8200系電車(- けい でんしゃ)とは、常磐高速度鉄道網(JHIS)が保有する電車である。
概要
8000系電車の集中状態改善により、
界磁添加励磁制御化を施した車両。
もともとは常磐初の
カルダン駆動の高性能電車として、1954年に試作、1956年から量産に入った形式である。
仕様など
主要機器
東洋電機製主電動機・主制御器を採用する。
- 主電動機は直角カルダン方式で直流直捲、出力110kW/750Vのものを搭載し、界磁添加励磁制御を行う。
- 電圧制御段は東洋ES系の電動カム軸抵抗制御器を採用する。
- 1C4M制御で、各電動車屋根上に90kVA SIVを搭載、サービス電源と励磁電源の確保を行う。
- ブレーキは常磐で標準的に使用されていたAVR動作弁(改良型J動作弁)を採用し、電磁給排弁を併用するAVRE-R常時回制併用自動電磁ブレーキを搭載している。
- 台車は東芝製TT-3A形、もしくは日立製作所製KBD-108A形を履く。
- 集電装置はPS16形またはPS23形のひし形パンタグラフを搭載している。
車体
普通鋼製軽量車体を採用する。
- 全長は連結面間20.3m、車体幅2800mm。
- 貫通扉付のプレーンな顔つきをしているが、踏切事故対策で運転席側の床面を300mmかさ上げしており、その為前窓はウィンクしたようになっている。
- 助士席側前窓の上に運用灯を備える。助手席前窓内の上部に方向幕を後付の形で装備している。
内装など
内装には不燃性を考慮し、アルミデコラを多用し、床面はリノリウム張りになっている。
- オールロングシート
- サハ8800形にサニタリーを搭載する。
- 汚物処理装置は焼却処理可能なカセット式浄化装置を使用する。
運用
日光線、常磐線とも、各駅停車と北千住回転の快速運用を中心に運転されている。
また、バラ転用も始まっており、従来集中状態改善工事の施されていなかった8000系が廃車され、8200系に置き換えられている。
形式
- クモハ8200(cMc)
- モハ8700(M)
- クハ8300(Tc)
- サハ8800(T)
8000系電車
直角カルダン駆動方式を採用する新系列電車として1954年に試作された。
カルダン駆動方式、常時電空併用電磁自動空気ブレーキなど、当時の
私鉄高性能電車の要件を満たすものだったが、常磐にあっては駆動方式と電磁給排弁併用を除いてはすでに旧来のツリ駆け式電車で実現していたもので、性能も3M1Tで起動加速度も2.7km/s/sce程度と、極限を求めたものではなく、カルダン駆動方式を採用した軽量高性能車の評価と在来車の増備を念頭に置いたものだった。この為、当初は電動車のすべてが、両運転台の制御電動車で、近い将来により高性能の車両が投入された際に、バラ転用を考慮したものだった。
しかし、本命ともいえる
WNドライブ・全電動車方式・
HSC-Dブレーキ採用の8500系(初代、→301系)電車を試作するが、ラッシュアワーで逼迫する需要の中、在来車と混成投入可能な8000系の方が運用側に望まれた結果、1956年から8000系に限って量産が開始された。
試作車はすべてが制御者のMcMcTcMcだったが、量産車ではMcMTMc+McTTMcにスローダウンし、一部編成では旧形のサハを挿入する運用が組まれた。
当初、サニタリーは無かったが、水戸電化開業に伴い一部のサハに改造で取り付けられ、以降の生産車は設置した状態で新製された。
新製冷房車
昭和38年の新製分から新製冷房車となり、首都圏における一般車冷房の口火を切った。在来車も同様に改造された。この際、新製冷房車を常磐線に投入し、捻出編成を冷房改造して日光線に投入すると言う手法がとられた。この過程で、一部の303系が常磐線に冷房化の上転用された。
集中状態改善工事と淘汰
1984年に、一部が
VVVFインバータ制御の試作として垂直カルダン台車を履く
309系に改造されたが、コストがかかるため1986年からは
界磁添加励磁制御の8200系への形式変更を伴った集中状態改善工事が実施された。この際、車齢の高いグループから改造が実施されたため、車齢の若いグループはそのままローカル転用されたため、車齢の高いグループほど309系・8200系として残り、若いグループほど先に廃車淘汰される事態になった。
オリジナルの8000系は2004年に全廃、廃形式になっている。
最終更新:2012年02月28日 04:21