あたしが取り出したのは、手のひらに収まるサイズの小さな丸い機械。 ホバー式の飛行装置を主体とした機構で、主な目的は、搭載された篆刻撮影機による風 景の撮影と記録。あたしは、あたしたちの旅をこれで記録する。
キリエの動作に反応して、彼の指か、もしくは指差した対象である城を撮影したのだろ うか。暗い夜に風景へ焦点を合わせるのは困難だろうに、確かに焦点を合わせる音が響い ていた。動体に対する自動焦点機能が働いたのであれば、城の中で何かが動いたという可 能性も有り得る。
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