309系電車

309系電車(- けい でんしゃ)とは、常磐高速度交通網が保有する電車。

概要

1984年、VVVFインバータの評価導入用として導入された。
8000系初期車の車体と、附随台車が流用され、改造扱いになった。

主電動機の装架方式には、1067mm軌間用としては珍しく、またかご形三相誘導電動機では空前となる垂直カルダン方式が採用された。
常磐にも九十九里線、沼尻線、猪苗代線など762mm軌間路線があったが、いずれもディーゼル運行で、電化の計画もなかった。
この背景には、762mm軌間用として実現可能なカルダン駆動方式として、日本で唯一垂直カルダンの製造経験のある神鋼電機の鉄道車両部品製造技術の維持と、
それの供給が必要となる下津井電鉄の救済を目的とした決定があった。

すでに神鋼電機は電車部品製造から事実上撤退しており、制御器・主電動機などの主要電装品は三菱電機製が採用された。
主制御器は当初、RCT素子を採用し、1C2M2群制御が採用された。主電動機は連続定格95kW。
ブレーキも常時回制併用電気指令式ブレーキが採用された。
ただし、在来車と混結のため、運転台床下にブレーキ読み替え弁が取り付けられた。
また、回制失効に備えて、自然通風式の専用の抵抗器を搭載した。
電動台車は日本車両製造ND-106系が搭載された。
パンタグラフは、初期車のためPS13搭載車が多く、全てPS23形に交換が実施された。
サービス用電源は新たに75kVA・SIVが採用された。
一方、コンプレッサーは種車のAK-3形もしくは国鉄C1000形が流用された。
パンタグラフおよびサービス用補器類、コンプレッサーはTp車・Tpc車搭載になった。
改造は自社水戸工場で実施された。

改造後の営業最大速度は、8000系から向上し110km/hとされた。
8200系で行われる運転台嵩上げは実施されていない。

また、内装等は8000系のものがほぼ流用されており、アルミデコラ化粧板、の両開き片側3扉、オールロングシート、分散式ユニットクーラー、
扇風機(天井旋回扇)、ガーランドベンチレーターなどはそのままである。
ただし、床に関してはより難燃性を高めるため、リノリウムまたは木板から不燃ビニルクロスに交換された。

評価用として申し分ない性能を発揮し、その後も主に1M1Tもしくは2M2T用に、8000系初期車から改造された。
しかし、台車や主電動機をはじめとして多くの装備品の交換が必要であり、改造コストがかさんだことから、
1986年以降の8000系の集中状態改善工事はより安価に済む界磁添加励磁制御の8200系が主体になった。

その後

下津井電鉄をはじめとして近鉄内部・八王子線や同社北勢線(現・三岐鉄道北勢線)の近代化を期待した投資だったが、技術的に後に続くことはなかった。

1990年の下津井電鉄廃止を契機として神鋼電機は309系向け部品供給を中止。
製品ライセンスは常磐高速度交通システムの持ち株会社である左文字ホールディングス傘下の新高速電装に譲渡された。

これを以って日本における垂直カルダン方式の新規開発は幕を閉じた

なお、改造された309系は全車が健在で、単行運用を除き8200系と共通運用とされている。
2003年には制御器をIGBT採用の3レベルPWM・VVVFインバータに交換し、
1C1M4群制御としている。
この制御機は、サービス用SIV停止時に1Mを切り離してCVCF制御とすることでSIVの代替とすることが可能になっている。

形式

クモハ309(Mc)
モハ309(M)
サハ308(Tp)
クハ308(Tpc)
サハ309(T)


最終更新:2013年03月26日 17:51