長門×卯月1-876避

「ああ、しかし……」
 栄えある長門型戦艦一番艦は、悲しげに首を振った。
 彼女に誇りがある限り、彼女は己の心のままに従う事だけは、絶対にできなかった。
「結局のところ、卯月。お前と私では、好きという言葉の意味が違うのだ」
「……そんなコトないもん。うーちゃん、長門が大好きだから!」
「私もだよ、卯月。でも、それは……」
 長門はそこでふと言葉尻を切り、目の前の彼女を、睦月型駆逐艦四番艦の卯月の事を、ほとんど睨むのに近い鋭さで見つめた。それは、飢えて干乾びた者が決して手の届かない場所に滴る水の一滴から目を離せないのに似ていた。
 柔らかい臙脂色の頭髪から、膝の下まで。襟元の肌色、小さな頤、未発達の胸、眩しいむきだしの太腿。じろじろと、舐め回すような、それはそういう目つきだった。
「……長門、さあん」
 不意に彼女はぴょんぴょん跳ねて、長門の前に立った。見上げる。背丈はその肩のところにも届いていない。
「卯月?」
「……うーちゃん、ね」
 形の良い唇からちらと舌が覗いた。無垢な少女には酷く不釣合いな仕草だった。
「何を……うっ!? や、卯月、やめ……!」
 長門は腰砕けになり、へなへなと床に座り込んだ。武装も、自慢の重装甲も役に立たなかった。
 違うのは立った。
「いけない……卯月、私は……」
 呻く長門の頭を彼女は優しく胸に抱え込んで、その耳元に、ぴょんぴょんと、理性の最後の壁を突き崩す言葉を囁いた。甘い声音はあらがい難い何かと禁忌とを同時に感じさせる、幼い少女のものだった。
「夜のうーちゃんはぁ……とっても凄いんだぴょん……?」

(続省略わっふる)


これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

タグ:

長門 卯月 百合
最終更新:2020年02月13日 15:59