キハ20系気動車

キハ20系気動車(- けい きどうしゃ)とは、常磐高速度交通網が保有している、あるいは過去に保有していた気動車。
現在、旅客営業車として在籍し運用されているのはキハ20形2両を除き、キハ52形のみになっている

概要

元は国鉄の開発した気動車。→国鉄キハ20系気動車(Wikipedia)

導入まで

1950年代前半の常磐では、主に常磐線・日光線の輸送力増強は電化の延伸と電車の増発・増結、(旧型客車で運行される)急行列車の増結に血道を上げていた。
8000系電車の増備と、戦後標準型客車5000系、軽量客車10000系を、切迫する事情の中予算を捻出して新製していた。

その中でも1953年にはキハ4500系気動車(国鉄キハ10系気動車)を少数ながら自社発注で製造、小山線や仙台線用に投入した。
しかし、その評価は劣悪で、「導入に値しない」との判断が下された。

その原因となったのはDT19系台車の乗り心地の悪さだった。

この為、常磐の気動車の本格導入は、DT22系台車の完成した1958年以降になる。
同年から国鉄キハ55系気動車をベースとして冷房・電気暖房完備としたキハ5000系が急行「ときわ」に投入され、
これをきっかけに、旧型客車列車も急速に気動車へと置換えられていく。

キハ20系登場以降

一般用としてもキハ20系の本格導入が1959年から始まり、常磐線、小山線、仙台線、矢板線、茨城線、と非電化路線全てに投入された。
常磐線では長大編成も必要としたため、運転台のないキハ26形(国鉄形キハ55系キハ26形とは別の形式)も製造された。

常磐自社独特の仕様として、
  • 照明は当初から蛍光灯が使用された。20Wの環形蛍光灯を使用し、クロスシート部には1ボックスごとに2列、扉上は天井頂点に1基ずつ装備した。
  • 窓は1エンジン初期車では原型同様の上段Hゴム固定・下段上昇式の所謂「バス窓」となったが、2段窓車では当初から腐食を嫌って下段上昇・上段下降窓が採用された。

しかし間もなくして常磐線電化延伸に追われることになり、他社への譲渡もなく、1967年3月ダイヤ改正で早くも多くの車両が運用を外れた。
1979年の筑波線・鉾田線の移管で一部車両に運用が復活するものの、輸送単位の比較的大きい常磐線・新利根線には、
ダイヤカット実施を目的として1975年からキハ67形・キハ47形気動車が新製され、
一方、閑散線区では輸送需要の調整から1986年から2軸軽快気動車であるキハ100形が新製投入された。
この結果、常磐のキハ20系は余剰となった。
1981年にEXPO'85 筑波科学万博の開催が決定されていたため、
その間は余剰車として、陸前原ノ町区、日光区、牛久駅構内、石岡駅構内、下館駅構内、上水戸駅構内、などに疎開留置され
一部は1984年までの間休車とされた。
しかし、万博開催後は1986年度(1987年3月)をもって大多数が用途廃止となり、一部が配給車や牽引車(後述)に改造された他は、廃車となった。
同系列の中でも車齢も高いものが多かったため、譲渡もなく、そのほとんどが解体された。

キハ52形

急速に淘汰の進んだキハ20系だが、2エンジン装備のキハ52形のみは廃車が進まず、
現在もその多く(1962年製のヨコ型エンジン車のほとんど)が現在も在籍している。

両運転台で且つ出力があるため、キハ67形・キハ47形の増結用として特に多用されている。

冷房化は1976年から開始され、AU13形ユニットクーラー4基が搭載された。扇風機(天井旋回扇)4基も併設された。
当初はキハ47形もしくはキハ57系のUD3エンジン・DM82発電機セット搭載車から冷房用電源を供給してもらう必要があり、
単行運転時に冷房が使えないという欠点があった。

他の形式が高性能車・軽快車への置き換えで早期に淘汰されたのに対して、キハ52形は重用されたため、自社発注による新製のほかに、国鉄や国鉄清算事業団から購入する計画も立てられたが、実現はしていない。

1986年から順次、エンジンをDMH17H(180ps)から、渦流式アルミシリンダーヘッド・ルーツブロワ式スーパーチャージャー装備のJーDMF13HMA(230ps)への換装が実施された。
  • これに伴い、サービス電源は走行用エンジンから定速オイルモーターで30kVA発電機を駆動する自車電源方式に改められた。暖房も電熱式に改められた。同時に窓を8200系電車の更新修繕用とされた下段固定・上段下降式2段窓に換装した。
  • なおこの際、少数横っていた0番台についても、200番台と同様の更新改造が施されたため、事実上差異はなくなった。

2001年の国交省通達により、以下の緊急状態改善工事が実施された。
  • 車体床下にブレーキシリンダーを搭載しロッドワークで台車のブレーキに動作を伝える方法が問題となったため、ディスクブレーキ式のDT31台車への換装が実施された。
  • 同様にブレーキ力を補うため、水冷式永久磁石形リターダの装着が実施された。
  • 乾式多板クラッチを採用するTC-2系変速機の検査周期を短縮したため、湿式多版クラッチのDF115系変速機への換装が実施された。この変速機の確保は、多くが廃車発生品によってまかなわれた。


形式と区分番台

キハ52形
  • 0番台:タテ形機関(DMH17BまたはDMH17C)搭載で完成したグループ。現在は前述のとおり状態改善工事のため、200番台と性能上の差異はない。
  • 200番台:ヨコ形機関(DMH17H)搭載で完成したグループ。車内床面に点検蓋がない点以外は、常磐仕様0番台ほぼそのままで完成。

廃形式

キハ20形
キハ25形
キハ26形 - 国鉄キハ55系とは関係のない、原形車は自社発注の中間車。その他、元定山渓鉄道キハ7003から1両が改造されている。


関連項目



最終更新:2013年09月22日 23:25