7000系電車

7000系電車(- けい でんしゃ)とか、常磐高速度交通網が所有している電車である。

概要

国鉄モハ70系電車の自社発注車。→国鉄モハ70系電車(Wikipedia)

それまでのロングシート車とは運用を分ける、上野~土浦間の「常磐急電」用に導入が始まった(後に快速→現・常磐特快)。

相違点

制御器

制御器に、6600系に採用され発電ブレーキ付多段制御器JC5を改良したJC51を搭載した。この制御器は、東洋電機製造が国産化した電動カム軸制御器に、電磁単位スイッチによるバーニアスイッチ2段を追加して、弱メ界磁起動1段、直列9段、直並列渡り1段、並列7段、弱メ界磁5段、発電制動10段としたもの。JC51は、電磁単位スイッチを電動式としている。
東洋ES系制御器は、英国 イングリッシュ・エレクトリックの技術の国産化で、日本では「デッカー」の通称で知られていたことから、この制御器はJ・デッカー・システムと呼ばれた。ただし、電磁単位スイッチ部分はGE製のものを東芝が国産化に当たったもので、JC5の設計に際しては常磐鉄道が自社で東芝から特許を取得したため、常磐向け以外には製造されなかった。
逆に常磐では広範に使用され、昭和6年のモハ200形(後の6600系クモハ6200形)を皮切りに20m級の全ての新製電車が採用していた。7000系はもちろん、8000系も、当初は全段カム軸の東芝PE系制御器と併用されていた。

ブレーキ

原形のAブレーキ弁に対して、自社で標準である改良型J動作弁が使用された。
もともとGE製J三動弁は先に東芝が国産化したが、AVR弁とも呼ばれるこの改良型は日立製作所がライセンス取得・設計したもの。
また、制御器の節にあるように発電制動を併用するAAVR-D常時電空併用自動空気ブレーキになった。

その他

  • 台車は最後まで板まくらバネのDT16系が採用され、コイルまくらバネ台車への移行は見送られた。
  • MGは15kVAの交流MGが装備され、蛍光灯照明、扇風機(天井旋回扇)、等が装備された。
    • 蛍光灯は直管形ではなく環形が採用され、配置は国鉄モハ70系初期型に準じた千鳥式とした(各ボックス上に1、扉部天頂部に1)。
  • 「上野方運転台直上にはパンタグラフを置く」という当時の方針の元、原形にはない制御電動車クモハ7100形が設定された。
  • また、附随車(3等車)も相応のものがないため、サハ7600形として新製された。
  • ベンチレーターはグローブ式からガーランド式に変更された。
  • クハ7000形の運転台直後の換気性が悪かったため、同車のベンチレーターの取り付け位置を前へずらした(これは後に国鉄クハ76形で問題になった)。
  • 車内の化粧版や構造物は金属製が多用された。床板も当初より鋼板製で、リノリウム張りとした。

全金属車体車

1955年製造分から、車体構造を見直してウィンドゥシル・ヘッダーを廃し軽量化した所謂"全金属車体"に変更された。
(常磐社内では、“軽量車体車”と呼称された)

急行仕様

1956年の日立電化延伸にあわせて、それまでの旧型客車急行に代わって、上野~日立間に“電車速達急行”が運転されることが決定した。

これは7000系急電の好評から計画されたものである一方、当時すでにカルダン駆動方式の8000系電車の量産の目処も立っていて、
「いまさら優等列車用にツリ駆け式の新形式を用意するのはいかがなものか」という意見も出た。

そこで、既存の7000系(軽量車体車)を急行列車用に新製し、カルダン急行形登場後に一般車に転用される計画が立てられた。

3等車は3扉車ながら、冷房装置を搭載した。屋根上に分散型ユニットクーラーを装備し、扇風機も併設とした。
MGはTc車・T車床下に150kVAのものを搭載し、冬季の暖房にもこれを使用した。
また、車両固有の装備ではないが、クロスシート部には白カバーがかけられた。ただし、ロングシート部も営業用に供された。

2等車(後のグリーン車)は、回転クロスシート車ではなく、フルリクライニングシート装備のサロ3850形、サロ3880形を連結した。
種車はダブルルーフ・17m級客車のオロ1500形で、TR12A台車を装備していた。
冷房装置はすでに床下搭載型のものを装備していたが、車軸発電機駆動からMG駆動に改造された。

1957年には8000系をベースに2扉クローズドデッキ装備の8700系電車(初代)(→後の351系)の新製が始まり、
7000系急行車は1958年3月ダイヤ改正で急行列車運用から退いた。

その後も、しばらく編成をばらさず、日光線快速に投入された。

しかし、1984年の115系電車投入により、バラ転用となった。

現状

現在、常磐線土裏口に事実上の動態保存をかねて4+2連3本が配置されている。何れも軽量車体車。
ただし、基本+附属間は貫通形の6600系電車で補われている。

6600系も含めて冷房改造が実施されているが、冷房装置は7000系急行用で用いられたものとは異なる1パッケージ2回路×3の分散型ユニットクーラーになっている。
サービス電源用MGは90kVAの小容量のものがTc車・T車床下に装備されている。

形式

  • クハ7000形 - (Tc・国鉄クハ76形に相当)
  • クモハ7100形 - (Mc・独自形式)
  • モハ7500形 - (M・国鉄モハ70形に相当)
  • サハ7600形 - (T・独自形式)
  • サロ7700形 - (Ts・国鉄サロ46形に相当・回転クロスシート式2等車→グリーン車)

  • サロ3850形 - (Ts・17m級オロ1500形から改造・リクライニングシート装備2等車→グリーン車・MG付)
  • サロ3850形 - (Ts・17m級オロ1500形から改造・リクライニングシート装備2等車→グリーン車・MGなし)

現状の編成に組み込まれている6600系

全車ロングシート3扉車
  • クモハ6200形 - (cMc。ただし、現在単行運転をすることはない)
  • クモハ6600形 - (Mc)
  • クハ6500形 - (Tc)



最終更新:2013年04月29日 21:00