し、横に倒した。
「僕も名乗らせてもらおう。僕は川崎宗則殺し」
その時、そこから現れたのは、川崎宗則達だった。
同じ顔と声を持つ、大量の川崎宗則達が、鞄から続々と現れた。
「川崎宗則バトル・ロワイアルで、◆I9C.OZ3.G6という酉を使っている書き手だ」
薩摩のイチロー川崎宗則がいた。
福岡ダイエーホークスにドラフト4位で指名される川崎宗則がいた。
新人合同自主トレで、周りとの体格に違いに自信を失う川崎宗則がいた。
小久保塾に入塾する川崎宗則がいた。
ダイハード打線の一人川崎宗則がいた。
2004年福岡ダイエーホークスの遊撃手のレギュラーになった川崎宗則がいた。
2005年プレーオフの川崎宗則がいた。
2006年WBC日本代表川崎宗則がいた。
福岡ソフトバンクホークス遊撃手レギュラー川崎宗則がいた。
2009年WBCでスランプに陥るイチローを見守る川崎宗則がいた。
2009年WBCでイチローの復活に喜ぶ川崎宗則がいた。
2009年WBC決勝代打で凡退した川崎宗則がいた。
2009年WBC決勝イチローの逆転二点打を打った時の川崎宗則がいた。
福岡ソフトバンクホークス精神的支柱川崎宗則がいた。
マリナーズとマイナー契約した川崎宗則がいた。
メジャーリーグオープン戦首位打者川崎宗則がいた。
ファンに愛されるシアトルマリナーズの川崎宗則がいた。
ついでにメジャーリーグの主審と、リトルリーグの副審と、高校野球の副審と、一浪の浪人生もいた。
「それは」
「大変だったよ。これだけの川崎宗則を、1話のSSで捌き切るのは」
そして彼らを呼び寄せたのは、イチローさんがヤンキースに移籍してしばらく経った川崎宗則だった。
総勢22人の大軍団の最後方に立ち、不敵なマジキチスマイルを浮かべる、川崎宗則殺しの姿があった。
暗黒の破壊神が問題児なら、川崎宗則殺しもまた問題児だ。
予約からあぶれた川崎宗則達を、こともあろうに1作にまとめて登場させ、野球の試合を演じさせた。
その上その果てに訪れたのは、ほとんど事故のような偶然による、全員死亡という結末だった。
「さぁ――」
22人の軍団のうち、川崎宗則の姿をした者は、全員同じ装備を身につけている。
その右手にはバットを握り、左手にはグローブを嵌めている。
そして川崎宗則殺しは、左手に嵌めたグローブの中に、白いボールを納めている。
「「「――野球を、しよう」」」
イチローさんに恥じぬような。
川崎宗則ロワに恥じぬような、立派な野球を。
22人の軍団が、静かに、一斉にそう言った。
【一日目・深夜/B-3 市街地】
【川崎宗則殺し(◆I9C.OZ3.G6)@川崎宗則バトル・ロワイアル】
【状態】分身召喚(21人)、疲労(小)
【装備】バット、グローブ、ボール
【持物】基本支給品、四次元トートバッグ@川崎宗則ロワ、不明支給品0~2
【思考】
基本:川崎宗則ロワに恥じぬよう、立派に戦う
1:暗黒の破壊神と戦う
※外見はイチローさんがヤンキースに移籍してしばらく経った川崎宗則です
※4次元トートバッグから、「真剣勝負の行方」で書いた、21人の登場人物を召喚することができます。
また、4次元トートバッグには、たっぷりの数の野球道具@川崎宗則ロワが入っています。
【暗黒の破壊神(◆WslPJpzlnU)@リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル】
【状態】分身召喚(12人)、全身にダメージ(小)
【装備】パニッシャー@TRIGUN
【持物】基本支給品、不明支給品0~2
【思考】
基本:破壊と殺戮。優勝狙い
1:川崎宗則殺しを殺す
※外見はアーカード@HELLSINGです
※身体能力はアーカードのものですが、アーカードの持っていた特殊能力は、全て失われています
※鏡があれば、自分と対戦相手を、ミラーワールドに引きずり込むことができます。
ミラーワールドの中では、
柊かがみ@らき☆すた、エネル@ONE PIECE、キース・レッド@ARMS、キース・シルバー@ARMS、相川始@仮面ライダー剣、
金居@仮面ライダー剣、キング@仮面ライダー剣、リニス@魔法少女リリカルなのは、
フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはStrikers、聖王ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、
天道総司@仮面ライダーカブト、浅倉威@仮面ライダー龍騎の姿をした、合計12人の分身を生み出すことができます。
分身は全員がオリジナルと同じ声・同じ戦闘能力を持ち、パニッシャー@TRIGUNを装備しています。
ただし、分身のキャラが元々持っていた特殊能力は、全て失われています。
最終更新:2013年05月11日 06:02