キハ57系気動車(~ けい きどうしゃ)とは、
常磐高速度交通網の所有する急行形気動車。
元は国鉄形の車両。→
こちらも参照(wikipedia)
この項目では、
同じく急行形気動車のキハ65形、
キハ240形についても解説する。
概要
国鉄キハ58系の系譜にあたる気動車で、本来は当初アプト式だった
碓氷峠旧線通過の際、床下のブレーキワークがラックレールと干渉することから開発された。
常磐にも中善寺線にリゲン・バッハ式ラックレール区間が存在するが、ラックレール高さはブレーキワークに干渉しない。その中であえてキハ57系が選ばれたのは、優等列車用にオールコイルバネの車両を新製することを避けたため。
国鉄形との相違点(新製時)
中継装置とブレーキ
当初より8連以上の長大変遷が予想されたことから、制御信号線を継電器で次車に伝える構造と、
AVR動作弁(
改良型J動作弁)に電磁給排弁を取り付けた
AVRE電磁自動ブレーキを採用している。これは、後に国鉄車で採用されるDAE1ブレーキとも互換性がある。
サービス用電源と空調
当初から冷房搭載としていたため、サービス用電源は一部の車両にUD3ディーゼルエンジンとDM82形発電機を搭載し、自車含む4両にサービス電源を供給する。
冷房装置にはAU13形を1両当たり5基搭載する。また、国鉄形もしくは東芝形の扇風機(オート扇)も各車4機ずつ搭載している。
冬季も電気暖房とし、電気温風器を1部の座席の下に計4基備えいている。
こちらは国鉄の導入する冷房用電源とは互換性を持たない。
普通車回転クロスシート
普通座席には製造当初から国鉄T17系回転式クロスシート備える。シートピッチは910mm。
このため、シートピッチと窓配置は当初より一致していない。
サニタリー
サニタリーの汚物処理装置に、当初粉砕処理装置が搭載された。
その他
DD43形との間で協調運転を行うための制御線、および乗務員室間電話線を連結するためのジャンパ栓を備える。
受動型換気装置はガーランド式になっている。
改造
1973年のキハ65形投入に際しての一部車両改造
常磐では
DMH17H・1エンジン車の導入を減らすため、キハ57形の一部のデッキ後部の床上に電源エンジンを装備していた(2000番台)。
しかし、キハ65形がこれの代替として投入されたため、電源エンジンを撤去し、原型車に近い車体に改造された。
サニタリーは省略されている。
1982年の東北新幹線開業に伴う改造
東北新幹線の開業に伴い通し乗車の利用客が少なくなるという観点から、サニタリーの汚物処理装置を循環式から、焼却可能なカセット浄化式に改めた。
1984年の集中状態改善工事
1984年に、翌年
科学博覧会の開催に伴って、順次集中状態改善工事が図られた。
J-DMF13HMAエンジンへの換装と110km/h運転対応化
エンジンを
DMH17H形(180ps)から、ルーツブロア式スーパーチャージャー・渦流式燃焼室型アルミシリンダーヘッド採用の
J-DMF13HMA(230ps)に換装された。
また、これに伴って営業最大速度110km/h運転に対応するため、台車に補強が入れられ
DT31-J、
TR68-Jに形式が変更されている。
1994年の集中状態改善工事
前回(1984年)から10年が経過した時点で、集中状態改善工事が実施された。
サービス電源装置の変更
それまで4両に1両の集約分散型としていたが、増解結の不便を解消するため、各車に30kVAの発電機を搭載する形態とした。
2エンジン車は走行用エンジンからオイルモーターで駆動し、1エンジン車(キハシ除く)は別に日産自動車製
LD20IISディーゼルエンジンを搭載した。
リターダの装備
ブレーキの制動力を高めるため水冷式永久磁石形
リターダの装備が実施された。これは特に単行で高速運転を実施するキハ53-600を主眼とした措置。
形式・区分番台
自社新製車
キハ57形
基本形式で、運転台付。エンジン・パワートレーンは2基ずつ搭載する。
通常は仙台向きだが、200番台、2000番台は上野向きになっている。
国鉄のキハ57形ほぼそのままで製造された車両。定員60名。
下記2000番台から電源ディーゼルエンジンを下ろした形式で、原番号にかかわらず改造順に1から付番されている。定員68名。
サニタリーを省略し、後方デッキ後ろ側にUD3発電用エンジンを搭載した形式。定員60名。
キロ27形
全室グリーン車。エンジン・パワートレーンは1基のみ。電源エンジンは撤去された。
キハシ27形
JHISオリジナル形式。半室ビュッフェ・普通座席合造車。
サハシ153を基礎にしているが、デッキの位置が異なる。
(食堂室-座席室-デッキ) 床下に自車電源用のUD3H形ディーゼルエンジンとDM83発電機のセットを搭載する。
譲受車
キハ58形
キハ57形の不足を補うため、
国鉄清算事業団から譲り受けたキハ58形。
エンジンと台車の振替を実施し、実質的にはキハ57形と同等になっている。
他にキハ28形も譲り受けたが、こちらはキロハ27形改造分を除き廃車になっている。
改造による形式
キロハ57形
半室グリーン・普通座席合造車。グリーン車の需給見直しにより、キロ27形から改造された。
エンジンとパワートレーンを追加し、2エンジン中間車になっている。電源エンジンは撤去された。
キロハ27形
半室グリーン・普通座席合造車。仙石線急行「まつしま」用に、国鉄から譲り受けたキハ28形から改造された。
運転台付で、上野向き。電源エンジンを装備する。
キハ53形600番台
仙台線急行「もりのみや」のキハ5000形置換え用に、キハ58形の車体に廃車キハ28形の運転台を結合し、両運転台とした車両。
サービス用電源は車体下部に30kVAのものを搭載し、走行用機関からオイルモーターを用いて駆動する。
キハ65形
キハ65形気動車(- がた きどうしゃ)とは、常磐高速度交通網の所有する急行形気動車。
元々は山岳線区を企図して国鉄で開発された車体だが、編成出力を上げてダイヤカットに寄与する目的で導入された。
車体は500番台相当の寒冷地仕様で、600番台に付番された。後、
JR東海から5000番台1両を譲り受けている。
国鉄形との相違点(新製時)
- エンジンは当初よりインタークーラーを装備した。インタークーラー用ファンの駆動には静圧オイルモーターが使用された。
- 普通座席には製造当初から国鉄T17系回転式クロスシート備える。シートピッチは910mm。
このため、シートピッチと窓配置は当初より一致していない。
- 受動型換気装置として半ガーランド式ベンチレーターを4基備えた。
- 車内は冷房装置の他に、他車に合わせる形で4基の国鉄形扇風機を備えた。
また、暖房も電熱ファンヒーターが採用された。
- サービス電源にはUD31形ディーゼルエンジンを使用し、自車含む4両に給電する。
- 冷房装置はAU13形ユニットクーラーで国鉄車より1基少ない5基。
- DD43形との間で協調運転を行うための制御線、および乗務員室間電話線を連結するためのジャンパ栓を備える。
改造
- エンジンのアルミシリンダーヘッド化が実施され、渦流燃焼室式になっている。
これにより、エンジンの形式はDML30HZJ-Rに変更されている。
- 110km/h運転実施のため、台車は補強が施され、DT39-J、TR218-Jに形式が変更されている。
- 1994年には高速からのブレーキ力向上のため、水冷式永久磁石形リターダが装備された。
- 電源が各車方式になり、キハ65形も走行用エンジンからオイルモーターで30kVA発電機を駆動する方式とした。
ただし、キハ57系全車の改造が終わるまでの間、UD31エンジンの発電セットも併設された。現在は全車、撤去している。
キハ240形
キハ240形気動車(- がた きどうしゃ)とは、常磐高速度交通網の所有する急行形気動車。
JR北海道から譲受けたキハ24形、キハ46形を導入して急行形に改造したもので、キハ52形の急行仕様車の代替用に確保された。
仙台線急行の「あおば」に充当される。
エンジンはDMH17Hから
J-DMF13HMAに換装されている。
車体幅が2800mmと他車より狭いことから、背擦りが前後する転換クロスシートを装備している。
また常用補助ブレーキ装置として水冷式永久磁石形
リターダが装備された
また車内には車販設備がない分、軽食と飲料の自動販売機が設置されている。
サービス電源は床下に日産自動車製LD20IIにルーツブロワ式スーパーチャージャーを取り付けた
LD20IISを搭載した。
キハ24形が種車の0番台が基本形式。
キハ46形ベースの100番台は両運転台改造を受け、その際非運転台側の妻面はブロック接合によらず切妻面をそのまま採用したため、
国鉄103系の地下鉄通直通用車両に類似した形状になっている。
台車も
DT31-J、
TR68-Jに振り返られており、はずされたDT22系台車は
キハ20系などの換装用に転用された。
最終更新:2013年12月01日 03:14