雫梨が制服の背中から、左手で二本目の武器を引き抜いた。深紅の“炎喰蛇”と対になる、
鬼族王家の第二の魔剣。終焉教団の使徒だった鬼族──イゼア・ニオスの青の湾刀だ。
その一瞬の隙を衝いて、鬼族の女が湾刀を振るった。魔力を帯びた青い刃を、雫梨は深紅の
長剣で受け止める。(以下略)
「斬りつけた相手の魔力を奪って自らの威力に変える〝炎喰蛇〟は──あるいは〝炎喰蛇〟と
同等の魔剣ならば、〝薔薇の指先〟を斬り裂くことができる。〝薔薇の指先〟は、自分自身の魔
力でダメージを受けることになるからな。それがあの人工生命体を傷つけた攻撃の正体だ」