作品名:
月姫系シリーズ
使用者:ワラキアの夜(= ズェピア・エルトナム・オベローン)
奈須きのこ作品の
月姫系シリーズに登場する術技。
固有結界のひとつ。固定の心象風景はなし(自在に変える)。
使用者の霊子を『現象』に変える固有結界。
現象となった使用者は
良くない噂や願望を人に害するかたちで具現させることができる。
術技についての詳細
来歴
- 第六法を挑む際の保険
- 死徒の王と契約を交わし、人類滅亡後まで自身をワラキアの夜にする駆動式。
- 使用者はこの契約期間内に真祖、あるいは第六の魔法へ至る方法を計算していた。
「だが、式が終われば汝は元の姿に戻ろう。
千年もの長き式の果てに、一度たりとも正解に
たどり着けなかったのなら───ワラキアの夜は、
ズェピアという死徒に戻ってもよい。
それが汝とアルトルージュが交わした契約では
なかったか?」
(中略)
私は───それに挑んだんだ。
不可能を可能にするのがアトラシアの称号だ。
結論として吸血種となり自身の能力を強化させ、
奇跡へと至る事だった」
発動条件
- 一定の整然性が必要
- 曖昧な噂、短期間の噂では具現化させられない。
- 曖昧な噂でも事実を突いていた場合、事実を知る人物が想起すれば発動する。
「それは本物がいない噂でしょう?
最後に教えてさしあげるわ兄さん。本物がいる
噂はね、情報が流れた時点でもう確定された真実
なの。
遠野秋葉という血を吸う鬼は実在するのだから、
後はそれを実経験として覚えている人間が怖れを
抱くだけで確定する。
そうね、今までカーテンで見えなかったものが
見えるようになっただけよ」
条件 |
内容 |
土地 |
噂が浸透する場所。 |
浸透率 |
良くない噂が現実になってもおかしくないほど信仰されている |
悪い噂の具現化
- 一定空間のマイナスイメージを具現化する
- 噂や不安から吸血行為に繋がるように拡大解釈して具現化させる。
「ええ、語源はこの国の呪いでしょう。
タタリと呼ばれる死徒は主体性のない吸血鬼で
す。限られた区間での人々の噂、不安を摘出し、
その通りに吸血行為を繰り返します」
- 願望も具現化するが最終的には吸血行為へと収束させる
「そういう事です、志貴。
ワラキアの夜には吸血行為に勝る願いはない。
アレは人々の願望を“血を吸われ死ぬこと”に
拡大解釈する悪鬼。」
- 具現化したものは使い魔として使役可能
- ワラキアの夜のために人を害する存在として活動する。
「(前略)無から有を作
るより、有を害に変える方がより祟りに相応しい。
タタリは“呪い”をカタチにして使い魔にする死
徒と仮定してください。
投影・憑依能力
- 周囲の噂から自身を象る
- 他人に依る具現のため、噂の内容次第でかたちが異なる。
- 凶悪な噂によってタタリの能力が強化される。
「そして厄介なことに、タタリには噂を纏う特殊能
力があるという事です。
真祖の空想具現化に近いのですが、タタリは人
間の空想を鎧として纏うのです。ですから人間の
不安や悪い噂が凶悪になればなるほど、タタリの
能力は上がっていきます」
- 実在するモデルがいれば憑依して噂を実現化する
- モデルの人物が噂とタタリの存在を知った場合はその人物を真似た存在となる。
「はい。今回のように噂のモデルが実在の人物の
場合、タタリはその人物を真似るか、その人物に
憑依して、噂の元になった人物を噂そのものへと
変化させます」
不死性
- "現象"であるのでワラキアの夜自身は消滅させられない
- 起動前の過去に戻って倒すか、起動式の終了後に滅ぼすしかない
「……ワラキアの夜を消滅させる事はできません。
方法があるとしたら、過去に戻ってワラキアの夜
を起動させたズェピアを仕留めるか、起動式が終
わる何千年後を待つしかないでしょう」
- カタチとなったタタリを破壊してもタタリは続く
- 一夜中続き、殺すことができないのならば夜明けまで耐久するしかない。
一度駆動式が成立してしまえばタタリは一夜中
続くのだ。
カタチが滅ぼされようと、発生したタタリは亡
くならない
無論。リーズバイフェの形見を、
天寿の概念武装で撃ち出す。
プログラムを消す事はできなくとも、
かすかな綻びを与える事はできる……!
(中略)
タタリの消去は現在の装備では不可能。
ただし、発生のサイクルを大幅に
遅らせる事には成功した。
存在吸収
- 対象を殺して情報として分解してタタリに組み込める
- その情報を使って使い魔として復元することができる。
- 飲み込まれた対象が何らかの加護により飲み込まれない場合、吐き出すこともできる。
三年もの間、君は盾に守られながらタタリの中で
過ごし、こうして、タタリの起動とともに外界に
吐き出された。
欠点
- 一夜限りの発動
- 固有結界であるため世界が存在を許容せず、長くても一夜しか継続できない。
「ですが固有結界である以上、その発現はとても
短い。いかに強力な死徒と言えど、その維持には
一夜が限界でしょう」
- 強力すぎる素体になった場合は知能などが引っ張られる
「何百年と発生してきた貴方も、今回ばかりはタ
タリとなった素体が強すぎた。
貴方本来の知性が、アルクェイド・ブリュンス
タッドの知性に支配されている。」
- 既定された契約期間内限定で発動可能
- 人類滅亡後に現れる「赤い月の夜」まで発動していられる。
- 空想具現化によって無理矢理「赤い月の夜」を出されたり、時間操作をされない限りは無敵。
- 元々人類を救う能力を得るまでの延命措置なので欠点とはいえない。
「思い出したか。自らを現象とする為に赤い月よ
りくみ取った力───その猶予は、再び赤い月が
現れる刻であろう」
幻影の夏
異端の固有結界
- 心象風景が発動のたびにブレる固有結界
- 自身の心象風景を具現化するのではなく、他者の心象を具現化するため。
「これは一種の固有結界と言われています。
強力な死徒は固有結界と呼ばれる、自身を中心
として“現実と異なる現実”を作る力がある。
固有結界は、その人間の心象世界を体現したも
の。ですからカタチはつねに一定なのですが、タ
タリの固有結界は“カタチを周囲の人間の心のカ
タチにする”というモノ。
それ故に、固有結界の内容はその地域によって
異なるのです」
- 閉鎖的なコミュニティーを作り上げる
- 異常気象などにより人々の繋がりを断ち、閉鎖的なコミュニティーを作り上げる。
「ええ。これは一つの固有結界ですから。密閉さ
れたコミュニティーが少なくなった昨今、人為的
でなければ閉鎖空間は作れない」
タタリ憑き
力の憑依
- タタリが像を結ばず波長の合う個人に憑いた場合
- 持っている祖としての力が個人に注ぎ込まれ、その人は1日中思い通りに動ける。
「吸血鬼になる器のないエネルギー、と言うべき
でしょう。
タタリは人々のあいだに上った“不吉な像”に
宿るモノですが、時折波長のあった人間に宿る事
もある。
そうなった場合、取り憑かれた人間に変化はあ
りませんが、その人間の思う通りに物事が運ぶよ
うになるのです。……まあ、あくまでその人間が
出来うる可能性の延長でしかありませんが」
- 第三者に噂を纏わせる
- 第三者の印象・偏見を信じ切っていれば、その人物はその印象に相応しい能力を得る。
- 逆にその印象を崩すようなことが起きれば纏った能力も失われる。
だが続編では普通に残ってた
「ええ、彼女にはもうタタリのアンテナとしての
資格はありません。いえ、もとから彼女はただの
受け皿で、彼女を魔女と信じていた第三者がいた
のでしょう。
恐らく“琥珀と言う人物は陰謀家であり優れた
発明家である”と信じ切った第三者がいたからこ
そ、琥珀と言う人物はあそこまで不可思議な能力
を得ていた。
その第三者もすでにここにはいないようですね。
……残念ですが、タタリは完全に行き場を失って
消えてしまった。」
使用者との関連性
未来予測による霊子航海図
- アトラスの魔術師の計算能力で未来を計算できた
- タタリの条件が揃い、噂になれる地域を計算して死後に霧散した己の霊子が流れ着く航海図を作成した。
- 未来の状況・情勢は不明でも「タタリ」自身にそれを計算させて動くようにプログラムさせた
「方向性はありませんが、方向性さえ有れば与え
られた方向性通りの物事を起こすエネルギー、と
思ってください。
ズェピアと呼ばれた死徒は第六法と呼ばれる神
秘に挑み、これに敗北したと言います。
……それでも流石に使徒と言うべきでしょうか、
彼は完全に敗北した訳ではなかった。
(中略)
ズェピアという魔術師は、人間が滅びるまでの
スパンで祟りが発生するであろう地域を計算した。
あとは千年単位での航海図を作り、その通りに自
分の死体が流れるように仕向けた。
無論、そのルートは情勢・状況によって無限に
枝分かれする一方通行の物です。
ズェピアはそれを循環するルートへと編み換え
ズェピアという意思が消えた後でも、“霧散した
自身”がそのように移動するようにプログラムし
た。(以下略)」
元ネタ
タタリ(祟り)
神仏や霊魂などの超自然的存在が人間に災いを与えること。
元は神の顕現を表す「立ち有り」が転訛したとされる。
関連項目
タタリの一部が夢魔をコピーして誕生したタタリ。
人の心の闇(悪夢)にかたちを与える。
ワラキアの夜のタタリを継承したタタリ。
タタリの再演と改竄したその結末の流出を行う魔術理論・世界卵。
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最終更新:2023年05月04日 15:23