キハ183系気動車

キハ183系気動車(-けい きどうしゃ)とは、常磐高速度交通網が保有する特急形気動車である。

元は国鉄形の形式である。国鉄キハ183系気動車500番台(wikipedia)

導入の経緯

日光線特急用には、1963年からキハ8000系気動車が投入されていた。しかし、この形式はリクライニングシートこそ装備しているものの、DMH17H形ディーゼルエンジンを採用し、性能的には旧態依然としたものだった。日光線特急「きりふり」のほか、キハ181系導入によるキハ6000系撤退後の常磐線特急「ひたち」にも、1部間合い運用などで投入されていたが、ダイヤ上のネックとなっていたため、1987年、これらを全て置き換え、また波動輸送用のキハ181系捻出のため、キハ183系500番台を小改良した上での導入が決定した。

国鉄形との相違点(新製時)

基本形態である国鉄形キハ183系500番台の詳細はこちらを参照。

インタークーラーとアルミシリンダーヘッドの採用

原型の鋳鉄製直接噴射式週鉄製シリンダーヘッドに変えて、渦流燃焼室式のアルミシリンダーヘッドが採用された。
同時に、インタークーラーを装備した。インタークーラーの冷却用には24V電動ファンが使用される。
これにより、エンジンの形式はDML30HZJ-2DMF15HZK-2になっている。

電源用エンジンの変更

電源用エンジンは騒音の激しいDMF13HS-Gに変えて、日産ディーゼル工業製のUD61形ディーゼルエンジンを搭載している。
また、ビュッフェ床下には3シリンダー形のUD31形ディーゼルエンジンとDM83形発電機を搭載し、自車の電源を賄う。

電源エンジン付中間車

500番台には本来存在しないキハ184形を製造、編成中に組み込んでいる。

食堂車形式の追加

キハ183系には本来食堂車形式が存在しないが、日光線系統では東武特急との競合から、また常磐線系統ではキハ181系とサービスレベルを均一にする目的から、半室ビュッフェのキハシ184形を追加している。
なお、このためキロ182形の車販準備室は省略されている。

中折れ窓の採用

キハ183系の試作車で採用されたが、量産車では廃止された、片側2箇所の中折れ式窓を復活させた。

スラント形前頭部と貫通型前頭部

本来貫通形の国鉄キハ183系500番台をベースにしているが、前頭部に関してはキハ183系0番台と同様のスラント形前頭部とされた。
また、「きりふり」分割用の貫通型運転台は、キハ183形100番台の貫通型運転台と同型の意匠にした。前照灯は腰部に取り付けられ、頭部のヘッドライトは省略され、変わりに左右前窓上部に埋め込み式のフォグランプが追加されている。車内の配置はスラント形と同様で、運転台-機械室-客室となっている。
なお、客室側の車掌室は省略されている。

キロハ182形

通常8連中2両組み込まれるグリーン車だが、全室グリーン車2両とすると供給過剰になるため、各編成1両は半室グリーン車としたキロハ182形とした。

サニタリー

サニタリーは汚物処理装置に当初より焼却可能なカセット式浄化装置を採用している。

普通車シートピッチ

すでにキハ181系で導入されていた、普通座席985mmのシートピッチが採用された。

DD43形との協調運転用設備

明智平リゲン・バッハ区間用の補助機関車であるDD43形との協調用の指令線用、および乗務員室間電話用のジャンパ線を備える。このため、スカートの一部が切り欠いた構造になっている。

譲受車

2001年にJR北海道から、キロ184-901を譲り受けている。

形式

キハ183形
  • 基本形式で、運転台付普通車。車掌室は省略されていて、定員は52名。
  • スラント形の非貫通車と、貫通形が存在する。貫通型は600番台を名乗るが、JR車とのラップ回避は行われていない。

キハ182形
  • 基本形式で、中間普通車。定員は68名。

キロ182形
  • 中間グリーン車。キハシ184形を連結するため、車販準備室は省略されている。ハイデッカー車で、シートピッチはやや詰められて1060mmになっている。定員は48名。

キロハ180形
  • 中間グリーン・普通座席合造車。グリーン座席24名・普通座席32名。

キロ184形
  • 2001年にJR北海道から譲り受けた、901号1両のみの存在。「ひたち」で使用されている。

運用

キハ181系導入後も約半数がキハ8000系で運用されていた日光線特急「きりふり」に投入された。
また、キハ8000系の間合い運用を使用していた「ひたち」用にも配置された。これにより、「ひたち」「きりふり」間の間合運用は消滅している。


最終更新:2012年02月20日 18:10