242 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/25(水) 23:05:23 ID:JK8ge.Bs
ひとます鎮守府慰安労働大和編が書けたので投下します
今回こそ大和編は終わりです、ではいきます
243 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/25(水) 23:05:56 ID:JK8ge.Bs [12/16]
大和との一夜から一週間が経ち、東は提督から直々に執務室に呼び出されていた。
あの日から一度も大和と言葉を交わすこともなければ、顔を合わせたこともわずか。
逆に今日まで誰とも身体を重ねることもなく、平和な一週間であったのも確かだった。
執務室には東と提督の二人だけ、秘書艦すらいない部屋で提督が口を開く。
「東、とりあえず一か月間お疲れ。色々アンタの評判は聞いてるよ」
「は、はい……」
「そんな凝り固まらなくていいさ。鳳翔さんを始め、いい評判ばかりだよ」
「そうですか。よかったです」
そう言いながら提督は手元にある書類の束を持ち上げ、ひらひらと振る。
笑顔を浮かべている提督の姿に、東の中に確かな安心感が生まれていた。
大和の件も含めて後ろめたさが抜けきらず、抱えていた緊張が程よくとけていく。
帽子も脱ぎ、身に付けている提督服も着崩している提督にも緊張感は感じられない。
しかしふと提督が引き出しから、もう一つの書類の束を引っ張り出した。
先ほど東に見せた書類よりもやや厚く、枚数も多く見える。
同時に提督の眉間にしわが寄ったのを東は見逃さなかった。
とけかけた緊張感が再びよみがえりながら、提督は言葉を続ける。
「まー、若干残念な報告も少ないわけではないんだけど、身に覚えは?」
「……えっと、少し」
「そーね。こっち単独で見ると若干良くない報告が少なくないんだよね」
「は、はい、すいません……」
「浦風との混浴、長波や夕張、青葉と大和と色んな女の子の部屋で深夜デートなどなど」
一つ一つ提督が読み上げていく中で、東の背中に嫌な汗が滲み、血の気が引いていく。
後ろめたい部分だけではなく、できれば人に知られたくないという部分まで明るみに出た。
どこか恥ずかしさにも似た感情に支配されながらも、提督の話に耳を傾ける。
「でもこの辺の話を、戦果報告と重ねると話が変わってくるんだよね」
「浦風たちの戦果がってことですか?」
「そうそう。出撃、遠征、演習、それぞれの娘の戦果がやたら高いわけだ」
「たまたまじゃないんですか?」
「その可能性もないわけじゃないけどね。まー、問題はそこじゃないのよ」
「はぁ……?」
「要は女の子と混浴したり、深夜同じ部屋にいたりってのが問題なのよね」
「あー、それについては……何も言い訳のしようがないです」
「何をしてたかは分からないけど、倫理的に提督としては見逃せないわけよ、おーけー?」
提督の言っていることは東にも十分理解ができていた、故に何も言えなかった。
そもそも慰安労働を行っている人間は、自らの行いを反省するために労働を行う。
鎮守府にいる間、東の評判が艦娘から見ても提督から見ても良かったのは確かだ。
それらは事実として提督の手元に届いているし、何より提督自身が認めている。
だからと言って慰安労働の最中に、深夜帯に女性の部屋にいるというのは見過ごしがたい。
提督自身、何をしていたのか分かっていないが、前提として女性の部屋にいるのがまずい。
ましてや慰安労働を行う者としてではなく、東自身の存在は他鎮守府にも知れ渡っている。
報告次第ではそのまま刑罰に処される可能性もあり、処されても文句は言えなかった。
しかし提督の声は優しく、ひらひらさせていた書類を机に置いて口を開く。
「……東、この鎮守府でもーちょい頑張ってみる?」
「慰安労働を続けるってことですか?」
「今のままじゃ私も諸手を振って見送れない、提督って立場も難儀なもんだ、それに――」
「それに、なんです?」
「うちのトップからの直々の推薦なんだよ。ねえ、大和?」
提督の言葉が終わるのと同時に執務室の扉が開き、大和が姿を現した。
凛とした立ち姿に、普段の物腰の柔らかさからは想像できない鋭い目つき。
鎮守府のトップたる姿に相応しい姿のまま、大和は提督の後ろで身を翻す。
一週間、満足に言葉を交わしていない東にとって、最大の緊張が訪れた。
「私の推薦かどうかは関係ありません。提督の思うまま、ご決断ください」
「またまた。前は尊敬してくれてい人ができた♪とか言って喜んでたくせに~」
「なっ……! わ、私はそんなこと……!」
「東と仲良くなりたいからって、隼鷹にアドバイスもらって日本酒飲んだのも知ってるよ。
東を部屋に呼んだのに、結果的に部屋で一人で酔い潰れた挙句、ベッドと下着濡らしただけだけどね。
鳳翔さんが、こんな時どんな顔をしたらいいか分からないって唸ってたよ」
「も、もう提督! やめてください! こんな時に!」
「あ、あははは」
目の前で繰り広げられる提督と大和のやり取りに、もはや東は苦笑いしか出なかった。
提督の言った東を部屋に呼んだ日は、一週間前にとことん襲われたまさにあの日のことである。
真相は東と大和しか知らないため、提督の中では大和が酔い潰れたという結果になっているのだろう。
顔を真っ赤にして提督を叩く大和の姿は微笑ましく、同時に東の中に安心感が生まれた。
東が慰安労働を行うために鎮守府に入ってからというもの、お互いに顔を合わせることは少なかった。
大和は鎮守府の最大戦力として、東は慰安労働者としてどちらも忙しかったのだ。
初対面では明らかに覗きと思われてしまい、てっきり嫌われているものと思い込んでいた。
自分が大和にどう思われているのかを知る機会も少なく、今、提督の口から初めてそれを聞けたのだ。
大和からポコポコと音がしそうなくらい軽く叩かれながら、提督が口を開く。
「そんなわけで東がいると縁起がいい。どう? もうひと月くらい」
「え~っと、提督がいいならって思いますけど、いいんですか?」
「みんなにはお手伝いさんひと月追加って言っておくから、よろしくね」
「はい、了解しました」
普段から艦娘たちが行っている敬礼を真似て、東は執務室を後にする。
執務室に残った大和が提督を叩く手が止まったのは、それからしばらく後のこと。
「提督。よろしかったんですか? 慰安労働期間を延ばしてしまって」
「別に悪い子じゃないじゃし、それに大和も東のことは気に入ってるでしょ?」
「――!? だ、誰がそんなこと言ったんですか!」
「ん? いや、別に好きかどうかじゃなくていい子でしょ?」
「あっ、そ、そういう意味ですね。そうですね、その通りです」
「……完全に意識しちゃってるじゃん、まぁあんなことしてりゃ当然だけど」
真っ赤になっている大和に、呆れとも取れるため息と共に提督は帽子を被り直す。
東の前で口にしなかっただけで、提督は一週間前の情事の全てを知っていた。
といっても部屋を覗いていた、青葉から情報を得たという類のものではない。
他の誰でもない、日本酒を呑んで酔い潰れた大和の口から聞いていた。
だからと言って好き好んで言いふらしたわけではなく、大和にとっては真剣な話だった。
~~一週間前~~
「提督! 提督~!!」
「深夜にうるさくしちゃだめだよ大和……何故そんなに服がはだけている?」
「服なんかいいんです~! 提督、聞いてくださいよ~!」
「あーはい、聞く聞く。聞くから服を着なさい、ね?」
東が部屋に帰った後、部屋で目を覚ました大和は服を着直す時間も惜しんでいた。
自分自身の身に起こったことを提督に相談するため、一心不乱に執務室に駆け込んでくる。
最低限、東の精液を拭き取ってはいたが、酔いが覚めるのも待てなかったのだ。
ひとまず提督は上着を貸したが、大和の口からは信じられない言葉が飛び出した。
「それで大和。そんなに取り乱して何があったの? 何かイカみたいな匂いするけど」
「聞いてもらえますか? 笑わないで聞いてもらえますか!?」
「いいよ?」
「そ、その、口の中に精液出されただけでイっちゃうのっておかしくないですか!?」
「……はっ? ちょっと何の話をしてるのか分からないんだけど」
結局、提督が大和の話を理解できたのは一時間以上も前のこと。
最初こそ東が大和を強姦したのかと疑いもしたが、その辺りもきちんと理解した上でだ。
酒に酔った大和が勢いで東を襲ってしまったこと。
東を襲ってしまった際に、口内に射精されてしまっただけで大和もイってしまったこと。
それまで触られていなかったにも関わらず、すぐイった自分は変ではないかということ。
挿入はしておらず、あくまでも酒に酔って大和が一方的に襲ってしまったということ。
それらの話を理解した上で、提督は大和の話を丁寧に聞いて答えた。
「男慣れしてないからかな~。この鎮守府、男なんていないしさ」
「そうでしょうか? 大和が、大和が特別えっちだってことじゃないでしょうか?」
「泣かなくていいって。異性との交流も少ない大和が、いきなりその、汁の匂い嗅いだんでしょ?
その上、口の中にまでぶちまけられたら女性の本能が反応してイっちゃったって考えれば……」
「不自然ではない、のでしょうか?」
「まー、たぶんねー、細かいことは分かんないけどさ」
それから一週間が経ち、今に至る。
あえて東の前で口にはしなかったが、提督の頭には全ての真実が収められていた。
その時の半泣きな上に顔を真っ赤にした大和を思い出すと、思わず提督も笑みがこぼれる。
「あの時の大和可愛かったな~、東にも見せてあげたいね」
「もう! 提督!」
「嘘だって、ごめんごめん。まだ東は鎮守府にいるんだし、色々したらいいじゃん?」
そう言って提督は大和を寮へ帰し、自身の仕事に戻った。
こうして東は再び、鎮守府で慰安労働を行うことになるのだった。
247 名前:鎮守府慰安労働[sage] 投稿日:2015/02/25(水) 23:10:00 ID:JK8ge.Bs
以上で、鎮守府慰安労働大和編は終了です
ここで完結(?)扱いなのか、まだ他の話が出るのかは分からないです
とはいえまだSS書きたい艦娘もいるのでなんともな~って感じです
では、何か書くときがあればまた
248 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/25(水) 23:30:57 ID:Lb50NbO6
お疲れ様です!
249 名前:名無しの紳士提督[] 投稿日:2015/02/25(水) 23:50:41 ID:7AkUOM7s
乙です
やっぱ大和さんは可愛くていいですねえ
ところで東って甲鉄艦から取ってるんでしょうか?だとすると何か裏設定が…
これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
最終更新:2015年11月14日 20:30