江川殿が献策したのは、江戸の空を犯しうる黒船を 想定して、柔軟に射点と目標高度が変更可能な 蒸気機関搭載の自走型湾岸砲台の開発であった。
堤に沿って移動する蟹のような巨影。 あれこそ、大口径後装式施条重砲に脚部四本を備え付けた 機関幕府の誇る多脚型自走砲台── ──通称“台場砲台”である
その旋回式砲架は四脚の補助も含めると大仰角を設定可能な上、 砲台も炸薬だけではなく機関が生成する圧縮蒸気で加圧することで、 従来の大砲とは比較にならない高初速を得ることに成功。
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