307系電車(-けい でんしゃ)とは、
常磐高速度交通網(JHIS)が保有する電車。
概要
当初、それまでの
7000系電車に変わる快速電車用新世代電車として1967年に計画された。
オールステンレス車体、2.7km/h/sec程度の起動加速度、直捲電動機による直捲他励界磁位相制御による回生ブレーキの採用、転換クロスシートと4扉の両立などが盛り込まれた結果、常磐電車の決定版として1969年から量産に入り、1996年まで製造が続けられた。
仕様など(基本区分番台)
ここでは、307系の基本的なグループ(0番台、100番台、200番台、いずれもフラットカーのみ)について解説する。
主要機器
- 主制御器には東洋ES系または東芝PE系の電動カム軸抵抗制御を基礎とし、界磁制御段は界磁接触器に変えて磁気増幅器を使用する直捲他励界磁位相制御になっている。
- 主電動機は150kW/750Vのものが採用され、中空軸平行カルダン方式で装架される。社内呼称JMP150形
- ブレーキはダイアフラム弁に電磁給排弁を追加したCLE-R常時回生併用電磁自動空気ブレーキを採用する。
- 台車はプレーンなペデスタル方式の軸受け構造とボルスタアンカ付のまくらバネ構造をとり、ベローズ空気まくらバネを採用する。社内呼称JT69形
- 貫通型軸受けを採用し、台車枠の外にディスクブレーキを装備する。
ただし、附随台車は1軸1ディスクブレーキを台車枠内に装備する。
- MGはサービス電源・制御電源用の180kVAのものをM'車に、励磁電源用の45kVAのものをM車に搭載する。
- 空気圧縮機はAAR-2交流駆動ロータリー式コンプレッサーをM'車に搭載する。
- パンタグラフはM'車・M'c車に2基、M0車に1基装備する。
- 当初は冷房装置との干渉を避けるため下枠交差式のPT-4801-A形を、通常位置より車端側に300mmオフセットして取り付けた。
- 地下鉄千代田線用グループからPS23形パンタグラフを装備した。
- 0番台の仙石線用向けも冷房装置がAU73になり、PS23形を踏襲した。ただし水戸区新製配置車は、移行もPT-4801系を装備した。
車体
- いわゆるバッド-東急型のコルゲーションを持つオールステンレス車体。
- 連結面間20.3m(Mc・M'c車のみ21.5m)。幅2800mm(グリーン車形式は2940mm)。
- 前頭部デザインはステンレス車体の平面で更正される半流線型の、所謂ダイヤモンドカットを採用。
- 0番台、および試作の900番台では、運転台高さは客室床面と同じ高さになっていた。後、踏切事故対策として、運転台部分を300mm嵩上げしたクハ307形100番台が試作され、基本編成川内澱橋方と付属編成上野形に組み込まれた。試用の結果、運転手席側だけを高運転台とし、貫通路扉窓および助手席側はそのままとして、客室からの前面展望に配慮した200番台が登場し、以降、このウィンクしたような形状が307系の標準になった。
内装
車内の化粧版にはアルミデコラが多用され、床面には不燃ビニルクロスが仕様されている。
- 客室扉は片側4箇所。扉間距離を確保するため、1100mm片開き扉が採用されている。
- 扉間は背摺りの前後する転換クロスシートを配する。シートピッチは860mm。
- 車端部はロングシートを配置する。
- 客室窓は900mm幅のユニットサッシを採用する。上段下降・下段固定式。
空調
- 冷房は通常、集約分散型ユニットクーラー(1基2回路)を3基搭載する。
- 0番台の仙石線向け製造分から、パンタグラフ搭載車はAU73形またはAU74形集中式ユニットクーラーを搭載する。
- 国鉄型もしくは東芝型の扇風機(天井旋回扇)を4基搭載する。
- 暖房はシーズ線暖房とし、座席下に設けている。
- 受動型換気装置として半ガーランド形ベンチレーターを各車に搭載する。
その他
- 自動車型電動ワイパーが採用されている。
- サニタリーはクハ306形、サハ307形、サロ307形に設置される。
- 汚物処理装置は当初粉砕式処理装置が採用されていたが、1982年頃から焼却処理可能なカセット式浄化装置に順次変更された。
- 前照灯は尾灯と一体になったコンビネーションライトを腰部に搭載する。
- 120km/h走行のため、腰部・前照灯の内側下部にAW5警笛2基を、屋根上にAW2警笛を装備する。
区分番台
0番台、100番台、200番台
1000番台(1200番台)
- 地下鉄千代田線乗り入れ用グループで、扉が両開き扉となり、オールロングシートになる。
- 自社線内用TQ-ATSの他、営団用CS-ATCを当初より搭載し、後に小田急用OM-ATSも追設した。
- 当初非冷房で登場。後に非パンタグラフ車も含めてAU73・AU74形冷房装置を搭載した。
1500番台(1700番台)
- 地下鉄三田線乗り入れ用グループで、基本は1000番台に準じる。車体は当初、ブルーの帯を巻いていた。
- 当初非冷房で登場。後に非パンタグラフ車も含めてAU73・AU74形冷房装置を搭載した。
- TcM0MM'MM'cの強力編成を組んでいたが、1999年の三田線乗り入れ中止に伴い、1ユニットを電装解除してTcMM'TM0Tcにスローダウン。
- 現在は新金線10連化に転用され、5000番台の中間に組み込まれている。
2000番台(2200番台)
- コルゲーションを廃し、歪み取りリブのみとした東急型軽量オールステンレス車体。
- 車体サイズは従前の形式を継承している。
- 内装面の基本も0番台に準じるが、全体として明るい色使いに変わった。
- 前頭部デザインも200番台のものを継承しているが、量産車そのままに2001~から付番されている。
- グリーン車はフラットカー+ダブルデッカーの組み合わせになった。
- ダブルデッカー車は集約分散型オールシーズンエアコンを搭載し、扇風機は未設置になっている。
3000番台(3200番台)
- 地下鉄千代田線乗り入れグループで、2000番台と同じく1000番台を元に軽量ステンレス車体としたグループ。
- 扉や内装などは1000番台に準じる。当初より冷房を装備して新製された。
5000番台
- 平成8年、新金線の東京臨海高速鉄道との直通運転開始のため製造された。
- 軽量ステンレス車体に両開き扉、前面はFRP飾りつきの垂直断面(ただし幌つき貫通路つき)で、それまでの307系とは一線を画す。
- 台車もアルストム式の住友金属製FS-508C系に変更された。
- ブレーキは電動台車が車輪ディスク、附随台車は片押し式踏面に変更された。
- 車内はオールロングシート。
- AW5警笛は音量無段階調節の可能な電子ホーンに変更された。ただし、AW2警笛については引き続き装備した。
- 運転台も横軸マスコンが採用された。ただし、従来の307系との混用は可能。
6000番台
- クハ307、クハ306のみ。2014年3月ダイヤ改正から開始される東武野田線柏~野田市暫定乗入れのため、元JR東日本クハ209形・クハ208形を購入し、改造した形式。改造点はAW2警笛の装備、制御機器や保安装置の変更など運転に関するものを主とする。車体は前面貫通型への改造が実施されたが、それ以外の点は最低限にとどめられている。中間車は従来の307系からの捻出車で組成される。
形式
クモハ306(M'c) - パンタグラフ付制御電動車。サービス用MG、CP搭載。上野向き。
モハ306(M') - パンタグラフ付電動車。サービス用MG、CP搭載。
モハ307(M) - 主制御器搭載電動車。励磁用MG搭載。
モハ307+200(M0) - 非ユニット電動車。1パンタグラフ付、励磁用MG搭載。
クハ307(Tc) - 制御車。仙台向きはサニタリー付。
クハ306(T'c) - 仙台向き制御車。サニタリーなし、サービス用MG、CP付。
サハ307(T) - 附随車。サニタリー付。
サハ306(T') - 附随車。サニタリーなし。
サロ307(Ts) - フラットカーグリーン車。サニタリー付。
311系への改造で廃形式。
サロ306(T's) - フラットカーグリーン車。車掌室付。0番台は311系への改造で廃区分番台。
サロ327(Tds) - ダブルデッカーグリーン車。サニタリー付。軽量車体車のみ。
最終更新:2013年09月12日 02:17