提督×神通15-389

「決まりましたか」
「うん。ラストは加古でいいや。暫く出してやってないし、たまにはブッ飛ばされたほうが気合い入るだろ」

軽く笑いながら明日の演習の行程表を渡してきた提督に、秘書艦である神通は困ったような微笑を浮かべた。

「本当に。…お強くなられて」
「うん?」
神通の小さなつぶやきに、提督が顔を上げた。小動物のような、それでいて独特の真剣さを持つ彼女の瞳を、問うように眺める。
「覚えておられますか?ここへ着任されて、最初の演習。貴方は」
「あぁ。あれは忘れるはずないよ」

失敗すれば恥をかく、判断を誤れば誰かが傷つく。
初演習の指揮を嫌がって逃げた新米提督に、平手打ちの一発で目を覚まさせたのは、彼女だった。

「第一印象も、普段の態度からも、正直、君はもっと弱い人だと思ってた。だから」
あれは効いた、と大げさに頬を抑えて若い提督は言った。
「…弱いですよ。私は」
細身の眉をひそめたまま、軽く頬を染めて、呟くように神通は応えた。

その特殊な家柄から積まされる経験のひとつに過ぎない、学卒直後の若造の、実戦も無しの三ヶ月。
…のはずだった『お飾り提督』期間は本人の強い希望により延長に延長を重ね、ついに一年を超えた。
まだまだ未熟さも目立つが有能な秘書艦のサポートもあり、実戦も経験、上も認める成果は着実に積み重ねられている。
既に互いを信頼する絆は、成熟の域に達しているという自負が彼にも彼女にもあった。


 ***


「…神通。ちょっと…良いかな」
ふと執務の手を止めた提督の、熱のこもった視線が、神通を捉える。
二人きりの時間をここ執務室で、彼の私室で、そして――ベッドの上でまでも多くを過ごした今は、彼の心の灯はすぐに察せされる。
言われるままに近寄った彼女の唇を、立ち上がった提督は瞬時に奪い。
その余韻の醒めないうちに、耳元で何事かを囁いた。
神通の端正な顔が、みるみる紅潮する。

「…今から、ですか…」
「…いつでも君は、僕のやる気を引き出してくれる」

上手いことを言った御積りですか、と赤くなったまま再び呆れ顔を見せる彼女に、再度の口づけ。絡める舌に、神通の表情が蕩ける。
「君の困り顔は、本当に好きなんだ。なんていうか…我慢出来なくなる」
それ、褒めたつもりですか、と言いながら神通は、導かれるままに愛しい彼の分身に衣服の上から柔らかな唇を当てた。
底知れぬ熱さと、屹立の萌芽が、布地の奥に感じられた。

 ***

「ん…」
夕日の差し込む、黄昏時の執務室。
立ったままで白い制服の裂け目から突出したそれの裏筋を、先端を、神通は床に座り込み、柔らかな舌で丹念に舐め上げる。
「もう…こんなに……」
上目遣いに提督の表情を確認しつつ、愛おしげに両手の指先で撫で、形の良い唇がその先端を微かな水音を立てながら吸う。手のひらの感触が、熱い吐息が、性器全体を包み込む。
これまで教えられた通りに手と口とで一心に奉仕し、ときおり逆の手で美しい黒髪を掻きあげる様にすら、提督の牡淫は激しく昂ぶらされる。

綺麗な人だ、と場違いな感想を提督は持った。


「…っ」
やがて。堪え切れない快感の堰が、彼の芯を震わせ――

「神通…もう………ッ!」
「……!」
座して奉仕する女の頭を抑え、柔らかく熱いその唇中に無意識に自身のそれを深く深く突き込んだ瞬間、堪えられない快楽がどくどくと、大量に解き放たれた。

こくり、と従順な白い喉が鳴った。


「………立てるかい。…急にごめん、なんだか最近は、また我侭ばかり言ってるかもね」
「いいえ、提督のお役に立てたのなら…」
放心したように立ち上がった神通に、で、君のほうはどうなんだい、と提督が問う。

「……………身体が、……火照ってきてしまいました…」

そう。その顔が、堪らないんだ。
にやりと笑いながら提督は彼女をひょいと抱え上げると、あわあわと混乱する彼女の声を無視し、夜戦に突入すべく共に私室の扉の奥へと消えた。

 ***

「そこ!転進が遅い!沈みたいんですかッ!?」
改二の艤装に身を包んだ彼女が、駆逐艦を指揮する声が窓の外から聞こえる。
『華の二水戦』と呼ばれた精鋭集団のリーダーの姿が、眼下にあった。

「突撃します!私に続いて!」
ひた走る彼女の後を、ふらふらと駆逐艦達が続く。

…鬼教官。
呟いて、苦笑する。

強くなろう。僕も、君も、鎮守府も。もっと、もっと。そして――


「さぁ、砲雷撃戦…開始します!」


もう二度と平手は喰らわないように注意しないとな、と頬を撫でながら提督は再び心に誓った。



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最終更新:2015年07月13日 15:14